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小池都知事に告ぐ。本気で改革したければ「会議の席順」から改めよ 官僚の習性をご存知か?
長谷川 幸洋
小池都知事に告ぐ。本気で改革したければ「会議の席順」から改めよ
官僚の習性をご存知か?
この問題、小池知事では無理かもしれない
東京都の築地市場移転問題が大荒れだ。移転先の豊洲市場で土壌汚染対策だったはずの盛り土がなく、原因不明の濁った水が溜まっている。小池百合子知事の手腕が問われるが、どうも期待できそうにない。
青果棟など主要施設の地下にあるはずの盛り土がなく、水が溜まっている実態は連日、テレビや新聞が報じているので、詳しい説明は省くが、要は「地下に盛り土をした」という都の説明がまったくの偽りだった。
建物には地下に降りるドアと階段があって、共産党都議団が水産卸売場棟の地下に降りてみたら、深さ1センチほどの水が溜まっていた。公明党都議団が入った青果棟の地下は水の深さが15センチもあったという。もっと深くなることもあるようだ。
だれが、なぜ、いつどのように盛り土を提言した専門家会議の提言を無視したのか。事態を解明し責任を問い、打開策をまとめ、都民の納得を得るには相当の時間がかかる。11月の移転はとうてい無理だろう。
都の役人のデタラメぶりは舛添要一・前知事の外遊が問題になったあたりからにじみ出ていた。昨年のロンドン・パリ5泊7日の視察旅行にかかった経費は5042万円だ。問題は金額の大きさだけではない。
6月17日公開コラム『新聞・テレビが逆立ちしても「週刊文春」に勝てないカンタンな理由』(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48927)で指摘したが、19人もの官僚が知事に同行した点がそもそも異常なのだ。いまどき大臣だって、そんなに多くの官僚は同行しない。都の役人たちはここぞとばかり大名旅行のお相伴にあずかっていたのだ。
公開された旅行費用の内訳は当初、黒塗り部分が多かったが、その後、たとえばコピー機代が実際は5万円だったのに、100万円近い予算を計上していた実態もあきらかになっている。こんないい加減な見積もりは霞が関でもありえないだろう。
それだけではない。舛添騒動が燃え盛っていた6月、都は副知事の増員を図った。
それまでは副知事3人体制だったが、世間の目が舛添問題に奪われているスキに1人増員を都議会に提案したのだ。舛添知事は辞任当日の6月21日付でオリンピック・パラリンピック担当という名目で認めてしまった(http://www.tokyoto-koho.metro.tokyo.jp/pdfdata/9122/2016_50.pdf)。
副知事は4人全員が都の役人出身である。官僚の高笑いが聞こえてきそうだ。認めた都議会も都議会だ。こういうところに与党と役人の癒着がうかがえる。
今回の豊洲市場問題で小池知事は事実関係の調査を命じたが、はたしてどうなるのか。手腕には期待したいが、どうも心許ないと言わざるをえない。
というのは、小池知事は都政改革を掲げながら、都の官僚機構に本格的なメスを入れるようには見えないからだ。
官僚の習性を全く理解できていない
具体的に指摘しよう。
知事は9月1日に都政改革会議を立ち上げた。都のホームページには第1回都政改革会議の動画や資料がアップされている(http://www.metro.tokyo.jp/tosei/governor/governor/toseikaikaku/01/document.html)。
一見して驚いたのは出席者の座席表だ(http://www.metro.tokyo.jp/tosei/governor/governor/toseikaikaku/01/documents/toseikaikaku_0831_03.pdf)。
改革をテーマに掲げる会議なら、トップが任命した民間有識者の委員たちがメインテーブルに座って議論するのが普通である。官僚たちは必要に応じて呼び出され、民間委員の質問を受ける。民間の目で行政をチェックして無駄や非効率があぶりだされていくのだ。
政府の会議では当たり前のフォーマットである。私はいま安倍晋三首相から規制改革推進会議の委員を拝命しているが、私たち民間委員が座るのももちろんメインテーブルだ。
ところが、都政改革会議でメインテーブルに座っていたのは副知事はじめ各局の局長たちだった。肝心の有識者委員(特別顧問や特別参与)たちはといえば、奥のバックベンチに押し込められていた。
座席表が示しているのは、改革のテーマと段取りを決めるのは副知事や局長たちであり、有識者委員ではないという実態である。これで「改革本部」とはあきれてしまう。官僚任せにしていて、真の改革などできるわけがない。
都民ファーストどころか「官僚ファースト」ではないか。
そもそも何を改革するのかもはっきりしない。無駄や非効率を改めるというなら、真っ先に挙がるテーマは天下りの整理縮小だ。たとえば、天下り先には都営地下鉄とか首都高速道路、水道、港湾関係など、あまたあるだろう。
そんな天下りの実態を役人任せの会議であぶり出せるわけがない。せいぜい適当にお茶を濁して、形ばかり改めたフリをするのが関の山だ。
小池知事の挨拶を動画でみたら「みなさんはいろんな仕事の経験があるから、こうすれば良かったという考えもあるだろう。現職の仕事にかかわらずぜひ、そういうアイデアを出してほしい」という趣旨の発言もあった。
これは「よその仕事にはけっして口を出さない」という官僚の掟を理解していない発言だ。
自分が所管しない他人の仕事にあれこれ口を挟んだら、官僚ムラでたちまち村八分にされてしまう。それでも口を出すケースがあるなら、それは「出来レース」という話である。私には知事が「上手に出来レースをやってね」と言っているように聞こえた。
ただ1人、メインテーブルに座っていた上山信一特別顧問(慶応義塾大学教授)も「職員にヒアリングしたが、みなさん改革意欲が十分で」などと話していた。最初から役人におべんちゃらを言っているようでは、とてもじゃないが、天下り縮減どころではない。
私は橋下徹前大阪市長に頼まれて、大阪市の公務員制度改革に関わった経験がある。担当した人事監察委員会では天下り先をすべて調べあげ、天下り一件ごとに妥当か否かを審査した。最終的に成果は提言の形にまとめて、橋下市長に提出した(http://www.city.osaka.lg.jp/jinji/cmsfiles/contents/0000175/175481/1.pdf)。
第三者が天下りを全部チェックしたことで透明性が増し、役人の側も「市民に見えないところで自分たちの勝手にはできない」と覚悟したはずだ。これが可能になったのは、トップである市長の姿勢がまず第一、それに徹底した情報公開である。
大阪のような改革を小池知事の都政改革本部に期待できるか。「自律改革」などといって事実上、官僚に丸投げしている限り、とうてい無理だろう。
豊洲市場問題は都の役人がいかにデタラメな仕事をしていたかを如実に示している。そこにどんなメスを入れるのか。小池都政はいきなり正念場を迎えた。
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