宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024)4月2日(火曜日)
通巻第8198号
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世界経済の大破綻を救っているのは日本だ
YENキャリーが中国を救い、米国債購入で米国の破産を食い止めている
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悪党たちは善意の日本に感謝しない。日本は日本で「武士は黙って、語らない」のが美徳。
日本が抱える米国の赤字国債、つもりつもって1兆1530億ドル(24年1月速報)、23年12月は1兆1380億ドルだった。正月を挟んで150億ドル増えているのだ。
もし、この内の1000億ドルを売却しても、1ドル=120円時代の購入であるとすれば、現在150円だから、3兆円の為替差益が見込まれる。なぜ売らないのか。米国にそこまで忠義を尽くす必要があるのだろうか?
ちなみに嘗て米国債保有額世界一だった中国は、外貨不足から一転して売却に転じており、23年12月に8263億ドルだったが、24年1月に7977億ドルと186億ドルを処分して手元資金に充当した。中国が売った分の殆どを日本が買った計算になる。
他の諸国は中央銀行が金を大量に購入したのに、日本は紙くずになるかも知れない金融商品に巨額を投じて、金保有を増やすことに熱意がない。だから円安が続いているとは言えないが、国家としての債権保有のポートフォリオが間違っている。
日本はマイナス金利を続けてきたため外国勢は安い日本円をドルに交換し、それがウォール街から金融商品になって、激しい勢いで金利の高い中国へ流れ込んだ。2019年に中国は対外債務が債権(対外純資産)をうわまわりはじめ、現在150兆円近い対外債務国に転落している。つまり中国は経常収支が赤字なのである。
比較して日本の対外債権は2019年以後もうなぎ登りで23年6月には300兆円に達している。皮肉なことにデフレに悩み不況と言われた日本経済は国内で有効な投資をしなかったために米国と間接的に中国に流れ込んで結果的には世界経済の破綻を救ったのだ。