人間の世界で大人となった私。
今までみてきた物は、
決してきれいな世界ではなかった。
人間世界ほど、
私欲にまみれたものはない。
でも私にも光がみえることもあった。
それは、今までに
出会った人の優しさだった。
「何か困ったら何でも話していいよ」と言ってくれる人がいる。
診察でも相談でも何でも
受け付けてくれる
(←こういう言い方したら
怒られるかもしれないけど)
お医者様がいる。
一緒に笑って話ができる人がいる。
ああ、なんだ、私は一人しか
この世にいないけど。
私のまわりから誰もいなかった頃とは
違うんだ。
そうやって思うようになった。
いつもは、心の中に見えていた道は
真っ暗で何にも見えなくて、
いつも星として目印になる何かを
誰かを探していた。
でも今は、星のない街でも
自分の足と手を頼りに
すすめるようになった。
人間とは不思議な生き物だ。
本当は、病気とは、
なっていいものではないけど、
病気になってから見えたもののが
元気だったころより
いっぱいできてきた気がするのだ。
その理由は今でもわからない。
(つづく)