プナサル・マニスさんです。今回この人の登場音楽を器楽曲として演奏します。
ググンタンガンはもともと歌芝居のアルジャの伴奏音楽でした。アルジャは歌って踊って冗談言って物語もあって、笑って泣いてうっとりして、という何でもあり的な伝統芸能なのですが、その中でいちばん大切な要素が歌。声の響きを活かし、フレキシブルに即興的な役者の動きに寄りそえるのは、大編成より、小編成・小音量のガムラン。
今回はその中の女官チョンドンの歌と踊りを単独で上演し、プナサル・マニスは器楽曲として曲だけを演奏します。
プナサル・マニスは王子の従者二人組のうち、年配の兄貴分の方です。写真だと右側。どっしりした体格で、太い声の人が演じる役柄で、王子の忠実で誠実な従者です。とても信頼のおけるいい人なんだけど、若干単細胞というか、まじめすぎてちょっと融通が効かないところもあり。ややちゃっかり者で、でも機転がきく、弟のウィジル(写真の左側)といいコンビで、弟にしょっちゅうからかわれています。
アルジャの登場音楽はシンプルな旋律の中に、それぞれの人物のキャラクターがうつしこまれています。だから曲の一つ一つに、その曲にしかないキャラクターがあります。アルジャを見たことがなくても、役者がいなくても、音楽から伝わるものってあると思うのです。大柄なおじさんキャラのプナサル・マニスが胸を張ってほがらかに歌いながら登場するところを想像しながら、演奏します。