前回の十勝会場に引き続き、木育マイスター育成研修道南会場(第1回目)を開催しました!
十勝会場とカリキュラムは一緒ですが、地域によって森の特色も違ってくるので、
講座の内容は異なってきます。今回は、道南会場第1回目!会場は大沼ふるさとの森です。
9/2(日)
1.木育の理念 10:00~12:30 煙山泰子講師(KEM工房主宰・木育ファミリー代表)
最初の講義は、煙山講師による「木育の理念」。
木育マイスターは、子どもから大人までいろんな「人」と、「木」との出会いを作っていくひと。
そして、どういう出会い方をするかで木への印象が違ってきます。木との出会いに重要なのは、
五感で感じること。みんなの五感スイッチを開き、感じてもらうため、煙山講師は木でできた
世界のグッズを紹介!
↑木でできたカエルのおもちゃ(?)。棒でなでるとカエルの鳴き声がします。
こういうグッズも利用しながら、木育マイスターさんそれぞれが得意技を持つことが大事です。
そして、いろんな得意技を持ったマイスターさん達が組み合わさって、緑と茶色の木をつなぐ木育を
やっていくことが大事です。
講義の最後は、実際に木にふれてみよう!ということで、木のマグネットを作りました。
エゾマツと、ミズナラの2種類の木で作ります。紙やすりで角をまるくけずって‥。
自分の好みの形になったらマグネットのシールを貼り、クルミの油を塗って完成です。
↑クルミを布でまいて、げんのうでたたいて油を出しているところ。
みなさん、夢中になってやっていました!
実際にけずってみると、エゾマツとミズナラの柔らかさ、重さなどの違いもよく体感できます。
2.体験学習法の理解 13:30~15:00 宮本英樹講師(NPO法人ねおす理事)
お昼からは、ねおす理事宮本の講義です。まずは、受講生の皆さんに自分の原風景を
思い起こしてもらいます。子どもの頃、どこで、どうやって遊んでいたか。なぜその遊びが好きだったのか。
木育マイスターになって実際にプログラムをする時には、自分の好きだったことをプログラムにすると
うまくいくとのこと。
また、受講生が考えるところの理想のマイスター像を班ごとに絵に描いてもらいました。
各班それぞれ、自分が好きなこと、できること、やりたいことを取り入れた、理想のマイスター像を
作っていました。そのマイスター像を目指し、今後の研修もがんばってください!!
3.木と生きる~人の成長と木の関係~ 15:00~17:00 戸巻朋子講師(木育マイスター2期生)
戸巻講師は、木育マイスター第2期生であり、認定こども園どんぐりで子どもたちといろんな活動を
されています。まず、どんぐりで実際に行っている取り組みについての説明がありました。
どんぐりでは人間としての根っこの部分、心の部分を育てたいと、木育、食育、自然教育の観点から
活動を行っておられます。その活動は、子どもたちと森の中で遊んだり、山菜を自分たちで取って食べたり、
どんぐりを拾って植樹活動をしたり、間伐現場の体験学習や工場見学をしたりと、ほんとに様々。
レイチェル・カーソン著『センス・オブ・ワンダー』にもあるように、自ら気付くこと、驚きをもって
感じること、が一番大事。子どもが自ら気付けて感動する場をつくること、興味・関心を引くような
導入にすること、など、実際に活動する上で心がけていることについてもお話がありました。
そして、実際に木のおもちゃで遊んでみることに!!いい大人が、みんな真剣に遊んでいました
その後、プラスチックのおもちゃにも触れてみましたが、みんな、いまいちの反応‥。
そして最後は、実際に遊んでみて感じた木のおもちゃと、プラスチックのおもちゃの違いについて
討論し、まとめて、本日は終了です。
9/3(月)
4.木とふれあい、木に学ぶ 9:00~12:00 三木昇講師(北ノ森自然伝習所)
2日目も好天に恵まれました
強い日差しと、結構な暑さの中、さっそく外に出て、大沼の森を歩きます。
三木さんの言葉や動きで、受講生はこの森の成り立ちや、実際に人を森に連れていく時に
どうやって森を感じてもらうかについて、身をもって学んでいました。
ハルニレのはっぱのざらざら感を実際にさわって感じる。
ノリウツギの樹皮をむくと、ノリのようにべたべたしていて、枝の真ん中が抜けたようになっていることを
見て、さわって、感じる。
ミズキの木は、枝が一カ所から放射状に出ているため、枝を切りそろえて玄関におけば、
鍵をかけておいたりするのに便利!「モノカケ」の木です!
↑同じくミズキの葉っぱは、葉柄の中心がねばねばしているので、うまくやるとこんなふうに長ーくできます!
完全にちぎってしまわないように慎重に‥。
三木さんの話は、木の特性から、森のでき方・作り方、昔の人がその木をどう使っていたか、
昔ながらの遊び方、森に人を連れていく心構え、リスクマネジメントに至るまで、ホントに様々でした。
木育マイスターたるもの、森へ行くこと、風を感じること、そして音を聞くことが大事。
「ああ~、森はエエなあ」と自分も感じて、森に来た人にもそう感じてもらうことが大事。と語る三木さんの
独特の話術に引き込まれ、受講生もとても楽しく講義を受けていました。
5.木とふれあい、木に学ぶ 13:00~15:00 西埜将世講師(木育マイスター1期生)
午後からは、木育マイスター第1期生の西埜講師から、森づくりの仕事についての講義です。
木育マイスターの研修は、実際にやってみる体験学習を基本としていますので、この講義も森に行きます!
西埜講師は、実際に大沼ふるさとの森で森づくりをしています。この森はもともとはカラマツを植林した森
だったのですが、放置されて、今はカラマツと、ナラなどの他の樹木が混在している状態との事。
どういう森づくりをするかは、森を最終的にどうしたいかで、やり方が全く変わってきます。
今日は、実際に受講生のみなさんに森づくりを体験してもらうため、間伐を行います。
そして、どの木を切るかは受講生のみなさんに決めてもらいます!伐採した木は、この講義の後すぐに
製材工場に運び、製材してもらいます。そして、その木で、研修第2回目で木工をしてもらうという流れです。
森づくりのために何の木を切るか、プラス、木工で何を作るか、そのためには何の木を切ったらよいか、
という二つの観点から受講生は真剣に木を選びます。
一班はミズナラとイタヤカエデ、カラマツを、もう一班はカラマツとサクラを選びました。
決まったら早速伐採!今日は昔ながらののこぎりでも切り倒します。受講生も交代でやりましたが、
難しい!!でも今日お越しいただいた名人の手にかかると、簡単そうに見えるんですよね、不思議です。
チェーンソーでも切り倒し、さらに玉切りにしていきます。この後は木をトラックに乗せ、製材工場に
運びます。受講生は一足先にバスに乗って、工場へ
6.木と生きる~暮らしと産業~ 15:30~17:30 工場見学(株式会社ハルキ)
今回の研修の最後は工場見学です!森町の株式会社ハルキさんに伺いました。
説明をしていただく方は、やはり木育マイスター第1期生で、ハルキさんにお勤めの鈴木正樹さんです。
ハルキさんでは、トドマツ、カラマツ、スギを中心に、道内産の針葉樹の製材を行っておられます。
スギがあるとは、さすが道南ですね!その他、輸入材・国産材のプレカットも行っておられます。
↑山と積まれたチップの上に興味津々で登らせてもらう受講生たち。
このチップは紙になるそうです。トドマツは白い材なので白い紙、スギ・カラマツは材に赤い色が混じるため
少し色のついた紙になるので、トドマツとスギ・カラマツのチップは分かれていました。なるほど~
ひととおり見学させていただいた後、いよいよ先ほど伐採した木を製材してもらいます!
製材方法も、何を作るかに合わせて、サイズを指定して製材していただきました!
ハルキさん、無茶なお願いを聞いていただいてありがとうございます!!
最後に木育マイスターの先輩であり、精力的に木育活動をされている鈴木さんから、
ハルキさんでは今は輸入材と国産材を同じ値段で売っているが、国産材を少し高くてもいいから
使ってほしい、という気持ちもあり、木育活動を行っていますというアツいお話を聞きました。
この研修が終わったあと木育マイスターとして活動していく受講生のみなさんも、そんな話を聞き、
いろいろ思うところがあったんじゃないかと思います。
これで、今回の研修も終わり!この後、受講生の皆さんはOJT(実地研修)と、
10月の第2回目研修を受講されれば、晴れて木育マイスター第3期生となられます!
OJTと次回の研修も、よろしくお願いいたします
(酒井)