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And This Is Not Elf Land

OUR TOWN


シカゴ、Lookingglass Theatreで鑑賞。

ソーントン・ワイルダーが1937年に発表し、今もアメリカで、アマチュアからプロまで、最も上演回数が多いと言われる「古典的作品」

上演までの話


デヴィッド・シュワイマーが「高校生」のジョージ役なんて、どうなるんだろう?…と思ったけれど、全く違和感がありませんでした。…このプロダクションでは、中心となる2つの家族とも、家族間の年齢差があまりない。そして、どの人物も白を基調にした服装をしていて(3幕では黒い喪服を着ていた人たちが登場したと思うのだけど…あんまり確かな記憶じゃない)外見は、ある程度、観客の想像に任せられるようになっているよう…というよりは、一人ひとりの人物の「内にあるもの」に目が向くような演出なんだろうか?

話は前後していますが、上演されるのはスタジオで、ぐるりと四方に座席があります。座席数は200ぐらい(?)ほぼ埋まっていました。この劇は非常に簡略化された舞台で演じられるのですが、注目は天井…なんと、天井からおびただしい数のオブジェがワイアーで吊下げられているではありませんか。これは、勿論、この演目用にデザインされたものだそうです。(Youtubeで、このデザインが出来上がるまでの、スタッフたちの試行錯誤の様子が公開されています。)とにかく、見上げれば、テーブル、イス、台所用品、人形、もっと抽象的なものなど、日常のありとあらゆるもの(要素)がそこにあり、その中に巧みにライティングが組み込まれていて、星空のシーンは不思議な美しさを醸し出します。

とにかく、
私と連れ合いは…
「これ、地震が来たら危ないな」(?)
「うん、観客の頭をオブジェが直撃するよ、こわっ~」

スイマセン…
シカゴまでやってきて、
こんなことしか考えないのか(汗)


それで、このプロダクションのOUR TOWNなのですが…私にとっては、ちょっと「色がありすぎる」感じがして、昨年秋にChopin Theatreで観たプロダクションの方が好印象でした。こっちは、もうすぐオフ・ブロードウェーで上演されると聞いていますが…

今回の「舞台監督」役のジョーイ・ストロニックは、普段はコミカルな役もこなしている俳優なのだそうで…はっきり言って、見た感じも、話し方も、ジェリーサインフェルドっぽい(笑)だから、何でもない台詞が、この人独特の目線から語られているようで、笑いが起きます。ご近所づきあいや、愛情や家庭について語る個所なども、この人独特の「色」がつくのですね…「んん~、ここって笑うところだっけ?」と驚く場面もいくつか。

「笑が起きる」と言えば、前回観たプロダクションもそうでしたが、最初に舞台監督が彼らの「街」、グローバーズ・コーナーを紹介する場面で、さまざまな宗派の教会の位置の説明のときき「メソジストとユニテリアンはあっちで、バプテストは川沿いのくぼ地」そして「カトリックは鉄道線路の向こう…」というところでドッと笑いが起きます。この辺の感覚はちょっと分かりません(笑)

それと、第一幕の終わりに「これで一幕は終了です。一服ふかしたい人はどうぞ…」と1938年にワイルダーが書いたとおりの台詞を言うんですが、今のシカゴは公共の場は全面禁煙ですよね。ここでも苦笑が起きます。

ストロニックが演じる舞台監督に話を戻すと…ただ、この人の独特の個性を通して観れたことで、舞台監督の持つ役割についての新たな発見もありました。「俗」で「冗長」な会話が続きそうになると、積極的に介入して場面転換を図る役目でもあるのですね。そうやって、少しでも「真実」に近づけようとする… 

第3幕のエミリーの「絶望」は、このプロダクションでは比較的「静か」に演じられて、昨年秋に観たプロダクションのように、観客のほとんどが泣き出す(!)ことはありませんでした。死者たちの会話も非常に簡略化されていて、彼らの声が音声多重のように聴こえた昨年のプロダクションのパフォーマンスが圧巻で…そっちの感動がまだ残っており、今回の天井のデザインなどの視覚効果を狙った演出も、あんまり印象に残らなかったような感じ…

さて、デヴィッド・シュワイマーですが…結婚式でジョージが動揺するシーンに、かなりウケている観客の一群がいて…これって「フレンズ」とイメージが被るから?でも、結婚式で「なぜ、ここまで来てしまったんだろう?なぜ、同じ所に留まっていられなかったんだろ?」と動揺する気持はわかりますね(笑)

そう言えば、結婚式の朝、花婿の両親となるギブズ夫妻が「結婚前に怖かったのは、一か月もすれば会話の種がなくなることじゃないかということだった。黙りこくって食事をとることになるのかと」としみじみと話すシーンがあります。

黙りこくって食事をしていたらダメなんでしょうか?(笑)私から見ると「別にいいんじゃないの?」と思えるんですが…


このOUR TOWNは、しみじみと味わい深い、愛すべき作品であるけれど、何度も観ていると、みんな「答えを出すのに必死」なのが、ちょっと滑稽に思えたりもする。でも、彼らはそうやって生きてきたんでしょうね。

あっ、それと…デヴィッド・シュワイマーはFRIENDSの時よりも(推定)10キロは太っていました。(トップの写真を見ていただけたら…)でも、相変わらず目は印象的。目以外に顔の表情が変わらないのもユニークだった。

ウェブ夫人役のハイディ・スティルマンはLookingglassを代表する女優であるそうですが、さすがの演技でした。360度、どこから見ても隙のない動き。こういう人の演技を至近距離で観ることができたのはラッキーでした。

デヴィッド・シュワイマーasジョージの「愛の告白」も、ほんの数メートル先で演じられたのですが…FRIENDSのファンだったら大興奮だっただろうな(!?)
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