金町火曜サッカー日記

サッカー経験ほぼ無しの俺が、葛飾金町で出会った見知らぬ大先輩たちのチームで練習(時々交流試合)する日々を記す。

チームナンバー1のハードワーカーを狙え

2021-11-03 08:20:14 | 日記

フットボールだけじゃないかもしれないが、2度追いという言葉がある。ボール保持者に奪いに行って、かわされた(はがされた)時に再度アタックをかけ追って行くことだ。

「そうだミサちゃん、もう1度」

最近、吉原先輩が俺の背中越しに飛ばす言葉。

「もう一回だ!」

こうなると3度追いだった。

実際これはかなりハードなワークなのだが、俺に任せられたワークに違いない。人間は居場所があって存在意義を見出すと、

「ああ俺も少しは求められているんだな~」

とか感激してついがんばってしまう生き物だ。俺はいまそれを実感している。その実感は練習後にも顕著に現れる。踵や足の裏がガタガタなのだ。ターンの連続なので足裏のマメも着実に育っている。やれやれだぜ…と充実感。

先輩たちの場数は半端ないから、ここぞという時のワンプレーには気迫を感じる。例えばボールをロストした時の相手に対する再アプローチは現役プレーになる。ずっと追いへたするとファール紛いで奪い返しに行くのだ。特に吉尾先輩は厳しく行く。敵の時、取りに行きたくない選手の1人だ。それ以外は至って温厚に声もかけたりしてくれるのだが、心して対戦しなければならない。

毎週の火曜日の練習が待ち遠しい。緊張もいまだにするが、最近は皆の顔を見るといろいろしゃべりたくなる。自信がついた訳じゃないが…このクラブでのキャラ位置も得てきたからかもしれない。俺は1番下手くそだ。自他共に認めるそのポジションをいまは全うし、だからこそ誰よりもポジティブな声を出して行こうと決めている。

「ドンマイドンマイ、次、次!!もう1回行こう!!」

「おいミサキ、それは自分で言うセリフじゃないぞ!」

それは俺がミスって敵にパスした時の安藤captainの激である。顔は笑っているので安心する俺はまだまだチキンだなのだが。

 


出て来い俺の中に埋もれたヒーロー

2021-10-10 18:16:11 | 日記

サッカースキルに関してのYouTubeをよく見るが、全く良い時代になったよなって感じている。自分の少年時代を振り返ると、ことサッカーについてなどは荒野を行く時代だったように思える。幸いだったのは、俺は当時サッカーに対する興味が薄かったことだ。野球少年全盛時代。各学年クラスには野球の即席チームが存在していた。父親の影響を受けて巨人ファンだったことからも外れない。

父のヒーローは長嶋茂雄。分かる、分かるよ天国の父さん。かっこよかったもんな。

俺も剣道の練習(1年くらいやってやめた)をサボって、引退試合を見た記憶がある。ちょうど今くらいの季節だった。手に白いタオルを持ち、球場内を一周する長嶋選手を見てもらい泣きした。長嶋選手は時々タオルで目頭を押さえていた。後楽園球場にも何度か連れて行ってもらったっけ。キャッチボールも楽しかったな。

…話がズレたが、サッカースキルを教えてくれるYouTubeは数多く存在していて、その効能や分かりやすさ、難しさのレヴェルは様々で、俺のような素人でも頭では分かった気にならせてくれていた。

だが実際にグランドに出て実践しようとすると…記憶からはぶっ飛んでしまっている。現状俺にできる事は限られるなと痛感した。いつも思い出そうと考えているうちに状況は変化し置いて行かれるから体ができる事だけをする、というわけだ。

そんな日々はしばらく続いた。

だから、いっそのこと新しいスキルを追うのを止めて、自分ができそうで良いと感じた基礎的なものを何度も繰り返し見るようにしてみた。

すると、それ+先輩方との練習を重ね何気ない会話を耳にしているうちに、自分の中で何かが変わってきた。やはり、頭と体はセットなんだなと実感した。リアリティがとても重要なのだ。

あと足りないものは多分その先の勇気だ。大袈裟かもしれないが、俺も失敗を恐れてきた日本的一小市民なので、吉原先輩が言ってくれたように

「サッカーはミスするスポーツだよ」

とは分かっていても…まだまだ時々弱気虫が首をもたげて卑屈に笑うのだった。

 

俺には伸び代しかない!

と開き直れる日が来ることを強く願って、俺は今夜も眠ろう。

 

 


フットボールに歳の差はいらない

2021-10-09 12:35:35 | 日記

久保ちゃん(大学生21歳)、将(22歳)の2人は火曜会では各メンバーの息子たち世代の若手だ。将(まさ)は俺がチーム内で唯一呼び捨てにさせてもらう選手で、コッチーさんが父上にあたり、サッカー歴は少年時代地元のクラブチームに所属していたと聞く。

「ボールを蹴ったのはそれ以来なんです」

と、将と初めて会った時に彼は言った。

将はドリブラーだ。それは皆の共通認識。飛びぬけたスピードがあるわけではないが、持たせると持っていける。クラブの紅白戦では、20分×4本を行うが、初めの2本は1人1プレー中3タッチまででパスがマスト、3.4本目からフリータッチになる。フリーになってからが将の見せ場だった。ドリブルの印象はスルスルっ⁈と抜けて行くタイプで、ズバズバっという感じではない。しかし、いつの間にか数人をかわして前に出ている。

もう1人の久保ちゃん。こちらは静岡出身で、名前を失念したが(大変申し訳ない)サッカーで有名な高校を出ているらしい。

「いや~もう動きませんよ、体が」

とか言って、さすがにブランクを感じさせるが(いや高校の頃並みに動かれたらこちらが対応不可)主に中盤の底を担う視野広いパサーだ。交流試合の時には敵の先輩方に

「君はシュート禁止ね」

「前に持ち上がり禁止」

と、多くの縛りを課せられ試合に入れてもらえている。しかし、ケンタロウさん、シュウさん、吉原さん、宏さんらと共に連続で出る固定メンバーの1人だった。

ある練習の時、将がつかつかと俺の側に来て、

「今日パスたくさん出すんで、ミサさん決めて下さい」

と、ボソッと言った。将は無口な方なので(周りとの歳の差があり過ぎることも影響しているはず)話しかけてくれるのは珍しい。普段は俺から話しかけることが多いので嬉しかった。俺が次週の練習は欠席(止む負えない仕事事情で)と知ってのことだった。

「ここに練習き始めてから、来れないと体が調子悪くなるんだよな」

以前、将にそう話したことがあったので気を使ってくれたのかもしれない。少し取っつきにくいが(多分人見知り)打ち解けるととてもいい奴だった。(父コッチーさんは怖い)

この2人がどう思っているのかは分からないが、歳の差を越えて共にプレーできる若いフットボーラーとの関りも火曜会の魅力の1つだと俺は思っている。


本気なら照れたりしない

2021-10-08 19:06:10 | 日記

最近よく俺を面白がってくれるのは宏さんだ。年齢は10歳程下と聞くが、火曜会ではもちろん先輩でサッカー歴も長く、俺は敬語で話す。宏さんはヘディングが上手い。よくアドバイスもしてくれる。俺にとっては親しみやすい人だった。

「もう動けなくなった」

と言っては息を切らしているが、ここぞという時はしつこく相手に食らいつく。思うに、俺はこの人の本気も垣間見た程度かと。実力者と見ている。主にボランチやオフェンシブMFを担っているセンタープレイヤーだ。

練習のアップ時に浮き球のパス交換をする。宏さんと組んでやるとそれになる。俺のトラップの訓練というわけだ。

「ムフフフフ、はっはっはっはっ」とか、

また宏さんがニヤニヤしている。俺はマジにやっているのに楽しそうだ。察するに、俺の動きが無様なんだと思う。時々ピッタリくると、

「そんな感じで」

と言って、胸か膝か迷う微妙なところに上げてくれる。これが難しい。膝でいいところを胸でトラップしたりして。

「いいパス出せばそんなにシュートは下手じゃないですよ」

ある時、宏さんが吉原先輩にそう言ってくれた。俺は照れくさくて、

「今のはたまたまですよ~」

とか誤魔化してしまった。嬉しかったのにな。

交流試合で宏さんからラストパスをもらったのに、外してしまったこともある。その少し前の時間に宏さんが1点決めた時、

「今のはパスだす余裕がなかった、ごめんね」

俺が結構距離を走って来てゴール前でフリーだったからだ。なんていい人なんだと思ってしまった。もらって決め切る自信はなかったけど、また出して下さい。

練習でもそんな宏さんと同じチームになるととても楽しい。

だから、もっと本気で面白がらせてみたいと俺は思っている。

 


丸いボールの転がる先に

2021-10-06 10:16:06 | 日記

世間には相性が悪そうで好きになれない人がいる。それは齢を重ねてそれなりの経験値から判断する場合と、直感的な霊感?に分かれるような気がする。しかし、サッカーの同じチームでプレーしてみると、そうとばかり言えないことに気づかされたりもするのだ。経験や直感が当てにならないことが多々あると思う。

その道の常識があってセオリーがあって、それに沿う経験者がいて沿わない素人がいる。アマチュアフットボールの楽しい側面とも言える。俺(ど素人)からすればいつもアップアップで必死なのだが、それは先輩方の余裕あればこその上に成り立っているのがサッカーなのだ。火曜会のメンバーは素人の俺にもとても寛容だった。

本当に感謝しかない。

生意気にも相性が悪い先輩がいたかのように記したが、当初、そんな気配を俺が勝手に感じてしまう先輩方が火曜会にもいた。FWのコッチーさんとMFの吉尾さんだ。コッチーさんはガツガツの点取り屋で常にゴールを目指す先輩だから、俺になど目もくれずパスは来ないだろうと思っていた。むしろ、味方の俺が持ったボールでも奪い取られてしまいそうなイメージだった。吉尾先輩はレフティーでラストパサーだけどゴールにも意欲的でLSHからカットインも見せる。安藤captainとは旧知を知る仲だった。

「なんだよ、ミサは良く倒れるな~」

吉尾先輩から最初に頂いたお言葉だ。プイと背を向けられてしまった。

この先輩の場合、俺の社会的拙い経験値からくる安易な判断(雰囲気が苦手)だったが、それは間違っていた。ある交流試合で、

「ミサはあまり降りてこないで前にいろ。パスが出せなくなる」

と試合中に指示された。俺はなんだか嬉しかった。まず、パスをくれるという事と俺を少しは見ていてくれたんだということ。思い込みの大ばか野郎だ俺は!と叫んだ。(もちろん心の中で)その後も守備に行ったり来たりしてしまったが、なるべく早く前線に上がろうという意識は高まった。先輩にとってFWに対するこの指示はごく当たり前のことだったかもしれないが、俺はフットボール仲間へと一歩近づけた気がして熱くなった。

「しばらくぶりに来たらみんな素早くてうまくなってる」

約3ヶ月ぶりに練習参加し終えたコッチー先輩がそう言った。この時、俺の顔を見ていたのである。それまで目を合わせたことがなかったので、俺は嬉しかった。俺のことも少しは認知してくれたのかな?と思えたからだ。

本当にサッカーには何が起こるか分からない。