同人とかではおかしい感じの話じゃないけど…って、おかしいよ!?て言うお話です。
不自然だと萌えないのよねえ…みたいな。では続きでどうぞ。
らぶこめあるいはばっどこみゅにけーしょん
妙にそわそわしながら、朝食の席で魅厘さんがいった。
「なあ、空斗…今日は月影のは来ないのか?」
俺はため息をつきながらいう。
「魅厘さん、それ、昨日も言ってませんでした?そんなに月影に用事あります?」
明らかに照れ隠し風に味噌汁をすすりながら、魅厘さん。
「い、いや用ってほどじゃ。ただ、来ないのかなーと…なんでもない」
だから、その乙女モードがおかしいんだって。キャラ違うでしょう。
「魅厘ちゃんかわいいからー。草二さんだってきたいのはきたいんだと思いますけど今テスト前ですし」
ほらほら、その、李々さんの言葉もなんか不自然でしょう。魅厘、「ちゃん」とか呼んでるし、ましてわざわざかわいいなんて、普段の彼女の語彙じゃない。
「ちゃん、ってなんだか昔に戻ったみたいだな、李々」
「うふふ」
だから、ここんとこ、何かが確実におかしいんだって。
こういう展開になったら口はさみそうな琉留さんだってなんかうるうるしっぱなしで俺を見上げてるし。どうしたんだ、みんな。やめてくれー。
ところが、このヤメテクレ展開。学校に行っても同じなのである。
月影が取ろうとしてる本を先にとって渡したら、なんでかハートマークが飛んだ。
おかしいだろう!!
「みんな、なんだかおかしいわよね。」と文月がいった。
「おかしすぎるよね」と、俺。
「皆月くんはおかしい感じじゃないわ。これ、きっと誰かの能力でみんなおかしいのよ」
文月は冷静にいった。確かに、俺は人の能力が効かないタイプの能力持ちだ。
「ってことは、これは誰かの陰謀なの?でも、らぶこめモードにして誰が楽しいの?」
文月は困ったように、「さあ…それはわからないけど、でもおかしいのは確か」
「でも、なんで文月はおかしくないの?」
「おかしいわよ?」
「え?」
「私も、なんかちょっと頭桃色モードなのよね。実は」
実は、って冷静そうに見えるけど。他の人よりだいぶ耐久力高いらしい、文月。
「これ、早くなんとかしてもらわないと、ちょっと私も普通じゃないわ」
って、言われてもなあ。超能力の検索能力なんてないし、どうしたら良いんだ、これ。
今の魅厘さんに説明してもわかるもんか…。
というわけで、何かおかしい月影やら後藤くんやらから逃げつつ、放課後である。
なんとか頑張って巻いたけど。
また追いついてこないだろうなあ…っとに。なんで月影やら後藤くんまでおかしいんだよ。
あ、まさか、一上さんが犯人?とか?
彼女の能力って千里眼じゃなかったっけ。
能力の二重持ちとかあるのかなあ。
というわけで、一上さんを探してみる、と。オープンカフェらしいところでお茶を飲んでいる。
あれ、紅亜さんと一緒なんだけど。
「じゃあ、みんならぶこめモードになってるのね?」
「ええ、そりゃあもう、大変ですよ」
…はい?
なんか、変なこと聞いた気がする。と、紅亜さんは俺に気づいて手を振った。
「あら、青少年。良いことあった?性的に」
こらああああーーー!何知ってるんだ、あんたら。
「これね、あの、超能力者と結婚したい団体がいたじゃない」
「いましたね」
「彼らがセットしたらしい、らぶこめ装置の影響らしいのよね」
「はあ?何がしたかったの、彼ら」
「だからー、超能力者たちがらぶこめモード発揮したら自分らにもおこぼれがこないかっていう、そういう動機?で作ったらできちゃったらしい感じのもの。ああ、本当に大変なことになったらあれだから、だいぶ効果は弱めておいたのよ。彼らの最初のモードじゃ今頃どえろえろモードになってたわね」
正直、頭ががーんですよ。どえろえろモードって、おい。
「そ、それは、ありがとうなんですか?でもどうせなら全部効果を切ればよかったのに」
「まあちょっとくらい楽しませてあげようと思ったのよ。」
軽く鼻を鳴らしながら、紅亜さんは紅茶を啜った。
「でも、楽しくなかったかしら」
「そりゃもう、気疲れの塊ですよ…。」
「まあちょっとモードがおかしくても、催眠術じゃ人間本当に嫌なことはさせられないから。みんな多かれ少なかれそういう要望を持っているということよ。安心なさい」
いや、月影と後藤くんはおかしいだろ。あれは一上さんがモード弄ったな。
「あと半日くらいで効果切れるから」
ああ、それは…あと、半日か。がくり。
「あのね、俺、らぶこめモードになりたければ自分でアクション起こしますから。こういう不自然なのはちょっと、俺に合わないかなあ…」
っていうか、らぶこめ世界の住人ってみんなおかしいのにおかしいと思ってなくて偉いよな。初めてそんな実感したよ、俺。
「まあまあ、予期しないのも結構楽しいわよ。」
そうかなあ…。
「そういえば、二人は別にらぶこめモードっぽくないけど?」
「ああ、私はね。あんまり相手もいないし。ただ、ちょっと高揚はしてるわよ」
してるんだ…。
「そういえばあなたにキスしてあげるって言ってなかったっけ?」
いたずらっぽく紅亜さんは唇だけで笑った。
「なんで今頃そんなこと言うんですか、悪の組織が」
「そうそう、悪の組織のキスだったわね」
青少年をいい大人が何からかってるんだか。
「まあ、家に帰って寝てたらみんな元に戻ってるはずよ」
信用しますよ…それ。
家に帰ると、琉留さんが玄関口で待っていた。
「お帰りなさいー、空斗さん」
って、なんで抱きついてくるの…!?
「ちょっと、今君普通じゃないんだから。落ち着いて」
そっと手を外しながら言うと琉留さんは照れ笑いして。
「やだなあ、おかしいのなんてわかってますよ。らぶこめなんて生活の余剰ですから。生活がそれほど困ってないからこそ、こうして遊べるんじゃないですか」
「あ、遊んでるの?」
「え、とまあ少し楽しいですよね。ふわふわしてて」
「もう、琉留さん…」
「えへへ」
やっぱり普通じゃないんじゃないか。
「恋なんて少しおかしいものですよ」
そうやって幸せそうに笑うの、ずるいよ。
「楽しくないですか?」
「あーうん、ちょっと…ちょっとだけ、楽しい」
白状すると、今の琉留さんちょっと可愛くて、困る。
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