にざかな酒店

よこしまドリーム

と、言うわけで現実に刻停間にあるお店としてよこしまドリームは考えられていました。と言う感じの言葉を添えつつ。別にエッチな夢を立て続けに見てるお話じゃありませんよ。
よこしまドリーム

「琉留?李々をみなかったか?」
李々とちょっとした喧嘩をしたらしい魅厘は心配そうに琉留に聞いた。
琉留の返した答えはちょっと思いもしないものだった。
「李々ちゃんですか?李々ちゃんはよこしまドリームにいますけど?」
「よこしまドリーム?」
なんだそれは、という魅厘の視界がぐにゃりとゆがむ。

「よこしまドリーム」
それは手作りジャムのお店。
李々はここんところ手伝いに通っているという。
「李々はうちのお手伝いさんだぞ?なんで手作りジャムのお店なんかに通うんだ」
「って言ったって早朝は空いてますもの。李々ちゃんにはそれとなく叶えたい夢があるんじゃないですか?」
「と言ってもよこしまドリームなんてそんな店…」
「まあいいから、迎えに行ってくださればいいじゃないですか」
まあー、うんー、と何気に琉留にも弱い魅厘である。そのあと琉留の手作りの地図をみてどうにか歩いて行った。
甘い香り。
「ジャムを残して腐らせてしまう魅厘様はー、よこしまドリームを見ればいいですわー」
え?そして、再びゆがむ視界。
よこしまドリームって何、エッチな夢?
とにかくどの時間帯に、どの地図上に自分はいるのか。
これはきっと夢の中なのだ。そうだ、そう言えば空斗が出てきていないじゃないかーーーー。
甘い香りとともに、視界がコンパスが歪む。

「これは、ジャムを食べればなんとかなるという話か?それとも、空斗が出てきてないのが関係あるのか?」
ゆっくりと身を起こし。気づくと砂漠のようなところにいた魅厘だった。
「とにかく、元のところに戻らないとーーー」
元のところ?ってどこだったか。
これは本当のよこしまな夢に入ってしまったのか。
ボーダー柄。
しまうま。
そう言えば背景が白と黒の二色に見えてきたような。
ぐにゃり、とCGのような。
CGって、なんだっけ?
「だから、無理があったんだよ。夢魔の能力を取り込むなんてさあ…」
あれ?あれは空斗の声ではないか?
「とは言っても、魅厘様もこれがお仕事ですからー。大丈夫ですよ、魅厘様ですもの。帰って来れます。」
あれは、李々?それとも琉留?
声がする、声がする方に行かなければ。
甘い香りが行き先を鈍らせる。
「私は。元のところにーーー」
今持ってる能力は。

夢。だ。

と、そこで魅厘は目が覚めた。
「魅厘様…!」李々か、琉留が抱きついてくる。
「ああ、良かった、目が覚めた…!」空斗もいる。
「待て待て、今、おもいだすからな。夢魔の能力がなんとか言ってなかったか?」
「そうですよー」と、枕元に双子の残った方がニコニコとしていう。
「ちょっと今回の能力、取り込むには厳しかったみたいですねえ…」
「そりゃそうですよ、何人も取り殺した夢魔の能力ですよー?」
あー、うん、と思い出そうとするも、記憶は忘却の彼方だ。
「なんだったか、みた夢は…よこしまドリーム?」
三人は顔を見合わせた。
「よこしま?夢?」
「って…「ジャム?」」と、顔を見合わせて三人は笑った。
「なんですか、魅厘さん、それ出来過ぎですよ」
「いくらジャム好きだって、ねえ」
「いえいえジャム好きとか言いつつ、魅厘様ジャム食べられませんし」
くすくすと双子が似たような笑い声を立てる。
まあいいか、これが現実か。
ため息をつきながら、魅厘は軽く起き上がった。
「この夢を共有できたらな…」
「できるんじゃないですか?夢魔の能力ですよ?」
そんなこと言う空斗にも、若干すけべな夢でも見せてやろうかと思ったのだが、まあサービスのしすぎは良くないか、と思い返した魅厘だった。
「そう言えば、こないだ琉留がジャムを作ってたんじゃないのか?」
「あー、やだ、魅厘様。あれはコンポートですよ」琉留がふわふわと笑う。
「こぽーんと?違いがわからん」
「美味しければいいーんだ、ですよね?」と李々も笑う。
「まあ、甘いものは嫌いではない…が。残さないからまた作ってくれないか」
「魅厘様ー?」「どう言う心境の変化ですかー?」ステレオな感じの双子の声も現実だと思えば心地よく感じる。なんだ、現実。素晴らしいではないか。
「まあ、残したからみた夢だな…」
ブツブツと言う魅厘に、琉留が持ってきた甘い香りのコンポートが運ばれてきてーーーー。
まあそれから先は、言うでもない。現実の甘いものの話だった。
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