地理講義   

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104.熱帯雨林気候Af  ツバル マレーシア

2013年11月06日 | 地理講義

熱帯気候A
ケッペンの気候区分では、最寒月平均気温が18℃以上の多雨地域である。赤道周辺の高温多雨の地域である。
従来は発展途上国としての貧困問題が深刻であった地域だが、最近は豊富な人口と低賃金を生かした工業化が急速に進んでいる。

熱帯雨林気候 Af
強い日射を受けて上昇気流が盛んである。積乱雲ができ、毎日スコールがある。対流圏下層で北東貿易風と南東貿易風が収束し、上昇気流が強化されるので、熱帯収束帯とも言われる。
フナフティ(ツバル):1862年にアメリカのリンカーン大統領が奴隷解放を宣言したが、その後、世界各地の農場経営者は1875年まではツバル・ハワイ・タヒチなどの太平洋島嶼地域から奴隷を調達した。1978年に英連邦王国として独立したツバルは9珊瑚礁の国であり、総面積は26k㎡、人口9,800人である。財政収入は外国漁船の200海里入漁料、外国漁船の乗組員、ツバル信託基金(1867年設立。英・豪・NZ出資)運用益、日本からの援助などである。インターネットのドメイン[tv]の売却益5,000万ドル(50億円)もある。
第2次世界大戦中、アメリカ軍が、太平洋島嶼部を占領した日本を攻撃するため、ツバルに空軍基地を建設した。海岸浅瀬ラグーンに高地からの土砂を運び込み、基地を建設した。ツバルの最高地点は埋め立て地用に土砂を採取したため、最高地点は4mになった。ラグーンの埋め立て地は満潮時に海水面以下となる。ツバルでは人口増加による新しい集落と公共建築は海岸低地に集中し、満潮時に海面以下である。地球温暖化による海面上昇の例として、ツバルの海岸集落と公共施設の浸水があげられる。もともと高潮の満潮時には浸水する海岸であり、地球温暖化の海面上昇によるものではない。

※ 地球温暖化でヤシが海中になったように見える(下)が、実は海岸の倒れたヤシの一部である(その下)。


 ※ 集会所は集落の外れの低地に建設された。満潮時には海水が侵入するが、周囲はラグーンであり、島民は以前から知っていたことである。地球の温暖化が進んだとしても、現時点では目に見えるような海面上昇はない。


ブラジルの熱帯雨林の破壊と開発 

アフリカの熱帯雨林の開発と破壊

東南アジアの熱帯雨林地域の開発


マレーシアの熱帯雨林の破壊

アブラヤシ栽培によるカリマンタン島の熱帯雨林
マレーシアはハイテク産業の発展が著しいが、農業では熱帯雨林のアブラヤシの栽培が増加している。
マレーシアは大陸続きの半島部と、カリマンタン島のサバ州・サラワク州とから成り立っている。
熱帯雨林が広がるが、プランテーション農業としての天然ゴム栽培に代わり、アブラヤシの栽培が増加している。

 

マレーシアのアブラヤシ生産量は世界第1位である。熱帯雨林を切り開いて、アブラヤシの栽培面積を拡大してきた。アブラヤシの実は収穫後、24時間以内に加工場に腐敗するので、24時間以内の交通が確保できる地域で集中的に栽培された。天然ゴムからの転換、熱帯雨林の伐採が急激に進んだ。アブラヤシのプランテーションの経営は地元農民ではなく、都市の商人資本だが装っていたりする。
アブラヤシの輸出先は日本・EU・アメリカなどの輸出先は先進国に限らない。油脂に加工するlことは発展途上国でもできるので、発展途上国経由で先進国の洗剤会社・食品会社などに再輸出される。
地元農民は低賃金で雇われる労働力であり、カリマンタン島(サバ州・サラワク州)の熱帯雨林は半減した。
マレーシアのアブラヤシ栽培に直接間接に関わっている有力日本企業は、不二製油・三井物産・花王・ライオン・キューピー・日清などである。
2010年の日本の油脂消費量は259万トンで、多い順にナタネ油(98万トン)、パーム油(57万トン)、大豆油(49万トン)、豚油(13万トン)、牛脂(12万トン)などである。
日本のパーム油の消費量増加に対し、大豆輸出の多いアメリカはパーム油は健康に不適当な食品であると警告した。


アブラヤシは高さ20mほどである。アフリカ原産である。実の核油は手にやさしい洗剤に使われる。



アブラヤシの実の果肉は食品工業用の油脂として使われる。大豆油を上回る消費量である。

アブラヤシ栽培による熱帯林破壊
アブラヤシの実の採取後、24時間以内に加工場に搬入して加熱し、油分の変質・腐敗を防がなくてはならない。加工場周辺と道路沿いの熱帯雨林は完全に伐採され、アブラヤシのプランテーションになる。天然ゴムのプランテーションも、アブラヤシのプランテーションに姿を変えている。
アブラヤシ農場の経営者は、海外企業と結びついた現地有力者である。土地はもともと所有者不明の熱帯雨林であり、タダも同然である。また、労働力は、現地の低賃金労働力に依存する。加工場は熱帯雨林中の交通に恵まれた道路・港湾に近い。
収穫は年中可能であり、工業的には便利である。価格も安く、大豆油を上回る需要がある。

マレーシアのパーム油(果肉) 1,799万トンの
輸出先(%)
中 国 22
パキスタン 10 
インド  9 
オランダ 7 
アメリカ 6 
エジプト 4
日 本  3
※用途:マーガリン 調味料  ラード 即席麺  菓子 フライ油  チョコレート  

マレーシアのパーム核油(胚乳) 117万トンの輸出先(%)
アメリカ 25
中 国 15
オランダ 9
日 本 8
ブラジル 5
※用途:石けん シャンプー 洗剤 化粧品 塗料 医薬品 潤滑油 

 

 


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