にざかな酒店

夏の魔獣2

あれ、これ、挿絵ネタバレじゃないか?
ええ、この話、ほとんど他のメンバーでちゃってるし、これは二人しか人出てこないのか?って思ってたら、彼女が残っていたんですねー。
ところで、なんかこのシリーズの絵、なんかちょっと変わった感じになってます。意図せずして!
獣の声がする。
それはすぐ近くまで近づいてきているような。
後ろを見ると、確かに、いた。
…ような、気がしたんだが。

たって、マゼンダ寝かしてるままだし、俺もそろそろ寝たいけど、そういうわけにもいかないよなあ…。朝になったら、ばーちゃんか誰かにマゼンダ任せて、俺は最近現れている魔獣とやらを見に行くことにしよう。
朝になるまで、俺はここで我慢だ。
なんとなく息苦しい。
獣の空気。やはり、これは俺かもしれない。
そういえば、今日は満月じゃないか。
今まで誰か殺したことはないと言っても、俺は狼だから。
どこかで、血の匂いが、やはりするのだ。
この女もきっと同類で、だから―――
マゼンダに手を差し出した途端、明確に何者かの動く音がした。ガタン、と扉のあたりで―――。
「誰だ!」
「あたた、見つかっちゃった」勢いよく扉を開けたものだから、ずるっとこけたらしいポニーテールが揺れている。
「………。って、レミー?なんで?」
「なんで?って、今日エルムちゃんいないし、マゼンダさん倒れてるんでしょ?」
「いやいやいや、本物か?俺そんな情報流してないけど」
「エルムちゃんいないのは私兄に聞いてたから、で、倒れてるのは、今見たから」
「あ!っていうか、エルムいないからマゼンダに手を出してるとか、そんなこと考えてただろ、お前!すけべだな」
「だ、誰がすけべよ!!違う違う、そんなんじゃなくって、私は好意でエルムちゃんもサラちゃんもいないし、暇だし助けてあげようかなって思ったのよ」
なんか確実に本物なことは本物っぽいけど、言ってることがおかしい。
「デバガメじゃ、ないんだな?」
「ん?」
「まあ、このタイミングは助かるけど、困るよなちょっとエルムいないくらいでデバガメされたらさあ」
「エルスさん…あなた、だいぶやましい気持ち、持ってるんじゃないの?」
じろっと見られてすみません、となるけど俺はそんなこと考えてないからな!絶対。
朝方?昼間?のあれ見られてたらやばかったけど。
あとね、ちゃんとご飯は食べてましたよ。簡単な中華粥だけど。しかもそれで二食通したけど。
思ってれば、あの時ちゃんと買い物に出かけて他に助け呼んでりゃレミーが来なくてもなんとかなったんだよなあ。遠い目。
身内が具合悪くてテンパってる時ってほんと、そんなんだよなあ…。
「まあ本当、きてよかったわ。マゼンダさん?あー、やっぱり熱がある。こういう時は、頭じゃなくて脇とか冷やすといいよ」
「そ、そっか…」
「で、なんかちょっとちゅるっとしたもの、ゼリーとかアイスとかあるといいんだけど」
「あ、アイスはなんか、あったんじゃないか?確かラルドがお供えでもらってたとかいう」
じろっと、レミーの視線。
「いつのよ。」
やけに力のこもった言葉である。
「いつのよ、って、に、2、3日前だぞ?」
「だったら大丈夫か、それ持ってきて。あとね、水分はちょっと横に置いとかないと、いちいち取りに行ったりするの、危ないから」
なんかレミーのペースに巻き込まれてるけど、いいか。
「に、してもなんか手際いいな、レミー」
いうとレミーはなんとなく照れ臭そうに言った。
「んー、ま、私も暑いの弱いし、結構体調崩すのよね。夏場。」
「大丈夫か?」
「結局自分の体調って自分でそれなりに監督するしか仕方ないものねー」
それは、小さいころ身内に頼れなかったからだろう。兄があれだしな。
まあ、ここはレミーに任せて、とりあえずアイスを取りに行こう。

そして、あいつ、だ。

「ん?マゼンダさん?なんか言ってる?」
「の、声がする…」
「え?」
「獣の、声がする…」

レミーは耳を疑った。そして、悲鳴。
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