教員をリタイアーすると「ポケット」が一つ減る。これを補うため去年から株式投資を再開した。普段、この手の本を読むことはほとんどない。しかし、書名に惹かれてつい買ってしまった。
私は20代から株式投資をやってきた。「経済学の知識を利用すれば、株式投資は短期間で儲けることができるはず」と信じていた。そして短期売買の投資スタイルを40年ほど続けてきた。しかし、全く儲からなかった。
当時の証券会社には株式投資で国民の資産形成をサポートする視点は全くなかった。資金が1千万円以下の投資家は「ゴミ」と呼ばれていた時代である。私もゴミの一人だったから、証券会社の手数料稼ぎのカモにされたのだろう。
「短期投資では勝てない」と考え方が根本的に変わったのは、数年前である。子育てが終わり、経済的に少しゆとりが出てきて、短期的な利益を追い求める必要がなくなったことが大きい。
◆「株式投資は長期に徹するべし」
◆「10年に一度ドスンと大きく値下がりした時が絶好の仕込み時」
◆「株式投資に経済学の知識は不要」
ようやく株式投資に対する自分自身の信念を持つことができるようになった。政府もNISAを導入して長期投資による国民の資産形成の後押しを始めた。数年かけて下値不安のない高配当株を探し、2024年8月、史上最大の暴落を機に一気に買いに出た。
発行されたばかりの「日経マネー」のページを恐る恐るめくると、私の購入した株は推薦リストの上位に載っていた。うれしかった。私の目は節穴ではなかった(笑)。
利回り3.5パーセント。金額にすればわずかな配当だが、これでもう一つのポケットができた。お金がお金を稼いでくれるという資本主義の醍醐味もちょっぴり味わえる。株式投資は長期投資が基本であることをもっと若い時に教えられていたら、もう1千万円か2千万円くらい資産が増えていたかもしれない。いやいや、欲は禁物。失敗をしたからこそ今の自分がある。
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後日さらに買い足して、利回り3.6パーセントのポートフォリオを組んだ。これまでずっとほしいと思っていた株を全部買ってスッキリした。とはいっても100株単位の分散投資だから金額は大したことはない。いっぱい買ったからいくらで買ったかも忘れてしまった(笑)。後は「果報は寝て待て」。Good fortune comes to those who wait.