ある地方新聞を眺めていて目にとまった書名。
その日に,インターネットで注文をして購入。
小坂真希 著『せんせい記者日記』(信濃毎日新聞社 2014年1月16日 初版)です。
信濃,信州は,教育県として有名であり,大村はま先生の生まれ故郷。
信濃毎日新聞社の記者 小坂さんがその職を継続しながら須坂市立相森中学校で2013年1月~2014年7月まで国語教師として見聞きしたことを「2013年1月13日から7月31日まで62回にわたり連載した『せんせい記者日記』」を担当していたときの記事です
それなりに教育実践をまとめた本を読んでいますが,このような形で教育実践の場を記録したものは多くはないと思います。
記者が記録した教育実践として有名なものは,芦田恵之助の授業を記録した青山廣志があります。僕が研究対象とした国分一太郎は,『教室の記録』で公立学校の教師としての職を奪われています。生活綴方や生活教育,民間教育団体に参加しつつ教育実践に取り組まれている先生方は,ドラマチックな教育実践記録を数多くまとめられています。教師を志されている人には,岐阜 恵那の丹羽徳子氏や津田八洲男氏,金森俊朗氏の実践記録はぜひ読んでほしいものです。
さて,この本の僕が感じた「すごい」ところ。
教育「現場」のほんとうの姿,朝の打ち合わせ(18~19頁「廊下で「朝会」貴重な10分」),放課後,雑務の多さ(38~39頁「試験・行事・会計事務……」,道徳の時間の使い方(18~19頁「廊下で「朝会」貴重な10分」),などがある意味淡々と記録されていること。おそらく小坂さんが記者だったからこそ書けたことであり,僕などの感覚が麻痺しかけているところを「新鮮」にとらえてくれたからであると思っています。と同時に,この研修を認め,記事を認めた相森中校長 後藤昭彦氏と教育委員会の姿勢でしょう。
内容については,また今後触れていきたいとは思っています。