電動キックボードMEISYA列伝

電動キックボードなどの特定小型原付全般のブログです。
毎回、少しマニアックな視点で書いています。

電動キックボードMEISYA列伝 #10 KS6PRO

2024-03-10 00:00:00 | 日記

ども、電動キックボードMEISYA列伝の執筆者のmojyaoです。

 

さて、今回はこのブログでも名前だけは度々登場しているKS6PROを取り上げていきたいと思うのですが、実を言うと過去の記事のRichbit ES1PROの時にKS6PROとES1PROはあまり語ることが無いと書いたことがあるんですね。多分、読者の方の中でも覚えているっていう方もいると思います。

 

その時、その理由についても少しは触れたのですが、これらの車種の車体構成は非常に標準的で、見た目的に新しい部分があるわけでも無ければその逆も無いというわけです。

 

そんな中でKS6PROを取り上げるわけなのですが、この車種の優れた点のひとつとしてあげられるのが前輪の足回りのジオメトリーなんじゃないのかな?と私は思っています。良好なバランスだと思うんですね。

 

ちなみにジオメトリーとは日本語に訳すと幾何学という意味です。幾何学と聴いただけでは何の事なのかサッパリ分からないと思います。今回の内容では足回りに関する位置関係と捉えて頂けるとよろしいんじゃないかな?と思っています。

 

KS6PROの足回りに関して公表されているデータはタイヤサイズが10インチということだけで、その他は公表されてはいません。まあ、この事はKS6PROに限った話ではなく、電動キックボード界全体に言えることです。

 

公表していない部分について発売元や販売元に問い合わせるというのも正直言って面倒ですし、聞かれる方も多分、回答に困るでしょうから、当ブログでは全長や全高などの公表されているデータを元に推定値を算出するという方法で解説しています。実際の寸法とは違う可能性がありますので、予めお断りしておきます。

 

で、KS6PROのフロント周りの推定値なのですが、キャスター角が15°程度のようで、ステアリングは25mm程オフセットされているようです。トレール量は10mm程度のようです。

 

専門用語だらけでサッパリ分からないという人もいると思いますので超簡単に説明します。

まずはキャスター角についてですが、キャスター角についてはこのブログでも何度か取り上げていますが、ステアリング軸の傾き角度のことです。

 

次にステアのオフセットとは?ということなのですが、タイヤをステアリング軸の延長線上ではなく、前方にずらして取り付ける距離のことです。何故にタイヤをステアリング軸からずらす必要があるのか?ということをざっくりと説明しますと、語弊はあるかもしれませんが、ハンドリング特性をマイルドなものにするためです。

 

ちなみにステアオフセットの量を小さくするほどハンドリングはクイックになります。オフセットが大きくなるほどそれが逆になるということです。

 

そうなると、ステアのオフセット量が大きい方が扱いやすくて良いような気もするのですが、オフセット量は大きくなるほど直進安定性が犠牲になります。どういうことかと言うと、分かり難いかもしれませんが、オフセットを大きくするとタイヤの回転軸はステアリング軸から遠くなり、その結果トレール量が減少するからです。

 

最後にそのトレール量とは?についてですが、これについてもこのブログでも過去に何度か触れたのですが、ステアリング軸の中心線とタイヤの垂直方向の中心線を接地面で測った距離のことで、その距離が大きいほど直進安定性に優れ、小さいほど逆となります。

たいぶ大雑把な説明でしたが、結論としては直進を得意とさせると曲りが苦手になり、曲りを得意とさせると直進が苦手になるというわけです。相反するふたつの条件をどこで妥協するのかというのがとっても難しい所なわけで、タイヤが小さくなるほど特に難しくなるんですね。

 

例えばキャスター角とステアオフセット量がKS6PROと同じ推定値となるES1PROのタイヤサイズはKS6PROよりも1.5インチ小さい8.5インチです。タイヤが小さくなっただけでこの場合、トレール量は5mm減少します。KS6PROのトレール量は推定10mmですので、ES1PROのトレール量は推定値でわずか5mm程と極端に小さくなるのです。もはやギリギリという位になるんですね。タイヤが大きいほうが安定性は高いと言われる由縁のひとつがトレール量を確保しやすいという点なんですね。

 

それでもES1PROはトレール量が確保されているだけまだ良いんです。どの車種とは言いませんが、トレール量がギリギリを通り越してマイナスになっていると推測できる車種もあるんですよ。トレール量がマイナスになるということはどういうことか?と言うと後進、つまりバックする時に直進安定性が増すということです。

 

他にKS6PROで挙げられる良い点としてはやはり重量が22kgある大柄な車体でデッキ長は推定505mm程度でサイズに余裕があり、ホイールベースも推定で915mm程度と長いということでしょう。

 

ホイールベースとは?ということについてもこのブログで何度か説明はしていますが、それが長いほど直進安定性に優れ、短いほど小回り性能に優れます。さらにKS6PROはバッテリーをデッキの中に納めつつもデッキの高さを低く押さえているので、どの方向からの重量バランスも良好と言って良いと思います。

 

それではごきげんよう~



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