著者は曹洞宗のお坊さん兼大学教授。30分で読める人生訓である。
◆ 人間の欲望というものは、たとえヒマラヤの山をすべて黄金に変えたところで、満たされることはない。小欲知足」
◆ 他と比べない。人は人、自分は自分。自分のモノサシで生きよ。
◆ 物事に固執しない。
◆ あせらない。あわてない。
◆ 勝ち負けにこだわらない。
◆ 「いい加減」を心得る。腹八分がよい。
◆ 逆境もまたよし
◆ 今を精いっぱい生きる
これを読んでいて囲碁にも相通じるなと感じた。囲碁を打っていると、つい勝ち負けにこだわったり、焦ったり、ここは俺の地面だと固執したり、はたまた欲張りすぎて大損をしたりする。また、「自分はあの人より弱い」などと他人と比べて落ち込んだりもする。
Hobbesは「人間は優越感以外の何物をも楽しむことはできない」と書いている。しかし、人間が比較のなかで生きている限り幸せにはなれない。自分より優れている人はいくらでもいる。フジコ・ヘミングが「私よりピアノがうまい人はいくらでもいる。でも、私は私の演奏するラ・カンパネラが一番好きなの」といっていた。人は人、自分は自分。
しかし、「オギャー」とこの世に生まれてから、多くの人は他人と比較されながら育てられてきた。比較を強要する最たるものが学校社会である。1点刻みで点数をつけ、その点数が時に人間としての価値を決定する。学校の成績と人間性は別だと頭では理解していても、どこかで世間の尺度を気にする自分がいる。
プロならいざ知らず、アマチュアは囲碁が弱くてもいいではないか。早く他人と比較する癖を追い払いたいが、一度染みついた悪習はなかなか取れない。