量子コンピューターという思想
(その4)万物は情報である─ドイチの量子コンピューター
4-2-2・虚数コンピューターとモンスタームーンシャイン
(中編)モンスタームーンシャイン と
ミクロ・ブラックホール
◇ ラマヌジャンとミランダ・チェン
ここに登場するのは、直観型数学者ラマヌジャンを超弦理論と量子重力理論のなかで再発見する出発点を発見した3人の日本の科学者、江口徹・大栗博司・立川裕二。そして天才少女として彗星のように現れた台湾生まれの程之寧です。
2010年4月に始まるこの物語は、アイスランドの火山の噴火がきっかけでした。パリの空港で足止めを余儀なくされていたミランダ・チェン(程之寧)は、パソコンを食い入るように見入っていた。
女性サイエンスライターの Natalie Wolchover がこのときの状況をミランダ・チェンの内面から描いてくれます。
『2010年4月14日にアイスランドでエイヤフィヤトラヨークトル(島の山の氷河)火山が噴火した後、フライトのキャンセルにより、ミランダ C N チェンはパリで立ち往生しました。 灰が消えるのを待っている間、当時ハーバード大学で超弦理論を研究していたポスドク研究員のチェンは、オンラインで投稿されたばかりの論文について考え始めました。 その3人の共著者、江口・大栗・立川、は、遠く離れた数学的対象をつなぐ数値の一致を指摘していました。 チェンはひらめきました「それは別のモンスタームーンシャインのにおいがします」、 そして「果たして!別のモンスタームーンシャインだろうか?」という考えを自らに課していた。』
3人の共著者、江口・大栗・立川が発見したのは全く新しいモンスタームーンシャインでした、1978年に最初のモンスタームーンシャインが発見されてから30年が経っていたのです。これだけでも凄い発見でした、これは2010年の4月にオンラインで公開され、後にマシュー・モンスタームーンシャインと名付けられたのです。
ミランダ・チェンは2009年には量子重力理論に関する論文を書いていました。しかし、彼女の得意とするものはもっと数学的に広大な視野を持つことにあったようです。女性科学者の Valentina Disarlo はこうしたミランダの様子を「ステレオタイプを超えた数学の女性-ミランダ C N チェン」の中で次のように描いています。
『現代数学者のミランダ・チェンは、数学が不思議な方法でどのように動くかを示す非常に良い例です』、つまりミランダには数論への特別な気質が備わっていると Valentina Disarlo は感じ取ったのです。この気質こそラマヌジャンの精神そのものでしょう。ミランダ・チェンはラマヌジャンの(モック)テータ関数に惹かれてゆきます。「モック」とは「擬似」若しくは「擬」のことですが、このテータ関数が「擬2重周期」関数だったからです。
私は、すでに”(その3)- 5 宇宙羅針盤・テータ関数・共形幾何・保型形式”で「擬2重周期」テータ関数について記しました。ラマヌジャンが何故このような「擬=モック」という表現をしたのか?恐らく数学者の共通用語だったのでしょうが、専門家ではない私には解りません。
しかし、私の解釈ではモックテータ関数は自転と公転の2重性を表現しているものとして理解しました。さらにKamu Number TheoryではKamu次元の2重周期性にも及ぶものであることを次のファイルで示しましたので、参考にしてください。
─万物は回転する・ペンローズと宇宙大航海時代の羅針盤─(その3)- 5 . 宇宙羅針盤・テータ関数・共形幾何・保型形式
この「モック ⇔ 擬似性 → 多元的」をKamu Number Theoryから図式的に観ると
Θ ^ 2 (z +1)=Θ ^ 2 ( z ) → 単純周期性
Θ ^ 2 (z +τ)=[μ( z )]^ 2 Θ (z) → (モック)擬2重周期性
Kamu次元 → Mawari Te Meguru 2重周期性
Θ ^ 2 (z自転 +τ公転)=[μ ( z 自転 ) ]^ 2 Θ ( τ公転 ) → 擬周期性
彼女が発見し、共同研究者と共に精細に展開した新モンスターはラマヌジャンに倣って ”モック擬周期性・モンスタームーンシャイン”と名付けられたが、ミランダはこれを” アンブラル・モンスタームーンシャイン ” に変えて敢えて名付けた。アンブラルとは「影」のと言う意味だが、私はこれを「潜象」と、今後受け止めたいと思う。この命名には数学的な必然性があると共にミランダ・チェンの直観力のすごさが現れていると、私には思えるのだから。
◇ミクロ・モンスターとマクロ・モンスター
私が、ここまでミランダ・チェンのことを記したのは他でもないアンブラル・モンスタームーンシャインによって「ミクロ・ブラックホール」と「ミクロ・モンスター」の関係を示したいからだ。
さらにこの問題はミクロ・モンスター( Monster Micro )とマクロ・モンスター( Monster Macro )の関係へと進んでゆかなければならないと私は考えている。この関係を示す遷移図式における関係については次の図版をご覧ください。
図版:(2-2) Dimension √-1 • small Hi Monsterization and Tetration Model
ミランダ・チェンは、アンブラルムーンシャインの根底にある超弦理論を参照して、「これは、K3 表面の理論に作用する特別な対称性があることを示唆しています。この理論は、ブラックホールの内部など、直接観察できない場所での物理学を理解する方法かもしれません」と述べています。
チェンはこの発見に先立つ2009年に量子重力理論に関する論文を書いてる。このことと符合する発想力が、彼女の内面においてブラックホールの内部を解析できる可能性への気づきとして花咲いていると私には思われる。
実に驚くべきことなのだが、ブラックホールの内部構造を解明しようというのだ。そして、私たちはすでにそのブラックホールの内部へ K3 から遷移する過程を遷移図式の中で観てきました、そこに " E8 " という存在が浮かび上がってきているのです。
ここで言うブラックホールの内部構造とは天体の世界のことだけを言っているのではない。”マクロ(宇宙)ブラックホール” と ”ミクロ(原子核)ブラックホール” の内部構造双方を指しているのだ。これが ”図版:(2-2) Dimension √-1 ” で示したモンスターが形成している平行物理世界なのです。
ここで”平行宇宙論”の入り口が見えてくるのですが、D ドイチが展開している多元的平行宇宙との関係などはこの後(4-3)で詳しく触れたいと思います。
(4-3.平行多宇宙世界と正反対称歪性平行宇宙)
ミランダ・チェンは、2016年に到達した構想の中で、稠密なブラックホールの内部は24次元多様体であり、1種類のリーチ格子と23種類のニーマイヤー格子(合計24の格子)が存在すると考えられています。特にリーチ格子はブラックホールを1つの容積量( Relativity-Capacitive-Quantity )としてみたときの稠密構造を解明する糸口になるだろうというのです。
リーチ格子はもともと”球体詰め込みキス数問題”から発生している数学なので、凝縮して稠密になったブラックホールの物性を表現出来る数学モデルを提供しているのです。
ラマヌジャンのテータ関数からこうした驚くべき発展が見られるのだ。このことを1987年のラマヌジャン百周年記念会議の中で、理論家でサイエンスライターの F ダイソン は「ラマヌジャンの庭を歩く」という講演において次のように述べた。
「ラマヌジャンのモックテータ関数は、まだ発見されていない壮大な統合の魅力的なヒントを与えてくれます...私の夢は、超弦理論の予測を事実と一致させるのに苦労している若い物理学者の明日を見るために生きることです。自然界では、数学モデルを拡大して、テータ関数だけでなく、モックテータ関数も含めるようになります」と予言していたのだ。
ダイソンの夢を実現したのは台湾が生んだ天才数学者ミランダ・チェンだ、幸運なことにフリーマン ダイソン はミランダの仕事を見届ける事が出来た。いま彼女は量子重力理論の最先端を突き進んでいる。
◇モンスターのエントロピー(Ryu-Takayanagi formula 笠・高柳公式)
さて、量子コンピューターにとって重大な関心があるのはマクロ及びミクロ・モンスターがどれほどの情報を持っているかなのだ。それは量子コヒーレンスと量子エンタングルメントの裏にモンスターの情報が量子を支配して居るであろうという考え方が生まれているからだ。
ここでも日本の科学者が活躍している。それが ” 宇宙は量子ビットから創られる?という予想 ” のことだ。これを裏付けるのが「笠・高柳公式」というものだという。二人の科学者、高柳 匡, 笠 真生の成果はとにかく驚くべきものだ、ノーベル賞級だと私は思っている。
D ドイチが「宇宙(万物)は情報(量子ビット)である」と主張していることの真実性を、Ryu-Takayanagi formulaは裏付けるものだ。D ドイチが万物の理論の4本の柱と呼んでいるものをKamu Number Theoryの見地から整理しておこう。
①量子論 → 平行宇宙論 → 虚数と実数 → 潜象と現象
②計算理論 → 数学モデルの健全性 → アルゴリズムとバーチャル実在
③進化論 → ドーキンス → 正・反・逆進化 → 生命の相似象
④認識論 → ポパー・ポアンカレの直観論 → 直感と演繹
2番目の問題は明らかに ” 万物は量子ビット ” であることが前提になっていることが分かる。逆に、” モンスターは量子ビットから出来ている ” のだから計算理論が重要になったとも言えるわけだ。これが D ドイチの筋道なのだと思う。
2番目のアルゴリズムは数学モデルのことであるから、情報という観点に絞って考えれば、宇宙は極めてクリアーな存在として眺めることが出来ると言うことになる。これを量子ビット決定論と言うのだが、まさにアインシュタインの立場でもある。” 神はサイコロを振らない ”といったアインシュタインの復活なのだ。
D ドイチの考え方を分かりやすく言えば、ミクロ局所実在性とマクロ局所実在性のどちらも、つまり両方を平行して実在するものとして認めようというのだ。D ドイチの考えを彼自身の言葉で味わってみたい。一見、何のこともないように彼はサラリと言うのだが、ここには「Kamu次元」が裏に隠されているのだが、お気づきいただけるであろうか?
「川はある方向に流れているように見える。でも、(マクロ)川を構成する一つ一つの(ミクロ)水分子は、色々な方向に運動しているでしょ。でも僕らには、それを直接見ることができない。僕らは平均を見ているんだよ。水分子の『運動の平均 → 運動の確率ではない』をとると、ある方向の流れのように見える。それが川の流れさ。同じように、僕らは、量子世界からなる『平均的世界 → 確率的ではない統計的世界』を眺めているだけなんだよ」(杉尾 一のインタビューにD ドイチが答えたもの;2013年1月)
(Kamu次元 → 正反物性遷移 → アンブラル分配関数 → テータ関数 → ゼータ関数)
◇(ミクロとマクロの間)川の流れと、電線を流れる電気の物理
D ドイチはさりげなく日常世界の川の流れにミクロとマクロを繋ぐヒントを求めて説明している。そこには探求の末に到達した世界がある。そこで、私はもう一つの問題を皆様に投げかけなければならないのだ。
それが「電線の中を電気が流れる」という身近な問題なのです。この問題、実は未だに解明されていない見過ごされた問題なのです。なにっ!!、、こんなことが未だに解っていないなんてことがあるか!、、と思われることでしょう。
ところが、「川の流れ」の問題でさえ私たちは見過ごしていた重大な問題があったということを D ドイチ が教えてくれました。そして今この「電流問題」なのだ。じつは、今でもキチンとした理論的説明は出来ていない問題であり、20世紀の科学の力では解明出来なかった難問なのだ。
小寺克茂を私は「電流と電子の速度」というオンライン上の文章で知りました。世紀の難問を考えるために、しばらく彼の文章に付き合ってみましょう。
http://azusa.shinshu-u.ac.jp/~coterra/enjoyphys/current2.html
「電気と光とどちらが速いのか?」という子どもたちの疑問に端を発している」と、子供に促されて小寺の探求が始まった。「音波では空気の中で動き回っている窒素や酸素の自由分子の速度 約 500 m/s が原動力」
そこで「銅の場合のフェルミ速度は1.57×10^6 m/s らしい.この速さは光速の1%のオーダにせまっており,特殊相対性理論の影響を考えられる 速さである」のだから、当然、電気も光と競争するくらい早いと思うのだ。が、結果は違っていた。
「フェルミ球で表される自由電子達の運動量分布が,導線に電圧をかけた後どのようになるか?というと,計算の結果、各ベクトルに,平均速度 0.07 mm/s を加えたものになる. 逆に言えば,0.07mm/s とはこのようなモデルで求めた電子の平均速度である」.
「電流が電子の流れだと学んだ子どもは,電子の流速としてこの 0.07mm/s に疑問を持つであろう」となった。さあ、大人は子供にどう説明できるのであろうか?そこで、ウキペディアによれば「自由電子とか伝導電子」などと言うものは「数学モデル」でしか無いというのだ。つまり実験で確かめられた事実は無いのである。(ウイキペディアのいう「数学モデル」は「理想化モデル」と訂正しなければならないと私は思う。)
これでは子供を説得するどころか、自分を説得することも出来なくなってしまう。ここまで来れば、改めて川の流れを見つめるしかない。そこには、ミクロモンスターと日常レベルの関係 ” 平行して ” 日常生活とマクロモンスターとの関係が裏に隠されているというD ドイチの考え方に寄り添うしかないのだと思う。
(中編)終わり
(前編)へ
続いて → (後編)” 虚数コンピューターとボルンマシン ” ヘ
→ (前編)” テトレーションで見るモンスター世界 ” へ
(その4)万物は情報である─ドイチの量子コンピューター
4-2-2・虚数コンピューターとモンスタームーンシャイン
(中編)モンスタームーンシャイン と
ミクロ・ブラックホール
◇ ラマヌジャンとミランダ・チェン
ここに登場するのは、直観型数学者ラマヌジャンを超弦理論と量子重力理論のなかで再発見する出発点を発見した3人の日本の科学者、江口徹・大栗博司・立川裕二。そして天才少女として彗星のように現れた台湾生まれの程之寧です。
2010年4月に始まるこの物語は、アイスランドの火山の噴火がきっかけでした。パリの空港で足止めを余儀なくされていたミランダ・チェン(程之寧)は、パソコンを食い入るように見入っていた。
女性サイエンスライターの Natalie Wolchover がこのときの状況をミランダ・チェンの内面から描いてくれます。
『2010年4月14日にアイスランドでエイヤフィヤトラヨークトル(島の山の氷河)火山が噴火した後、フライトのキャンセルにより、ミランダ C N チェンはパリで立ち往生しました。 灰が消えるのを待っている間、当時ハーバード大学で超弦理論を研究していたポスドク研究員のチェンは、オンラインで投稿されたばかりの論文について考え始めました。 その3人の共著者、江口・大栗・立川、は、遠く離れた数学的対象をつなぐ数値の一致を指摘していました。 チェンはひらめきました「それは別のモンスタームーンシャインのにおいがします」、 そして「果たして!別のモンスタームーンシャインだろうか?」という考えを自らに課していた。』
3人の共著者、江口・大栗・立川が発見したのは全く新しいモンスタームーンシャインでした、1978年に最初のモンスタームーンシャインが発見されてから30年が経っていたのです。これだけでも凄い発見でした、これは2010年の4月にオンラインで公開され、後にマシュー・モンスタームーンシャインと名付けられたのです。
ミランダ・チェンは2009年には量子重力理論に関する論文を書いていました。しかし、彼女の得意とするものはもっと数学的に広大な視野を持つことにあったようです。女性科学者の Valentina Disarlo はこうしたミランダの様子を「ステレオタイプを超えた数学の女性-ミランダ C N チェン」の中で次のように描いています。
『現代数学者のミランダ・チェンは、数学が不思議な方法でどのように動くかを示す非常に良い例です』、つまりミランダには数論への特別な気質が備わっていると Valentina Disarlo は感じ取ったのです。この気質こそラマヌジャンの精神そのものでしょう。ミランダ・チェンはラマヌジャンの(モック)テータ関数に惹かれてゆきます。「モック」とは「擬似」若しくは「擬」のことですが、このテータ関数が「擬2重周期」関数だったからです。
私は、すでに”(その3)- 5 宇宙羅針盤・テータ関数・共形幾何・保型形式”で「擬2重周期」テータ関数について記しました。ラマヌジャンが何故このような「擬=モック」という表現をしたのか?恐らく数学者の共通用語だったのでしょうが、専門家ではない私には解りません。
しかし、私の解釈ではモックテータ関数は自転と公転の2重性を表現しているものとして理解しました。さらにKamu Number TheoryではKamu次元の2重周期性にも及ぶものであることを次のファイルで示しましたので、参考にしてください。
─万物は回転する・ペンローズと宇宙大航海時代の羅針盤─(その3)- 5 . 宇宙羅針盤・テータ関数・共形幾何・保型形式
この「モック ⇔ 擬似性 → 多元的」をKamu Number Theoryから図式的に観ると
Θ ^ 2 (z +1)=Θ ^ 2 ( z ) → 単純周期性
Θ ^ 2 (z +τ)=[μ( z )]^ 2 Θ (z) → (モック)擬2重周期性
Kamu次元 → Mawari Te Meguru 2重周期性
Θ ^ 2 (z自転 +τ公転)=[μ ( z 自転 ) ]^ 2 Θ ( τ公転 ) → 擬周期性
彼女が発見し、共同研究者と共に精細に展開した新モンスターはラマヌジャンに倣って ”モック擬周期性・モンスタームーンシャイン”と名付けられたが、ミランダはこれを” アンブラル・モンスタームーンシャイン ” に変えて敢えて名付けた。アンブラルとは「影」のと言う意味だが、私はこれを「潜象」と、今後受け止めたいと思う。この命名には数学的な必然性があると共にミランダ・チェンの直観力のすごさが現れていると、私には思えるのだから。
◇ミクロ・モンスターとマクロ・モンスター
私が、ここまでミランダ・チェンのことを記したのは他でもないアンブラル・モンスタームーンシャインによって「ミクロ・ブラックホール」と「ミクロ・モンスター」の関係を示したいからだ。
さらにこの問題はミクロ・モンスター( Monster Micro )とマクロ・モンスター( Monster Macro )の関係へと進んでゆかなければならないと私は考えている。この関係を示す遷移図式における関係については次の図版をご覧ください。
図版:(2-2) Dimension √-1 • small Hi Monsterization and Tetration Model
ミランダ・チェンは、アンブラルムーンシャインの根底にある超弦理論を参照して、「これは、K3 表面の理論に作用する特別な対称性があることを示唆しています。この理論は、ブラックホールの内部など、直接観察できない場所での物理学を理解する方法かもしれません」と述べています。
チェンはこの発見に先立つ2009年に量子重力理論に関する論文を書いてる。このことと符合する発想力が、彼女の内面においてブラックホールの内部を解析できる可能性への気づきとして花咲いていると私には思われる。
実に驚くべきことなのだが、ブラックホールの内部構造を解明しようというのだ。そして、私たちはすでにそのブラックホールの内部へ K3 から遷移する過程を遷移図式の中で観てきました、そこに " E8 " という存在が浮かび上がってきているのです。
ここで言うブラックホールの内部構造とは天体の世界のことだけを言っているのではない。”マクロ(宇宙)ブラックホール” と ”ミクロ(原子核)ブラックホール” の内部構造双方を指しているのだ。これが ”図版:(2-2) Dimension √-1 ” で示したモンスターが形成している平行物理世界なのです。
ここで”平行宇宙論”の入り口が見えてくるのですが、D ドイチが展開している多元的平行宇宙との関係などはこの後(4-3)で詳しく触れたいと思います。
(4-3.平行多宇宙世界と正反対称歪性平行宇宙)
ミランダ・チェンは、2016年に到達した構想の中で、稠密なブラックホールの内部は24次元多様体であり、1種類のリーチ格子と23種類のニーマイヤー格子(合計24の格子)が存在すると考えられています。特にリーチ格子はブラックホールを1つの容積量( Relativity-Capacitive-Quantity )としてみたときの稠密構造を解明する糸口になるだろうというのです。
リーチ格子はもともと”球体詰め込みキス数問題”から発生している数学なので、凝縮して稠密になったブラックホールの物性を表現出来る数学モデルを提供しているのです。
ラマヌジャンのテータ関数からこうした驚くべき発展が見られるのだ。このことを1987年のラマヌジャン百周年記念会議の中で、理論家でサイエンスライターの F ダイソン は「ラマヌジャンの庭を歩く」という講演において次のように述べた。
「ラマヌジャンのモックテータ関数は、まだ発見されていない壮大な統合の魅力的なヒントを与えてくれます...私の夢は、超弦理論の予測を事実と一致させるのに苦労している若い物理学者の明日を見るために生きることです。自然界では、数学モデルを拡大して、テータ関数だけでなく、モックテータ関数も含めるようになります」と予言していたのだ。
ダイソンの夢を実現したのは台湾が生んだ天才数学者ミランダ・チェンだ、幸運なことにフリーマン ダイソン はミランダの仕事を見届ける事が出来た。いま彼女は量子重力理論の最先端を突き進んでいる。
◇モンスターのエントロピー(Ryu-Takayanagi formula 笠・高柳公式)
さて、量子コンピューターにとって重大な関心があるのはマクロ及びミクロ・モンスターがどれほどの情報を持っているかなのだ。それは量子コヒーレンスと量子エンタングルメントの裏にモンスターの情報が量子を支配して居るであろうという考え方が生まれているからだ。
ここでも日本の科学者が活躍している。それが ” 宇宙は量子ビットから創られる?という予想 ” のことだ。これを裏付けるのが「笠・高柳公式」というものだという。二人の科学者、高柳 匡, 笠 真生の成果はとにかく驚くべきものだ、ノーベル賞級だと私は思っている。
D ドイチが「宇宙(万物)は情報(量子ビット)である」と主張していることの真実性を、Ryu-Takayanagi formulaは裏付けるものだ。D ドイチが万物の理論の4本の柱と呼んでいるものをKamu Number Theoryの見地から整理しておこう。
①量子論 → 平行宇宙論 → 虚数と実数 → 潜象と現象
②計算理論 → 数学モデルの健全性 → アルゴリズムとバーチャル実在
③進化論 → ドーキンス → 正・反・逆進化 → 生命の相似象
④認識論 → ポパー・ポアンカレの直観論 → 直感と演繹
2番目の問題は明らかに ” 万物は量子ビット ” であることが前提になっていることが分かる。逆に、” モンスターは量子ビットから出来ている ” のだから計算理論が重要になったとも言えるわけだ。これが D ドイチの筋道なのだと思う。
2番目のアルゴリズムは数学モデルのことであるから、情報という観点に絞って考えれば、宇宙は極めてクリアーな存在として眺めることが出来ると言うことになる。これを量子ビット決定論と言うのだが、まさにアインシュタインの立場でもある。” 神はサイコロを振らない ”といったアインシュタインの復活なのだ。
D ドイチの考え方を分かりやすく言えば、ミクロ局所実在性とマクロ局所実在性のどちらも、つまり両方を平行して実在するものとして認めようというのだ。D ドイチの考えを彼自身の言葉で味わってみたい。一見、何のこともないように彼はサラリと言うのだが、ここには「Kamu次元」が裏に隠されているのだが、お気づきいただけるであろうか?
「川はある方向に流れているように見える。でも、(マクロ)川を構成する一つ一つの(ミクロ)水分子は、色々な方向に運動しているでしょ。でも僕らには、それを直接見ることができない。僕らは平均を見ているんだよ。水分子の『運動の平均 → 運動の確率ではない』をとると、ある方向の流れのように見える。それが川の流れさ。同じように、僕らは、量子世界からなる『平均的世界 → 確率的ではない統計的世界』を眺めているだけなんだよ」(杉尾 一のインタビューにD ドイチが答えたもの;2013年1月)
(Kamu次元 → 正反物性遷移 → アンブラル分配関数 → テータ関数 → ゼータ関数)
◇(ミクロとマクロの間)川の流れと、電線を流れる電気の物理
D ドイチはさりげなく日常世界の川の流れにミクロとマクロを繋ぐヒントを求めて説明している。そこには探求の末に到達した世界がある。そこで、私はもう一つの問題を皆様に投げかけなければならないのだ。
それが「電線の中を電気が流れる」という身近な問題なのです。この問題、実は未だに解明されていない見過ごされた問題なのです。なにっ!!、、こんなことが未だに解っていないなんてことがあるか!、、と思われることでしょう。
ところが、「川の流れ」の問題でさえ私たちは見過ごしていた重大な問題があったということを D ドイチ が教えてくれました。そして今この「電流問題」なのだ。じつは、今でもキチンとした理論的説明は出来ていない問題であり、20世紀の科学の力では解明出来なかった難問なのだ。
小寺克茂を私は「電流と電子の速度」というオンライン上の文章で知りました。世紀の難問を考えるために、しばらく彼の文章に付き合ってみましょう。
http://azusa.shinshu-u.ac.jp/~coterra/enjoyphys/current2.html
「電気と光とどちらが速いのか?」という子どもたちの疑問に端を発している」と、子供に促されて小寺の探求が始まった。「音波では空気の中で動き回っている窒素や酸素の自由分子の速度 約 500 m/s が原動力」
そこで「銅の場合のフェルミ速度は1.57×10^6 m/s らしい.この速さは光速の1%のオーダにせまっており,特殊相対性理論の影響を考えられる 速さである」のだから、当然、電気も光と競争するくらい早いと思うのだ。が、結果は違っていた。
「フェルミ球で表される自由電子達の運動量分布が,導線に電圧をかけた後どのようになるか?というと,計算の結果、各ベクトルに,平均速度 0.07 mm/s を加えたものになる. 逆に言えば,0.07mm/s とはこのようなモデルで求めた電子の平均速度である」.
「電流が電子の流れだと学んだ子どもは,電子の流速としてこの 0.07mm/s に疑問を持つであろう」となった。さあ、大人は子供にどう説明できるのであろうか?そこで、ウキペディアによれば「自由電子とか伝導電子」などと言うものは「数学モデル」でしか無いというのだ。つまり実験で確かめられた事実は無いのである。(ウイキペディアのいう「数学モデル」は「理想化モデル」と訂正しなければならないと私は思う。)
これでは子供を説得するどころか、自分を説得することも出来なくなってしまう。ここまで来れば、改めて川の流れを見つめるしかない。そこには、ミクロモンスターと日常レベルの関係 ” 平行して ” 日常生活とマクロモンスターとの関係が裏に隠されているというD ドイチの考え方に寄り添うしかないのだと思う。
(中編)終わり
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