「裏抜けてゴール前まで行けるけどシュートが下手くそ」
「シュート練習しろよー」
「トラップが下手過ぎる。練習しろよー」
近頃、俺が良く耳にする先輩方のありがたいお言葉だ。幸いなことに、みなアドバイスをしてくれる。俺があまりにも下手なので、見るに見かねてのことだろう。
「ミサちゃん、緊張してるって?サッカーは何度もミスるスポーツなんだから緊張なんか必要ないさ。もしやられたら、相手が自分より上手かっただけの事だろ」
「ミサちゃんは自分のチームでも対戦相手の中でも一番下手なんだから、緊張するなんて早い早い」
名言だった。俺はハートにゴラッソをぶち込まれた。これは安藤captainのセリフじゃない。金町火曜会No2の吉原先輩のお言葉だ。ぶっちゃけ、おちゃらけた酒飲みな見た目の人だが、FWをやればチーム1.2を争うポストプレーヤーで、ムードメーカー的存在でもある。連発するギャグも俺のツボを得ていた。
あるメモリアルな試合前、この言葉をもらって緊張感は吹き飛んだ。
「そうだ!俺はこの中で最弱なんだ。緊張なんて生意気だ」
俺はまた一つ自由になれた。ありがとう、吉原大先輩様。(ヨッシーと呼びたいがそれは絶対に無理だった)