2024年10月24日(木)
国民民主党の減税案「下に薄く上に厚く」
今回の選挙で、国民民主党は「基礎控除等の合計を103万円から178万円に引き上げ」るという政策を掲げています。同党の玉木代表がXに掲載した減税額の試算などから分析すると、この減税案の問題点が浮き彫りになってきました。
財源も示さず
第一に、この減税には巨額の財源が必要なことです。基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%として計算しても、1人平均15万円の減税で、納税者数を5000万~6000万人とすると、7兆~8兆円規模の減税になります。現在の所得税・住民税の税収(24年度で31兆円)の4分の1以上が失われる計算です。この財源をどう確保するかを示さないまま、「減税は大きい方がいい」というのでは、まったく無責任です。
第二に、国民民主党は「103万円の壁」を引き上げるといいますが、年収103万円を少し超えた程度の低所得者には、わずかな減税にしかなりません。基礎控除が大きくなっても、控除しきれないからです。たとえば、独身の労働者の場合、給与年収が120万円なら2400円、130万円で1・5万円、150万円でも4万円程度の減税にしかなりません。
第三に、75万円に適用税率を掛けた額が減税額となるため、税率が高い高所得者ほど減税額が大きくなります。年収2000万円では33万円、年収2500万円では38万円の減税です。
低い最賃目標
選挙戦で各党が「最低賃金1500円」を言い出している中で、国民民主党は「1150円」という低い目標を掲げています。そして、賃上げの代わりに減税をすることで、「手取りを増やす」というのです。
中小企業の最低賃金引き上げには国の支援が必要ですが、3年連続で史上最高益を更新し、巨額の内部留保をためこんでいる大企業は、自力で1500円への引き上げが可能です。それを求めずに、かわりに減税するという国民民主党の減税案は、事実上、大企業の賃上げを国が肩代わりするというものになっているのです。
(政策委員会 垣内亮)