小さなダンボールに子犬が一匹
痩せてて何色か分からない程、汚れてた
電話の向こうで、お母さんにお願いしてと涙声の子
どうしたの？
僕、子犬を助けたのに
お母さんは大の犬嫌いであった
しかも、継母
継母だから意地悪している訳ではない
事情があった
小さい頃に飼い犬に噛まれて大怪我をした事がある継母
子犬でも大きくなれば怖い
どんに小さくても犬は犬なのだ
拾ってきた子犬を元の場所に戻しておいでと子供に言った
雨が降っていた
子供は子犬を離さなかった
明日、天気が良くなったら
暖かかったら
そう言って抱いて離さない
継母は今日だけよ
さようならを明日するのよ
明日は元の場所に戻してきて
朝になった
まだ雨が降っていた
季節は秋だ
やがて雨が霙になった
霙が雪になった
雪は降り続く
雪解けの季節
子犬は賢い成犬となっていた
知らずに継母にとって特別に存在になっていた
親子の絆
まるで、その為に我が家にやっきた天使
ギクシャクしていた子連れ同士の再婚
子供同士も、たった一匹の犬によって変わっていった
子犬を捨てろと言った継母は嫌いだ
鬼だ悪魔だと電話してきた子が今年結婚した
その夫婦にとって奇跡の犬を連れてきた子供の結婚式
子犬だった犬は結婚式の3日後に老衰で息を引き取ったと
継母の友人が泣きながら電話してきた
もう大丈夫だね、僕は役にたったかな？
心に声が響いたと電話の向こうで泣いてた友人
さすがの私も電話で一緒に泣いた
さようならチャッピー
明日、さようならする為に会いに行くからね
小さな日常、愛犬に助けられてた夫婦の物語です
