母のことです。
妻と二人で晩ご飯の用意をしていると、隣の居間から母がやってきて、奥の間の方を指さしながら「若い人らは、今日はいやへんのか?(いないのか?)」と真顔で言うのです。「若い人ら」(=複数の若い人)とはだれのことか理解できなかったので訊き返すと、「いや、若い人やがな、いやへんのか?」
私も妻も準備の手を止めて「???」
「“若い人”って誰やねん」と私。「家にいるのはお母さんと私らだけやで、〇〇(息子の名)は仕事行ってるで」と妻。それでも母はきょとんとした顔で「あ、そうか、いやへんのか」。
気味が悪くなったので、「誰のこと、言うてる? 名前は? どんな人?」と私が問い詰めたので、母は自分が何か不都合なことを言ってるに違いないと気付いたのでしょう、「いや、もうええ、もうええ」と居間に戻りました。
私が子供のころ、我が家は10人ほどの大家族だったのですが、そのころの記憶と混同しているのか? あるいは現実にないものをあると思い込んで現実と混同しているのか? いずれにしてもこれは大変なことになった! そう思いました。
夕食後、もう一度母にそのことを尋ねました。応答は落ち着いていましたし、やり取りもかみ合っていました。しかし、内容はどうしても理解できないものでした。
母が言うには、「お前ら(私たち夫婦)以外に、私が何かちょっとした用事を言ったらすぐに来てくれて、ササッとしてくれる女の人」「顔は思い浮かんでいるけど、名前が思い出せない」「2人いる」「背格好はそれほど大きくない」とのこと。「それって、入院してた時の看護師さんと違うの?」と訊いても「いや、たしかにこの家にいてたと思う」
それ以上は、母も「あかん、なんか違うこと思うようになってる、おかしいな、私」とそれ以上話すのをやめたがっているようだったのと、これ以上訊いても母の思い込みを繰り返し聞くだけになると思ったのとで、「たしかにおかしいで、それは」と言いつつ、その話はやめにしました。
母が自室に行ってから妻と話しました。もちろん答えは出ません。でも、多分入院中の看護師さんが夜中の小さな用事でもどなたでもいつでも親切でにこやかに対応してくださった印象が、どこかでリアルによみがえっているのではないか、ということになりました。それほど母のようすに真実味があったのです。ただ、今日の夕方になって突然そんなことを言い出したのは、なぜかわかりません。私たちが立ち働いていると、母はじっとしているのがいたたまれないように歩き回ります。それは「自分も役立つことをしたい」という願望が現れているようです。そんなとき母はよく家の中のこと(電灯がついてるか、とか)を脈絡なく確認しに来るのです。たぶん今日も家族のことを確認したかったんでしょう。ただその家族が実在しない人間だったのです。
それ以外の会話は、特に変なところはありません(良く忘れるのは相変わらずですが)。でもこの思い込み、手術後のせん妄がまだ続いているようで、私たち夫婦も何やら不安になっています。
ついでに…(見苦しい写真が出ますので、注意!)
私のあごの下が腫れています。昨日の夜からむずがゆくて腫れているんです。たぶん山すそを草刈りしていた時に何かの虫に刺されたんだと思います。草刈り作業中は(特に山の中やその近くは)、あちこちがチクチクして、そんなこと気にしてられないんですよね。妻が見て「これ、ハチに刺されたんとちがう?」と言ってましたが、そうだとしたら大したハチでなくて良かったな。昨日より腫れは引いていますが、グリグリに硬くなっているので、治まるのは一週間以上かかりそうです。とほほのほ!