にざかな酒店

ブラッディスト最終章四話

実は次回分の扉絵の方が描いたの先だった。っていう…。
まさか初の扉絵でじーちゃんラヒチが出てくるとは、とかいいつつ、意外とじーちゃんっぽくかけてるかも、とちょっとうれしい私でした。
というわけで、エルスも言う通り別に展開的になくてもいい回です。
意外とゆっくりした宴会編になってますが、そのうち事件に発展するはずなので…!
では続きでどうぞ。
よく飲んでる席では宗教と政治の話はするな、というがどうも近況を話すと出やすいのがいつもの生活からくる話で世間の風潮はどうだ、という話だ。
こればっかりは禁じてもどうしようもない話である。
最初にちらりと口を出したのはトルマさんの嫁さんのリンさんだが、どういうわけかじいちゃんの演説につながってしまった。
まあ正直、この部分は話から抜いても良い。
主人公の俺(エルス)が言うんだから間違いない。
ただ、抜いてもいい部分ってのも、割と重要で、それは多数決とかで決まる世界の話じゃないってのは覚えておいてくれ。んじゃ行くぞ。

「どうも最近年寄りははよ死ねて感じよねー」
ほう、とため息をつきながら言うリンさんは決して若作りではないが、ちょっと綺麗にしててうちの見るからにかわいい、て感じのばーちゃんとは違うばーちゃんの魅力だ。
「まあ年寄りはよ死ねってのは異論はないな。だいたい今までやることはやってきたんだし、楽しい事もまあまああったからな。ただな。」
と、ここできり、と涼しい空気。
「年寄りを粗末にすると、若者が荒れるのも促進させるよな」
それはわかるような気もします、とエルム。
「がんばって生きても年を取ればこういう扱いされるんだ、って思うとますますお年寄り大事にしなくなるし、自分もいつかはそういう扱いをされるんだっていう危機感ですよね。」
意外と優等生な答えだ。
「だいたい苦しめれば相手は引いて行くって考え方がなじめないわ」
マゼンダはらしい、意見だ。
「死ぬなら死ぬでいい死に方させてくれるといいんだけどねえ」
「まさにそれだ、フルール。」
ぴんと人差し指までたてて、完全に何かスイッチの入ってるじーちゃん。
「それそれ、それだ。そうじゃないと命を全うしようって意識も薄くなるだろう?」
ふむ、と相づちうちながら俺はそろそろグラスが空なのでおかわりしよう。
って、いつの間にかエルムの兄弟も知らんふりで宴会メンツに参加してるけどいいのか。
「それにあれだ、憎い奴はほんとは甘やかした方がいいんだよ。一番ボケやすいタイプって、やることない、いうことない、関心無い、不満もない、だからな」
「何事にもうっすーいのですか?」
それって、とエルムとマゼンダは顔を見合わせる。
誰か、心あたりがあったらしい。
「だんだん薄くなって死んでくってのがまあ理想なんじゃないか?」
「それは、ひと昔前の話だろ?俺じーちゃんに薄くなってほしくないし」
「お、言ったなエルス。嫁でもつれて帰ってきたら一気にじーちゃん薄くなるぞ」
「どういう意味だよ、それ…」
「心配でもさせとくうちが華ってことだろ」
そこで、最初の一杯を飲んでちょっと寝かかってるロッドが話に入ってきた。
今までサラといつもより速度遅く話してるか、ショーグリーンにつかまってるかだったのに。
「幸福って奴はたしかに人間を鈍感にさせる」
さすが、職業上なかなか重い一言だ。
でも、それだと今お前めちゃ鈍感ってことでは?と思わず突っ込みをいれたくなる。
「悪い奴がしっぺがえし食らうのってたいてい一時幸福を手に入れたときだもんな」
と、横からショーグリーンがいった。
「今まさにその時だろ」
「あー、自覚はあるんだ…」
俺と、エルムとマゼンダあたり?が一同に呟いた。
っていうか、ショーグリーンがべたべたしてるのにサラどしたの?って思ったら、どこからか掛け布団をんしょんしょ、と運んできている。
あー、誰かが寝そうだからか、準備いいなあ…。
「まあそこはそれ、まとめると…」
と、トルマさんがマイクを持ってシャウトした。
「しょーーーっもない死に方するのは世の中がしょーーーもないっんですよ!!」
いええーーーっ、と死人兄弟軍団。
じーちゃんはあきれかえった顔で、こっちを見て呟いた。
「やっぱり俺、薄くなってく方の死に方でいいなあ…」
「いや、ああいうじいちゃんの方がかっこいいだろ」と、俺。
「まあ、おじいちゃんには責任がありますからね。そうそう薄くはなりませんよ。」
にっこり、とかわいらしくばーちゃんがまとめた。
やっぱりじーちゃん、ばーちゃんにはかなわないなあ。
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