Billie Holiday: Autumn in New York
「走ることについて語るときに僕の語ること」を読んで・・
村上春樹ワールドにハマっている読者は、日本だけでないことは言うまでもない話で、昨日今日にハマっ者など熱烈なファン層から爪弾きされること間違いなし(汗)ですが・・
小説のその世界は独特で、読者を引き込むこのテイストは何だろう?と思っているところでこれを読み、「村上春樹」という人柄に少し触れたような気がしました。
エッセイのジャンルにあたるけれど、あえて「ランニングという行為を軸にした一種の「メモワール」として云々」とあるように、しっかりと「ランナー村上春樹」が存在する!と尊敬の念を抱きました。
何も知らない私は、単に健康維持のためのジョギングをされているのだと、思っていたからです。
事実私はそういう目的で走っていますから、しっかり走れているときはちょっと欲出して次の10キロのロードレースに出場しよう・・って思いますから、そんな感じかもしれない・・と。
でも、違いました!
動機の点ではそうでしたが、真剣に取り組まれていて、それは・・歴然とランナーなのです!!
私は恥ずかしながら10キロ以上はたいした距離を走ったことはありませんが、内容には説得力、共感できることが多く、やはりそこには村上春樹先生の哲学があるのだと思いました。
頭だけで考えることなく、全身をヘトヘトになるまで使って、単なる体を動かすだけの「快感」をすっかり通り越して、先生の言葉を借りるなら「オプショナルとしての苦しみ」を通じて「ものを創造していく」ということをされているのだと確信できました。
本の中で今の私に引っかかった文章は・・
「ただ僕は思うのだが、本当に若い時期を別にすれば、人生にはどうしても優先順位というものが必要になってくる。時間とエネルギーをどのように振り分けていくかという順番作りだ。ある年齢までに、そのようなシステムを自分の中にきっちりとこしらえておかないと、人生は焦点を欠いた、めりはりのないものになってしまう。」
その後に小説家として終始変わらない姿勢を述べられています。(文中の言葉では「作家」ではなく「小説家」と書かれています)
「十人に一人」のリピーターがあれば、自分の世界を創っていけるという強い信念は、やはり不況下にあってもびくともしない一部の成功者の言葉に通じるものがあります。
最後になりましたが、2005年のニューヨークマラソンの思い出の曲、いつも先生の作品にはいろいろな曲の題名があり、その度どんな曲だろう?と思いますが・・
この曲を思い出しそうな素晴らしい気持ちの良いお天気だったとか・・
綺麗な画像に懐かしい響きの歌声を聴いてみてください