仕事を増やして自分の手柄にしたい校長はわんさかいるが、仕事を減らす勇気のある校長はほとんどいない。だから、教育現場はますますブラックになる。ヘタに減らすと次の人事で左遷される。そんな心配ばかりする校長が目に付く。
教員の長時間労働のツケは家庭と授業準備に降りかかる。今の先生方を見ているとかわいそうになる。授業で勝負できる職場環境を整備しないと、日本の教育は本当にダメになる。
もちろん、いい教育とはテストで点を取らせることではない。政治家もそこをきちんと理解しなくてはいけない。
私が三国丘高校に赴任した時に、先輩の先生から「10年は分掌の仕事はしなくていいから勉強してください」と言われた。その代わり授業は真剣勝負だった。受験レベルの授業をしていたのでは、生徒からの信頼を得ることはできなかった。「受験勉強は自分でするから、先生、面白い話をして」という生徒がいっぱいいた。
今は逆である。「テストで点を取らせてくれる先生がいい先生」。どこもかしこも「競争、競争」。点数が高ければ教育効果が上がったと考える。大阪トップ校でつくる「10校会議」の成績比較がいい例だ。生徒も親もレベルが下がったもんだ。
学区をなくして学校間の競争を活発にしたら、本当に教育効果が上がったといえるのか? 本当にそう思うならエビデンスを示してほしい。今までそんなデータ見たことない。