扇央の森林
百瀬川扇状地の扇央では、大小砂礫層の下を地下水が流れる。
地表面から地下水面まで、20~30mの深さである。
大小の砂礫層が扇央に堆積している。
扇央は水を得にくいし、洪水時には大小の砂礫が運ばれ、集落立地には危険がある。
したがって、扇央では、森林を自然のまま放置している、と思われるがそうではない。
森林の中には、廃棄された、古い堤防が何本も残され、地面の凹凸が激しい。
里山を歩く感覚では、この百瀬川扇状地を歩くことはできない。
サルの集団が、木の実をあさっていることがある。
(2003年)
宅地分譲
大阪市の中堅不動産会社アドミールが、扇央の比較的平坦な土地で、宅地開発を進めている。
近江中庄駅から京都駅までJR湖西線(1975年開通)で59分の時間距離の短さを強調して、宅地分譲をしている。
また、扇央から琵琶湖の見える景色の良さを強調し、別荘地としても、開発分譲をしている。
扇央は水の確保が難しいものだが、アドミールでは大型電動ポンプで地下水をくみ上げ、各戸に給水ている。
(2003年)
宅地開発計画(2003年)
大阪の不動産業者アドミールの計画では、百瀬川扇状地の大半を宅地化する予定であった。
しかし、日本の不動産バブルは1990年に破裂し、この時に安値で仕入れた土地の地価は、20年以上経過しても、上昇しなかった。
日本の宅地開発計画は、業者が所有地の半分以上を安く売り、残った土地の開発分譲に全力を上げた。
縮小再生産つまり、会社を小さくして、小規模開発で利益を上げる方向に転換した。
日本の住宅団地開発は、大都市の都心再開発としてのマンション建設が主力である。
百瀬川扇状地開発のように、別荘分譲としても遠距離通勤住宅分譲としても、中途半端な開発計画は困難になった。
扇央の農地
扇央は水を得にくいし、砂礫質の堆積層のため、農地に適していない。
百瀬川の扇央は、百瀬川の古い流路に客土をして、水田を開いた。
百瀬川の洪水堆積による微高地(自然堤防)には、野菜・果樹などを栽培した。
しかし、近年、里山の荒廃によってサルの餌が不足し、サルの集団が人間の農地を襲うようになった。
金網と電柵で、農地を囲み、サルからの被害を防いでいる。
(2007年)
電柵
電柵は次第に長くなり、農地全体を囲むようになった。
維持7経費がかさむたが、それでも、サルを撃退しない限り、生活が成り立たない。
近江柿の特産地だが、それだけに、サルへの警戒が必要である。
(2010年)
猿害
琵琶湖沿岸では、干し柿が、昔から有名である。
一般に、農産物は盗まれないことを前提に、広い農地で栽培、収穫される。
しかし、干し柿づくりにとりかかる時期に、サルの集団が柿の木に登って、渋柿を食い散らかす。
サルの歯形のついた柿では、干し柿としての商品価値はない。
サルが電柵に慣れると、電柵だけではサルの侵入を防ぐことが難しい。
サルから受ける被害を「猿害」というが、その猿害がだんだん大きくなる。
(2010年)
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