今御宿町では「コンニャク屋漂流記」という本がすごい話題になってます。というのも先日読売文学賞をこの本がとったということが町の広報誌に載ったので、本屋では店頭の一番目立つところに置いてあるのです。
作者は星野さんという作家であり、写真家で、ご自身は東京のお生まれですが、おじいちゃんが御宿岩和田の出身で、屋号がコンニャク屋で親戚も岩和田にたくさんいるということで、自分の祖先がどのように御宿に流れ着いて、今現在の自分がいるのかを確かめる旅に出るというノンフィクション小説です。コンニャク屋も珍しい屋号ですが、岩和田にはもっと珍しい屋号もあります。かぼちゃとかくそだるなど。
最初から「マタエム」の屋号のルーツの説明が出てきたりしてとてもテンポ良く読み進めることができました。ちょっとノンフィクションすぎて、こんなこと書いていいのかなという部分も有りましたが、自分が今あることが、遠い祖先が歯を食いしばって一生懸命生きてきたあかしが今ある自分につながっていることを実感できる本だなあと思いました。興味深かったのが家康が今の御宿にすごく多大な影響を及ぼしていたところです。歴史というのはこうしてひとりひとりの人生に影響してくるものなのだと思いました。
以前から知ってはいましたが、和歌山の人々がどうして400年前から外房に移り住むようになったのかがよくわかりました。岩和田にお寺が多いのもそこに理由があったのにはびっくりでした。こんな小さい集落にも様々な歴史があるのです。
御宿岩和田の方言がところどころに出てくるのも面白いです。「おいねー」とか、「~だお」など。
また漁師魂がよくわかる記述がたくさんあるのも勉強になりました。漁師は宵越しの金はもたないとか、博打好きとか、漁師同士の深い絆など。
ドラマになったりしてもとても面白いと思うのでどこかのテレビ局のプロデューサーの方にぜひ読んで欲しいです。興味のある方はマタエム書庫に置きますのでどうぞ。