地理講義   

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247.伊里前の枡形 南三陸町歌津の津波被災からの復興

2017年05月11日 | 地理講義

津波によって崩壊した国道45号線バイパスの代わりに旧国道を再び利用するようになり、伊里前の枡形はよみがえった。しかし、2017年4月23日に復興商店街南三陸ハマーレと、復興道路としての新国道45号線が開通したことで、三嶋神社前の旧国道枡形を通行する自動車は激減した。歩行者も姿を消した。

 かつての商店街は宿場と漁業で賑わっていた。

しかし、2011年3月11日東日本大震災による巨大津波で、市街地は流出、海岸の国道45号線バイパスは倒壊した。

 
旧国道45号線枡形の利用が激減した理由は、復興商店街(南三陸ハマーレ歌津)とそれに沿って新国道45号線ができたためである。志津川あるいは気仙沼に向かう自動車のほとんどは新国道45号線を通る。この国道45号線には枡形としての曲線はない。また、震災前に海岸にあったバイパスとは異なるルートである。

 

下の写真は復興の進んだ伊里前である(2017年5月)。左側が仮設商店街であり、現在は閉鎖。中央は旧国道45号線であり、交通量は激減した。三嶋神社前で急カーブ、枡形である。右の緩やかな曲線が新国道45号線である。これに沿って、右奥に復興商店街(南三陸ハマーレ歌津)がある。新国道とその沿線が新しい商店街になり、旧国道45号線は埋め立てられる予定。


左が伊里前湾であり、ここから津波が襲来した。海岸にあった国道45号線バイパスは流出した。

歌津の古い宿場町としての商店街は、隈研吾設計のショッピングモール「南三陸ハマーレ歌津」になった。飲食・衣料・雑貨などの8店舗である。増設予定である。

国道45号線(旧東浜街道)にあった宿場町・漁業集落伊里前は、枡形で区切られた独立領域であった。旧来からの商業的利権が守られ、漁業権を独占できた。形の上では独立領域としての閉鎖性は消えた。しかし、復興商店街に新規開店する業者はなく、すべて以前の経営者である。また漁業権は震災前とは変わらない。枡形を象徴とするアジールの外面は消えたが、経済的利権領域としてのアジールは存続している。
 

 


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