地理講義   

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2.モンスーン

2010年10月23日 | 地理講義
2.モンスーン

夏のモンスーン
夏の太陽は北半球側にある。南半球側から太陽の位置に向かう風は、[a→b]の風である。
しかし、地球の自転による転向力を受け、赤道までは南東貿易風[x→y]だが、赤道を越えると南西風[y→x]になる。南東貿易風が北半球で風向を変えるのが、夏のモンスーンである。
北半球側の[y→z]が南西モンスーンである。アラビア海が低温、ユーラシア大陸が高温のため、海から陸に吹く海風が、南西モンスーンを加速する。
夏のモンスーンは高温多湿である。インド洋(アラビア海)から大量の水蒸気を、アジア全域に運び、アジアの雨季を形成する。



夏のモンスーン(南西モンスーン)による降雨
(1)インドの西海岸の地形性降雨
西ガーツ山脈に南西モンスーンが吹き付け、上昇気流ができて雨雲をつくる。インド西海岸は夏の降水量が多く、熱帯モンスーン気候Amになる。夏は雨季で雨が多く、冬は乾季である。インドの稲作地帯になっている。
(2)インド北東部の地形性降雨
北はヒマラヤ山脈、東はパトカイ山脈にさえぎられた地域は、世界的な多雨地域である。アッサム州を流れるブラマプトラ川は、大雨でヒマラヤ山脈を侵食し、大量の雨水と砂泥をバングラデシュまで運んでガンジス川と合流する。ベンガル湾にガンジス=デルタを形成する。
アッサム州では夏の雨季に茶が生育し、冬の乾季に茶がくり返して収穫され、高級紅茶アッサム茶に加工される。アッサム州内では750の茶園があり、インドの半分の茶が生産される。
アッサム州の東隣メガラヤ州チェラブンジでは、1860年に年降水量26,461mmを記録した。チェラブンジの年平均降水量は12,028mmであり、1860年にはその2倍以上の降水があった。チェラブンジの降水は、夏の南西モンスーン時に集中し、冬の北東モンスーン時にはほとんど雨が降らない。冬の乾季には、生活用水は谷底を流れる小川から運ばなくてはならない。
(3)梅雨
日本も中国も、夏のモンスーン時には雨季であり、ともに梅雨といわれる。インド洋(アラビア海)からのモンスーンが梅雨の雨全部を運ぶのではない。太平洋からの高温多湿な風が、インド洋からのモンスーンに吹き込んで、降水量を増やす。
西日本の梅雨は南西モンスーンの直接的影響があり、インド・中国南部同様、大粒の雨によるスコールである。しばしば洪水や土砂崩れの災害を起こす。
東日本の梅雨には、南西モンスーンの影響は少ない。オホーツク海からの寒気団からの冷たい霧雨が続く。洪水や土砂崩れの被害は少ないが、梅雨が終わらずに、霧雨・低温の夏がいつまでも続くことがある。その時の北東寒冷風が「ヤマセ」であり、東日本太平洋岸の稲作が冷害被害を受ける。



(4)冬のモンスーン
冬のシベリアは晴天が続いて放射冷却が進む。地面の熱が、赤外線放射の形で無限宇宙空間に運ばれ、シベリアに冷たい空気の塊ができる。冷たい空気は上昇せず、地面下層に貯まる。それでもさらに冷たい空気が降りるので、押された冷たい空気は、四方に流れる。インドの冬の冷たく乾燥した北東モンスーンは、シベリア高気圧からの季節風である。
シベリアから流れ出た、冷たく乾燥した空気が、日本には北西季節風となって吹く。シベリアでは低温乾燥の空気だが、北西季節風は日本海で高温の対馬海流から大量の水蒸気を受け取って積乱雲をつくる。この積乱雲が日本海側の山地に衝突して、世界的豪雪地帯を形成する。

 

日本海側の豪雪の原因は、日本海を流れる暖流対馬海流と、北西モンスーンが原因である。日本海で成長する積乱雲は、しばしば雷をともなう。豪雪の前兆となる雷は、「雪おこし」といわれる。

 

上越市高田は、世界最大の豪雪地帯である。12月1月の降水量は400mmを越える。1年間の降水量の季節配分からは、高田が冬が雨季、夏が乾季で、地中海性気候のようである。
しかし、夏には十分な降水量があり、植物が枯れるような乾季ではない。冬と比較すれば、夏の降水量が少ない。しかし年中雨季であり、乾季は存在しない。日本列島の大部分と同様、温暖湿潤気候Cfaである。




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