ペットロスとかには、ならないと
思っていたオカンであったが
この1ヶ月近くすっかりマメロスだ。
先月マメは19歳と9ヶ月と9日で
天国へと旅立った。
もうだいぶ前から覚悟は出来ていた。
人間で言えば100歳ぐらいな感じやし
お祭りのように送ってあげられるとも
考えていた。なのにいざその時が来たら
とても平常心ではいられなかった。
マメは亡くなる3日前から大好きな
カリカリと鶏のささみが食べれなく
なった。あんなに食いしん坊で
1日に何度もおやつをせがんでいたのに
チュールチュールさえも舐めなくなった。
ただ水だけはすごい勢いで飲んだ。
それも2日前にはノズルのついた水飲みで
オカンに抱っこされながらノズルを噛んで
ゴクゴク飲んだ。
子供に恵まれなかったオカンは
今までマメを抱っこすることで赤ちゃんの
軽いのだけどずっしりとして暖かい抱き心地の
感覚をマメで味わっていた。
マメを抱っこする時いつも母親の幸せを少し
感じ取れたような気がして、ありがたかった。
でも今回の抱っこはそれとは違っていた。
三日三晩マメは2.3時間おきに
「ホンホン」と高い声で鳴いた。
もうワンとは鳴けなくなっていたが
オカンにはマメの言いたいことはすぐに
わかった。「四つ足にさせて!ホンホン!」
寝たきりになったマメだったが何度も
起き上がろうとした。何度も何度も
必死で四肢で立とうとした。
これまでマメはいつも必死で生きてきた。
必死でご飯を食べ必死で走って必死に散歩に
行っていた。散歩と言うより散走だ。
必死でボール遊びをしてグラウンドを
走り回り過ぎて足を挫くのは日常茶飯事だった。
今際の際になってもその生き方は
変わらずだった。
オカンは細くなったマメの胴体を持って
四つ足にして立たせた。そっと手を離すと
すぐにフラフラと倒れた。
「な?あかんやろ?」耳元で優しく言うと
マメもやっと納得して横になってしばらくの間
眠りについた。
老衰ってもっと楽に眠るように穏やかに
いつのまにか逝けると思ってた。
しかし最期の三日三晩マメは3時間おきに
何度も「四つ足にさせてホンホン!」を繰り返した。
そしてやっぱり何度も倒れた。
ふとマメの顔を見ると目に一杯の涙が溜まっていた。
起き上がれずに悔しいのか?もっと生きたいのか?
おかあちゃんありがとうか?オカンはそっとガーゼの
ハンカチでマメの目元を拭いてやった。
そして自分の目元も拭いた。
そしてその次は「寝返りうたせて!ホンホン!」
オカンは駆け寄りマメの寝ている向きを
変えてやるとマメは安心してまた眠った。
あとは「水ちょうだい!ホンホン!」であった。
その度にオカンはマメを抱きしめ水の
ノズルを口にくわえさせた。
グビグビ飲んだのは午前1時だった。
その後眠ったマメの体を撫でてオカンも
眠ってしまい6時に起きて様子を見に
行った時はもうマメは冷たくなっていた。
その後はもう喪失感と後悔とでめちゃ
落ち込んだ。マメが亡くなってからどう
過ごしたかあまり覚えてないが
12月に入りオトンとオカンの結婚記念日が
やってきた。以前から予約していたので
落ち込むテンションを何とか上げながら
あべのハルカスの19階にある大阪マリオット
都ホテルのビュッフェに行って来た。
キャンセルも検討したが何か行ってよかった。
高いとこに上がったのは久々だった。空が近い。
マメが見てるような気がする。
お葬式の時とってもらったマメの足型スタンプも持って行った。
食べ終わったあとはハルカスの階下にある近鉄百貨店を
何気に覗いてみた。
するとあるフロアの一角でストリートピアノならぬ
デパートピアノ?が開催されていた。
けっこう飛び入りで腕に覚えのある人たちが入れ替わり
でピアノを弾いていた。楽器ど素人のオトンとオカンも
ちょっと立ち止まって演奏を聞いてみることにした。
すると1人の素敵な女性がピアノの前に立った。
ピンと伸ばした綺麗な姿勢で鍵盤に指を乗せると
軽やかに演奏がはじまった。
あ、聞き覚えのある曲だった。あ!あの曲!
菅田将暉の虹だった。確かドラえもんの映画の
主題歌にもなってたように思う。
♪泣いていいんだよ♪
初めのメロデイのとこでオカンの涙腺がゆるゆる。
最後のあたりの、♪一生そばにいるから♪
のメロディもう号泣やん!
その女性も丁寧に心を込めて弾いていたのも
相まってオカンはもう感動しきりで思わず
演奏終えた女性に素敵でした!とグータッチ
を求めたのであった。
(とっても素敵でした!)
なんかマメがハルカスの空の上から
「おかあちゃんずっと見守っているよ」
と言って虹の楽曲をプレゼントしてくれた
ような思いがして胸が熱くなった。
菅田将暉の虹も素敵な女性のピアニストの存在も
この際、自分本位に勝手に解釈した。
まさにあべのハルカスの奇跡!が起こった1日やった。
今もまだ落ち込みがちやけど今までマメが
くれた幸せな日々に感謝しながら
マハロ!まめぞうの日々も完結となりました。
ありがとうございました。
(ドッグランでお友達と遊ぶマメちゃん)
(お祭り好きだったマメちゃん)