地理講義   

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9.百瀬川扇状地  扇頂

2010年11月01日 | 地理講義

百瀬川扇状地の扇頂は、扇状地地形のうちでは最も標高の高い地点である。
琵琶湖西岸断層が扇頂を走る。





滋賀県地震情報(2009年8月27日)
琵琶湖西岸断層帯は、滋賀県高島市(旧マキノ町)から大津市に至る9断層群である。
長さは約59kmで、断層の西側が東側に対して相対的に隆起する逆断層である。
琵琶湖西岸断層帯北部が1つの区間として活動する場合には、マグニチュード7.1 程度の地震が発生する。
今後30年以内の地震発生確率は、1%から3%である。

(以上、滋賀県地震情報概要)


断層
平野と山地の境界は断層で区切られることが多い。
日本列島を押す海陸プレートの押し合う力で逆断層ができ、その逆断層が動くのが地震である。
琵琶湖は逆断層低地にできた[断層湖]である。琵琶湖は200万年前にはもっと東にあった。
現在の琵琶湖部分が沈降を続けたので琵琶湖は西に移動し、現在地に到着した。
琵琶湖西岸断層帯では琵琶湖岸が沈降し、比良山地側が隆起している。
比良山地と琵琶湖の高度差を埋めているのが百瀬川扇状地である。
琵琶湖西岸には、百瀬川扇状地のような、教科書のような形の扇状地以外にも、多数の扇状地が並んでいる。


扇頂と谷口集落
百瀬川扇状地の扇頂は無人である。
山地がけわしく、扇頂より山中に進んでも集落がないからである。
扇頂に集落のできることがある。山地と平地の交易を生業とする谷口集落である。
扇頂の谷口集落の例として、飯能(入間川)、青梅(多摩川)、寄居(荒川)などがある。
貨幣経済の未発達の頃、山地住民は、木工製品・薪炭・山菜・木材などを平地住民に提供する。
平地住民は、米、麦、魚、衣類、その他山地で得られない物資を山地住民に提供する。
山地と平地の住民の交易の場が、谷口集落である。


扇頂付近の砂防ダム
百瀬川に山中の沢から水が大量に流入する時、砂礫の流入を防ぐため、砂防ダムがつくられる。
砂防ダムからは、水だけが流れるので、本流の流れを妨害しないようにする。
砂防ダムは日常用語であり、国土地理院ではひらがなで[せき]と表記する。
百瀬川には、扇頂の上流部分、支流、沢に多数の砂防ダムが、重なるように建設されている。


(2005年)



扇頂の水門
山地が近くにせまっていて、ここが琵琶湖西断層である。
百瀬川の扇頂には、百瀬川への水の配分を決める水門がある。
扇央の水田稲作が水を必要とする場合にはのためには、水田用水路に水を流す。
大雨の時には、百瀬川の本流への流量を増やすが、伏流水となって川から水が消える。


(2005年)


水門の水
ふだん、水門のせきから水があふれ、百瀬川に水が流れる。
しかし、すぐに扇央に伏流するので、百瀬川本流の流れは細る。


(2005年)


百瀬川のせき(砂防ダム)
洪水時以外は、百瀬川に流れた水は、地下水として伏流し、百瀬川は[水無川]である。
百瀬川のせきを通り過ぎる流れは、ほとんどない。


(2005年)









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