廣津留すみれさんの本を立て続けに読んだ。ハーバードでの勉強の仕方が日本と違っていて面白かった。
例えばハーバードの成績評価は、テストが75%で残り25%は授業での発言記録だという。先生が毎回発言を記録しているらしい。だから、いい評価を得るために学生は授業の前に質問内容を考えておいて、誰よりも先に手を挙げる。ほかの人が同じ意見を言う前に発言しないと価値がない。意地でもほかの人と同じ意見は言わない。
また、ハーバードでは「100ページの論文を読んで5ページで要約して自分の意見を書く」という課題が毎週のように出されるという。これは英語を母国語とするアメリカの学生でもものすごい大変らしい。
でも日本と違って、彼らは英作文(writing)の訓練を受けているから、テンプレートに従って論理的に書けるのだという。そのやり方を読んでいたら、普段私が高校生に論文指導しているやり方と全く同じであった。そうなんだ。ハーバードでも同じことをやっているのか。ちょっと自信を深めた。
日本の国語教育は読解と鑑賞ばかりで「書く」指導はおざなりである。せいぜいが夏休みの課題に読書感想文が出される程度だ。書き方は教えない。しかも、提出することに意味があって、内容はほとんど問われない。
ところが社会人になると状況は一変する。報告書、企画書、論文など、文章を書かされることだらけだ。書店に行くと、文章の書き方の指南書だらけである。ブログやSNSなどの書き方の指南書も多い。なかには、いかに「バズらせるか」を説くものまである。しかし、どの本を見てもしっくりこない。
「書く」という作業の90%は「調べること」と「考えること」である。日本の国語教育はいつから道を踏み間違えたのか。ハーバードがやっていることを詳しく書いた本がどこかにないかなあ。