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釧路阿寒自転車道 「湿原の夢ロード」

2022年08月20日 | 釧路



 釧路阿寒自転車道「湿原の夢ロード」



 北海道釧路市から阿寒町までを結ぶ総延長24.4kmのサイクリングロード。

 NIKKEIプラス1の「おすすめのサイクリングコース」で8位にランクインしており、釧路湿原展望台動物園などを経由する自然豊かな自転車道です。

 平坦で真っすぐな道が続くので走りやすい『釧路阿寒自転車道』について紹介します――。







 雄別鉄道


 この自転車道にはかつて、阿寒町の雄別炭山駅から釧路駅までの44キロを結び、石炭や旅客を輸送する雄別鉄道が走っていました。

 旅客列車が1日5往復、貨物列車が1日13往復で、石炭輸送の大動脈であり、釧路と阿寒、雄別地区の住民の重要な交通手段でした。

 1967年5月の地理院地図でも、釧路駅舎の東に延びた線路の北東側への分岐を確認できます。





 現在の釧路駅は、雄別鉄道が走っていた6番ホームは撤去されていますが、地下通路からホームに出る階段部分が残っています。

 駅裏の駐輪場からも遺構を見ることができるので、お立ち寄りの際は探してみるのもいいかもしれません。




 雄別鉄道の線路は、釧路駅から川北地区を通り、雄鉄線通りを経由して鳥取中学校のグラウンド横を通り、雄別炭鉱まで続いていたようです。

 (下記画像は1967年4月の鳥中付近の航空写真で、新釧路川に雄鉄橋梁が架かっています)





 1987年のゼンリン住宅地図によると、旧雄鉄橋梁は車両通行不可で、“釧路阿寒自転車道路”との記載があります。

 1970年代は江南高校前にもサイクリングロードが続いていましたが、雄鉄線通りの整備・拡張によって無くなってしまったようです。





 なお、旧雄鉄橋梁の延長線上にあった鳥取中学校のグラウンド横の歩道は、昔は白線のセンターラインが描かれた自転車道でした。

 その名残が、道路部分に描かれた自転車のマークとなって残っています。






 廃線跡を自転車道に


 最盛期には、従業員3000人を抱え、出炭量58万7000トンを記録した雄別炭鉱。

 石炭の積み出し駅だった雄別炭山駅の駅前通り周辺には、数多くの商店や住宅街が立ち並び、活気に満ち溢れていたといいます。

 しかし、石炭産業の斜陽化によって資金繰りが悪化し、1970年2月に雄別炭鉱が閉山したことで、1970年4月15日に廃線となってしまいました。

   


 その後、廃線跡を利用した自転車道が計画され、山花までは動物園の開業日に合わせて1975年10月1日に開通。
 
 山花から終点までは、1978年9月23日に開通し、釧路阿寒自転車道が全開通となりました。
 
 終点までの休憩所は、鶴野休憩所、北斗休憩所、山花休憩所、桜田休憩所の4カ所で、旧雄別鉄道の停車場があった場所が休憩所になっています。
 

           


 レンタサイクル

 
 釧路駅周辺で自転車の貸し出しをしているお店は、「釧路市民活動センターわっと」「釧路観光コンシェルジュ」「サイクルガレージPAZ」の3つ。
 
 「くしロコサイクルプロジェクト」では、乗り捨てができる『ワンウェイレンタルサイクリング』を行っているようです。
       
  
                
 


 スタート地点への行き方

 
 釧路阿寒自転車道のスタート地点は、セブンイレブン釧路昭和4丁目店の北西にあります。

 行き方としてはまず、釧路駅舎の地下道を通って駅裏に出て、北に延びる共栄新橋大通~新橋大通りを直進して、新釧路川に架かる鳥取橋を渡ります。
 
 
       
 
 
 そして、右手に見えてくるガソリンスタンドを右折して直進し、鶴見橋の手前にある六花亭前の十字路を左折。
 
 そのまま真っ直ぐ進み、左手に見えてくるセブンイレブンの先にあるT字路を左折して少し進むと見えてきます。(所要時間30分ほど)

 
       
 
 


 昭和休憩所~鶴野休憩所(3.8km / 21分)

 
 
      
 

 スタート地点から数キロは、自転車道の左右に街路樹が約5m間隔で整然と植えられています。
 
 
 
 
 街路樹の葉によってできたトンネルの中、どこまでも真っ直ぐに続く自転車道を涼しいそよ風を受けながら走るのは心地良いです。
 
 
 
 
 最初は住宅街の中から始まるので左右に住宅がありますが、途中から右側が湿原、左側が仁々志別川を挟んだ住宅街という景色になります。

 (最近は、道の脇にメガソーラーパネルが設置されている箇所ができているようです)

 
 
 
 市街地の中なのでまだまだ人工的な建物が多いですが、鶴野アンダーパスをくぐると景色が一変して、左右に湿原が広がります。
 
 
 
 
 そして、すぐに鶴野休憩所が見えてきます。鶴野休憩所には、ドッジボールコートとベンチとテーブルが数箇所、トイレがあります。
 
 
 
 
 小学校の自転車遠足で訪れた際、ここでドッジボールをした思い出がありますが、今はコートが荒れ果ててしまっているのが残念。
 
 
 


【雄別鉄道のホーム跡】
 
 鶴野休憩所の先に花壇がありますが、これは実は雄別鉄道のホーム跡です。
 
 
 
 
 コンクリートの部分にオレンジ色のペンキが塗られて花壇ぽくなっていますが、裏に回るとホームに登る階段が残っています。
 
 
 
 
 

 鶴野休憩所~北斗休憩所 (4.9km / 27分)

 
 
        
 
 
 北斗休憩所までは、左右に広がる湿原と、前方に広がる山を見ながら走ることになります。街路樹もまばらになって人工物も無くなり、のどかな大自然を味わえます。
 
 
 
 
 途中、生い茂る木々に隠れてあまり見えないですが、仁々志川も見ることができます。
 
 
 


【立体交差の橋台跡】
 
 鶴野休憩所を出て少し自転車を走らせると、サイクリングロードの右脇に佇むコンクリート状の大きな人工物が見えてきます。
 
 
 
 
 これは、大正末期から1972年まで活躍した鶴居村営軌道と雄別鉄道の立体交差の橋台の跡。
 
 
 
 
 簡易軌道は、火山灰地や泥炭地が多い北海道で、道路舗装が進むまで開拓と農業を支えた鉄道で、融雪期に交通が不能となる開拓時代の生命線でした。
 
 


 
【真っすぐに伸びる自転車道】
 
 ここから先は、雄大な大自然の中、どこまでも真っ直ぐに伸びる自転車道を風を切りながら自転車で疾走する気持ち良さを存分に味わえます。
 
 





【牧草を食べる馬】

 北斗休憩所までの自転車道の所々が牧草地になっており、時々牧草を食べる馬の姿を見ることができます。
 
 
 
 


【釧路市湿原展望台】
 
 鶴野休憩所から15分ほど走ると、釧路市湿原展望台へと続く国道53号線と交差するアンダーパスに差し掛かります。
 
 
 
 
 釧路市湿原展望台まではおよそ20分かかります。前半の10分は自転車で走れますが、後半の10分は坂道になっていて電動自転車じゃないと登れません。
 
 
 
 
 ちなみに、釧路市湿原展望台の遊歩道を左回りに15分ほど歩いた所にあるサテライト展望台からは、無料で釧路湿原の雄大な景色を堪能できます。
 
 
 


【北斗休憩所】
 
 北斗休憩所は、鶴野休憩所とほぼ同じ作りになっていて、ドッジボールコートとベンチ、テーブルが数箇所とトイレがあります。
 
 
 
 
 ただ、管理があまり行き届いていないようで、ドッジボールコートは荒れ果てて雑草が結構伸びているので、早急な整備が望まれます。
 
 
 
 
 

 北斗休憩所~山花休憩所(4.6km / 25分)

 
 
 
 
 北斗休憩所を出発すると前方に小さな橋があり、そこから仁々志別川を見ることができます。ここでは、生い茂る木々に邪魔されずに釧路川をはっきり望めます。
 
 
 


【放牧中の牛の姿】
 
 しばらくは左右が湿原の草原という景色が続きますが、しだいに牧草地になり、放牧中の牛を見ることができます。運が良ければ、丹頂鶴も見ることができます。
 
 
 
 
 自転車道のすぐ脇に牛舎が数箇所あるので、景色的には結構楽しめます。
 
 
 
 
 牛舎の脇にも牛が放牧されてるので、タイミングが合えば間近で牛を見ることができます。休憩がてら、自転車をとめて牛見物をするのもありかも。
 
 
 


【マルシェ山花】
 
 山花休憩所近くの牛舎の先の交差点を左に曲がると、マルシェ山花という店があります。ここにはトイレもあって、ソフトクリームも売っています。
 
 
 
 
 ソフトクリームはコクがあって美味しく、バリエーションも豊富。冷水のサービスもしてるので、休憩がてら寄るのもいいかも。
 
 
 


【山花休憩所】
 
 山花休憩所にはベンチしかなく、しかもコケが生えまくってるのでここで休む人はいません。
 
 
 
 
 休憩所の先を右折すると山花温泉や動物園があります。動物園の前には定食屋と売店があるので、腹ごしらえと休憩にはベスト。
 
 
 
 
 売店で売っているザンギバーガーがなかなか美味で、手軽に食べれるのでおススメ。山花温泉には、レストランやトイレもあります。
 
 
 
 
 

山花休憩所~桜田休憩所(5.7km / 31分)

 
 


 
【緑のトンネル】
 
 まず最初に、木々でできた緑のトンネルの中をひたすら真っ直ぐ進みます。
 
 どこまでも続く木々の緑道トンネルの中、真っ直ぐに伸びる自転車道の上を思いっきり飛ばすと最高に気持ちが良いです。
 
 


 
【森ステージ】
 
 桜田休憩所へ向かう自転車道のほとんどが森や林の中を走行することになるため、熊出没注意の看板が緊張感を誘います。
 
 
 
 
 農耕車両の走行に対する注意喚起を促す看板も出てきますが、そういった状況に遭遇することはまず無いです。
 
 
 
 
 桜田休憩所までの走行中に時々、左手に阿寒川が顔を見せてくれます。間近で川の流れが見れるので、良い気分転換になります。
 
 
 


【アドベンチャー感満載】
 
 釧路阿寒自転車道の後半は、自転車道の左右に木々が生い茂る森のような風景が続くので、前半に比べてアドベンチャー感が凄いです。
 
 
 


 また、アスファルトの継ぎ目が広がって段差になっていて、数メーター置きに自転車に衝撃が走るので注意が必要。
 
 
 

 ちなみに、秋になると天日干ししている牧草ロールも見ることができます。



 

 山花休憩所から30分ほど走ると、右手に桜田休憩所が見えてきます。休憩所にはベンチとテーブルが数箇所、トイレが設置されています。
 
 
 
 
 

 桜田休憩所~終点(5.4km / 30分)

 
 
 
 
 終点の舌辛原野までの自転車道はあまり整備されていないため、かなり路面状態が悪いです。
 
 
 
 
 ここでの風景は、前半は左右が草原ですが後半は林になり、とうもろこし畑も見られます。また、時々、阿寒川も左手に見ることができます。
 
 


 
【飛行機との遭遇】
 
 桜田休憩所から300mほど走った所に、車の進入防止の什器が2つ並んでいます。
 
 
 
 
 その少し先でタイミングが合えば、女満別空港から本州へ向けて飛行している飛行機を見ることができます。
 
 写真では小さく見えますが、かなり低い所を飛んでいるので飛行機が大きく見えて迫力があります。
 
 
 


【マイナスイオンの林】
 
 途中、パークゴルフ場の手前に背丈の高い木々のトンネルがあります。
 
 
 
 
 ここは空気中のマイナスイオンの充満感が物凄くて、個人的に“釧路阿寒自転車道のパワースポット”と呼んでいます。
 
 明らかに空気の密度が違うのがはっきりとわかるので、体験する価値大です。
 
 

        



【パークゴルフ場】
 
 木々のトンネルを抜けると、右手にパークゴルフ場が見えてきます。
 
 
 


【阿寒川】
 
 パークゴルフ場を過ぎるとまた林道の中を走ることになり、それを抜けると丹頂橋という橋が見えてきます。
 
 橋の両側からダイナミックな阿寒川の流れを間近で見ることができます。
 
 
 


【終点】
 
 丹頂橋を渡りきって少し行くと、釧路阿寒自転車道の終点に到着。
 
 
 
 
 大々的な標識があると思いきや、道端の看板に小さい文字で終点と書いてあるだけなので、うっかりすると見落としてしまうので注意。
 
 
 
 
 終点からさらに走り、一般道路に出て目の前に見える公園の右側を進んだところに、阿寒方面からの釧路阿寒自転車道のおわりを示す標識があります。(どっちが終点?)
 
 
        
 


【雄別鉄道の記念碑】
 
 中央公園の手前にある阿寒町商工会館の左側に雄別鉄道の記念碑が建っています。記念碑は、雄別鉄道閉鎖10周年記念事業として1980年5月3日に建立されました。
 
 
 
 
 かつては商工会館と中央公園の間の道路に、雄別鉄道の阿寒駅舎があったそうです。
 
 
 
 
 中央公園から自転車で1分もかからない所にセブンイレブンや数軒の定食屋があるので、長旅で疲れた心や体を休めましょう。
 
 
 
 
 
 

 編集後記

 
 釧路阿寒自転車道は、「サイクリングロード」として釧路の子供たちに親しまれてきました。
 
 小学生時代の自転車遠足では、小3の時に鶴野休憩所、小4で北斗休憩所、小5では動物園、小6になると動物園の先にあった山花冒険広場というのが定番でした。
 
 
       
 
 
 放課後に友だちと自転車に乗ってサイクリングロードに遊びに行って、自転車道の脇の湿原の水溜りで蛙の卵をとった思い出もあります。
 
 今回、自転車道を終点まで走ってみて感じたことを書いてみたいと思います。
 
 
 
【終点の標識の改善】
 
 釧路自転車道の終点の標識。

 総延長24.4kmにも及ぶ自転車道なので、達成感を感じるようなゴール標識が立っているのかと思いきや、自転車道の脇に凄い地味な看板が立っているだけです。


       


 私は、初めて自転車走破した時に見落としてしまい、車道に出て「あれ?」と思って引き返してようやく発見しましたが、達成感も何も無くてがっかりしました。
 
 
       
 
 
 その後、一般道に出てしまって「あれ?」と思って引き返してようやく終点の標識を見つけて、「ここがゴールなの?」という感じで達成感も何も無かったのが残念でした。
 
 釧路阿寒自転車道の管理者には、終点をもっとわかりやすく、達成感が出るような標識や看板を設置してほしいものです。
 
 
 
【バスケットボールコート化】
 
 そして、鶴野休憩所と北斗休憩所にあるドッジボールコート。
 
 
       
 
 
 私が小学校の頃は綺麗な状態で、遠足の時にクラス全員でドッジボール大会をした思い出がありますが、今はすっかり荒れ果ててしまっています。
 
 屋外のバスケットボールコートは市内にあまり無いので、整備をするついでにバスケットボールコートに改修するのもいいかもしれません。
 
 周囲に住宅が無いので、騒音を気にすることなく気兼ねなくドリブルできるし、子供たちの運動不足を解消する良い遊び場になると思います。
 
 
 
【歴史的建造物の説明パネルの設置】
 
 鶴野休憩所の自転車道を挟んだ向かい側に、旧雄別鉄道「鶴野駅」のホーム跡があります。
 
 
       
 
       
 
 
 でも、標識もなにも無いので、ここが昔、雄別鉄道の鶴野駅のホームだったことをほとんどの人が知りません。
 
 ホームの壁面がピンク色に塗られているため、私も子供の頃からその場所は花壇だとばかり思っていました。
 
 
       
 
 
 話は変わりますが、横浜の赤レンガ倉庫の近くには昔、横浜駅があったんですが、そのホーム跡が歴史的建造物として整備されています。
 
 ホーム上にあった上屋も復元し、脇には説明板を設置して、ここが昔どういったものだったのかがわかるようになっています。
 
 
       
 
 
 自転車道のホーム跡も同じように整備すれば、遠足などで訪れる子供も自分の街の歴史に興味を持つし、郷土愛を育むきっかけにもなると思います。
 
 また、鶴野休憩所を出て少し先の自転車道右脇に、大正末期から1972年まで活躍した鶴居村営軌道と雄別鉄道の立体交差の橋台の跡があります。
 
 ここにも、当時の写真と説明を書いた説明パネルを設置すれば、上述のような効果があるのではないでしょうか。
 
 
       
 
       
 
 
 
【釧路の新たな観光スポットに】
 
 今回、釧路阿寒自転車道を走破して感じたことは、各休憩所までの風景に様々な個性があるということ。
 
 また、北海道のどこまでも真っ直ぐ続く道路を車で走る気持ち良さのほかに、どこまでも真っ直ぐ続く自転車道を自転車で走る気持ち良さもあることも知りました。
 
 
 
 
 
 
 自転車道の所要時間は、前半コースである昭和休憩所から山花休憩所までは約1時間、前半+後半の終点までは約2時間かかります。
 
 全休憩所を走破せずに、体力的・時間的に到達可能な休憩所で折り返して、お手軽に北海道の大自然を体感するのもありだと思います。
 
 今後、釧路市には、釧路駅からのアクセスを良くしたり自転車道の施設を整備したりして、釧路の新たな観光スポット化に力を入れてほしいものです。
 
 これほど素晴らしいコンテンツなのに、宝の持ち腐れ状態になっているような気がします。
 
 また、観光で釧路を訪れて時間に余裕がある方、釧路の新しい魅力を体験したい方は、釧路阿寒自転車道を一度自転車で走ってみることをお薦めします――。
 
 
 
        
 
 
 

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