マグリットの空と雲

旅,空,猫,馬,Champagne&美酒,美食,art,色,海&船…時にsurrealな、好きなもの写真雑記帳。

GOEMON

2009-05-01 | Movie/映画
江口GOEMONにシビレました~♪

天下の大泥棒、五右衛門がちょっとお茶目で人間味あって。
強くて、華麗で、男気あって、色気あって。
あれはズルいですよ、そりゃ、惚れますわ。

江口洋介なんだもん、もちろん、かっこ良くて当然。しかも、この作品のためにジムで肉体改造したのだそう。
どうりで、いままで見たことないほどシャープで、ワイルドなわけだわ。
それはそうなのだけど、最大限に引き出した紀里谷監督、スゴいなぁ。。

なんと言っても、ストーリーはむちゃくちゃ、……ではなく、奇想天外だ。
誰もが名前だけは知っている大泥棒を主人公に、これまた誰もが歴史で習う戦国武将たちを脇にして、時代考証も全く度外視したエンターテイメントに仕上げている。もちろん、正義の意味も価値観も変わって来るのだが、意外性たっぷりのキャスティングと性格付けと通説を踏襲する運命をクロスさせたストーリーはよくできていて、もちろんフィクションだと解っていても、その世界観では「そうなのかもしれない」気がしてくる。

映画はエンターテイメント。
そもそも、みなの知る石川五右衛門だって、実在だといわれているものの、”釜湯で”だ、”から煎り”だ、諸説ある京都三条河原で処刑された記録以外、ほとんど、その実像は知られていない。義賊として広く後世まで知られるのは、近松 門左衛門を代表とする浄瑠璃や歌舞伎の作品が人気を博してからで、千両箱抱えて大見栄切るのも、「絶景、絶景」の科白も芝居の脚色、江戸の庶民のエンターテイメントだったのだから、21世紀の現代の感覚で描くと、こんなエンターテイメントが出来上がるというのもじゅうぶんアリなのだ。

観る者をその世界に引き込むのを手伝うのは、やはり映像にこだわる紀里谷ワールド。国際上映も意識した映像創りだと思う。
バベルの塔か、はたまたSF映画に出て来る帝国かと思うような壮大な大阪城と城下町。
ファンタジー作品かと思うような幻想的な安土城。CGで丁寧に創られた異空間。
革のベストにスリムパンツ、地下足袋風ブーツ、超coolな五右衛門。ジャンプすれば、スパイダーマンかという鮮やかさで、屋根を越え、城塞を破る無敵のヒーローだが、ひとたび傷を負ってはだけた肉体からは、生身の筋肉が隆起していて、肉体臭さにドキッとさせられる。

紀里谷監督が、このGOEMONを江口洋介でキャスティングした時、『スワロウテイル』(96)の彼を思い出したからなのだそうだ。なるほど、わたし好みなわけだ。実は、わたしはその『スワロウテイル』を観て、江口洋介を好きになった。
そう、月9のロンゲでも、アンちゃんでもなく、『スワロウテイル』の変な中国語を操るリョウ・リャンキを観て、その男の色気に魅せられた。そこから好きにはなったけれど、あの時の色気を出している作品てなかったから。久々に新鮮。

話は戻って、GOEMON。
他のキャストも、豪華な面々だがみな曲者だが、とくに奥田瑛二の化けっぷりは見事。憎き敵としての秀吉の存在感を存分に出している。要潤は野心満々の石田三成を冷徹に演じきっていた。才蔵の大沢たかおは、はじめはちょっと線が細いように感じたが、ストーリーが進むにつれ、なるほど、忍びとしての苦悩と戦うひとりの人間がそこにいて。

ワタシ的には、初日から観に行って満足できた、見応えのある作品だった……。
自由を求め、たとえ「面倒なことになる」と忠告されても、その代償が残酷なものだったとしても、その運命に突き進むしかなかった男の物語。
たくさんの犠牲の上に在った戦国時代、世の無常さというか、儚さというか、なんともいえないやるせないストーリーだけれど、一筋の救い、希望だけは残る物語だと思う。


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