背中合わせの二人

有川浩氏作【図書館戦争】手塚×柴崎メインの二次創作ブログ 最近はCJの二次がメイン

久しぶりの堂上家

2024年08月24日 05時49分52秒 | 【別冊図書館戦争Ⅱ】以降
   オリンピックで、柔道競技を観戦していた郁が、隣の堂上にたずねた。
 「篤さん、あれって内股からの寝技持込み? 速くてわかんなかった」
  身を乗り出し、テレビにかじりつく。青い道着の選手が白の選手を押さえ込みに入っているところだった。
  スローで、もう一回!と話しかけているのに苦笑して、
「テレビに言ったってしようがないだろう」
「でもォ気になる」
「あれは内股じゃなく、内股すかしじゃないかな」
 堂上も顎をさすり、試合を食い入るように見守る。確かに素人にはわかりづらかったかもな。いやしかし、郁だって教官として下士官を鍛える立場にある。純粋に素人とは言い難いか。
 思い立って、「説明してやる、今の技。ちょっと立ってみろ」とソファから立ち上がる。
「え、いいの?」
 ぱあっと表情を明るくし、郁は正対から組んでくる。Tシャツの襟を道着の奥襟に見立てて掴みにかかる。
 堂上はノってるなとニヤリと笑った。こういうところ、知りたいと思ったらすぐに動いたり確かめたりするところが郁の長所だ。
 尤も、勉強や試験などにはそうならないのだが……
「さっきのは、●●の国の選手の方が、こう足を払いにいったろ」
「うんうん」
「で、反対の選手がこう逃げ、逆に技を仕掛けにいった」
「うん。わかる、ここまでは」
 それからだな、こういって体勢を揺さぶってくずしにかって、内股すかしに入って、こういった。とぐっと郁を有無を言わさぬ力でラグの上にゆっくり押し倒して寝技に持ち込んだ。上背では郁に劣るものの、鍛え上げた堂上の身は岩のように重い。
 流れるような一連の技。堂上の技の解説は驚くほどわかりやすい。
 郁は彼の固い身体に抑え込まれながら、リビングの天井を見て「そっかあ。そういうことか、わかった」と声をあげた。
「篤さん、引退したら柔道の塾、開いたらどうかな」
「柔道の? 俺が」
「うん。強いし、教えるのうまいし、きっと繁盛すると思うよ」
 その笑顔を見下ろしながら「ん」と堂上は郁にキスをした。
 無邪気だなと思う。うちの嫁はいつにもまして愛らしい。
「俺なんか鬼軍曹って呼ばれて、誰も習いに来ないさ」
「そーかなー。少なくともあたしは行くよ」
「それじゃあ塾って言わないだろ」
「そっか」
 けらけら笑う。
 そんな彼女に堂上はもう一度キスを落とし込んだ。
  今度は軽いものではなく、気持ちの籠った口づけを。
「……ん」
「……う……ふ、」
 次第にそれは情熱を帯びたものに変わり、堂上の手が郁のTシャツの裾を暴き、肌をまさぐっていく。
 すぐに下着にたどりつき、それに覆い隠された淡いふくらみに触れた。
 あ、とか細く鳴くから、堂上は顔を上げて「いいのか」と尋ねた。
 郁は頬を赤らめながら、「……それ、訊きます?わざわざ」と拗ねた口調で言った。
「そうだな」
と彼も表情をくずしてまた郁の上に身を被せた。
 明かり、消して、篤さんという郁の懇願は、聞き入れられなかった。
 久しぶりのリビングでの交愛だから、全部見たいという夫の我儘に押し切られて。

 篤さんの寝技は、世界一だね。
 事後、そんなことを言ってソファのクッションに顔をうずめて照れるから、郁は一回では済まされず、また堂上の技を食らうことになった。

END

めでたしめでたし。笑
オリンピックの余熱がある内に書きたかったです。私の堂郁は珍しいので…… 数年に一度、ですので。笑
しかし、「明鏡止水」を見ていると、堂上役の岡田准●さんがあのようなほんものの武闘派になるとは、、、、、ね。







 








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