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「ミサキ、二酸化炭素中毒になるぞ」
マスクを付けてサッカー練習をする俺に対して、安藤captainのお言葉だ。
「途中で下げたりしながらやっております」
炭素中毒になるのかならないのか?俺にはピンとこないが、先輩のありがたい助言として受け止めておく。俺はいまだにワクチンは未接種、多分に医者嫌いだった。俺くらいの年代には多いかもしれないが、医者に行くと体調を崩す気がしてならない。幼少期の歯科医によるトラウマだと思う。痛くないのにいじられて激痛になった記憶が俺のその後に悪影響を与えている。
練習で俺は走りまくるしかない。故に体はいつも酸素を欲している。火曜会の練習はハーフコートを横面にして行う。その日の参加人数にもよるが、ゲーム形式がほとんどだから全員が上下動を繰り返すトータルフットボール(きっとこの表現は古いが好みだ)並みに疲労する。
上手い選手は巧みにサボれる。
大先輩方は当然ご自分のペースでできる。
しかし、この中では若手寄り中堅層に位置し、しかも最弱ど下手の俺にできるのは、常にボールに向かって行くことだった。ほぼ無駄走りに終わっても。(オフザボールの動きとかのかっこいいものじゃない)
「ゴール前では、何でもいいからミサちゃんはボールに食いついて行きな」
コーナーキック時に吉原先輩は声をかけてくる。敵側にいる時も励ましからか、面白がられているのか…でも俺にはとてもありがたい。
「強いFWって、人の話なんかあんまり聞かないんだよな」
安藤captainがボソッと言った。
ムム???俺どうすりゃいいの?
当然…俺にはまだまだこの謎だらけのサッカーが魅力的でならないのだが。
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