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きものの文様【鉄線(てっせん)】花や葉、蔓の曲線が優美な初夏の意匠

2020-06-22 13:25:42 | 着物

きものの文様 きものに施された美しい「文様」。そこからは、季節の移ろいを敏感に取り入れてきた日本人の感性や、古来の社会のしきたりを読み解くことができます。夏の文様を中心に、通年楽しめるものや格の高い文様まで、きもの好きなら一度は見たことのある文様のいわれやコーディネート例をお届けします。

初夏に白や紫の花を咲かせるキンポウゲ科の落葉蔓草で、鉄線花ともいいます。しっかりとした蔓が印象的ですが、その堅い蔓がまるで鉄の針金を思わせるところから、この名がついたとされます。原産地の中国では、鉄線蓮(てっせんれん)と呼ばれ、鉄扇葛(てっせんかづら)、西洋菊などの別名もあります。


5月から6月の花の代表、鉄線は大ぶりの花を強調して表現される場合もあります。

日本に渡来したのは、室町時代中期以降で、江戸時代には意匠や俳句などにしばしば登場しています。桃山時代の能装束や小袖にも、鉄線を唐草のように表現したものが残されています。

文様としては優美な花や葉、そして特徴的な蔓が図案化されています。友禅や紅型、浴衣など染めのきものに用いられるほか、刺繍や織でも表現されます。単独で用いる場合は初夏の季節感が出ますが、ほかの花と組み合わせれば季節を問わず使えます。



初夏のお出かけに
生成り色の麻地に鉄線を刺繍した名古屋帯。鉄線の花、葉、蔓の特徴がよく表現されています。無地感覚のきものに合わせて。帯を主役にしたコーディネート。

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