ググンタンガン編成ではメインの旋律を演奏するのはスリン(竹笛)です。
基本的に、ガムランは打楽器が主体なので、ほとんどの編成において金属の打楽器がメインで、スリンは本来は脇役。最近創作された新しい曲ではスリンを増員するのがここ数年流行ですが、伝統的なガムランの場合は金属楽器によりそって味わいを加える薬味のような楽器。もちろん薬味って味を決める上で大事ですが。
ググンタンガンではスリンは、薬味どころかメインのおかずです。ばばーん。通常3-4人のスリン奏者が一緒に旋律を演奏します。
息の音は、叩いて出す音とは全く違った響きがします。とくに竹笛の音は柔らかくて、演奏者の呼吸がそのまま音になったような感じで自由に流れていきます。金属の楽器の音が、垂直にカーンと立ち上がるとしたら、スリンの音は横へ横へと流れていく感じかな。
スリンはバリの楽器の中で多分一番、声に近い楽器だと思います。どっちも息で音を出しているし、カーヴを描きながら流れるような音の響きは、基本的に「流れる」というより「刻む」感じが強い打楽器とは違います。スリンも歌も、基本の旋律線に沿いながらも、演奏者のセンスでちょっとずつ音の揺れや呼吸感を変えて、自由に演奏されるところも似てる。
我がググンタンガン・チームは今回はスリン女子界(?)のツートップを中心に、3-4人でスリンを演奏します。ちなみにバリでも女性の上手なスリン奏者はすごく珍しいです。元々ガムランは全般的に男性社会ですが、最近はグンデルとか太鼓とか結構上手な女性が出てきました。でもスリンはまだ本当に上手な人を、私は見たことありません。豆手笛女子、頑張ってます!!(写真は修行中の豆手笛女子番長と出羽師匠)