2018年地理B第5問
解答
【30】⑥
解説 日本海岸、内陸、太平洋岸の気候の比較。
(ア)浜松市 気温の年較差が小さく、冬の日照時間が長いから太平洋岸。
(イ)富山市 気温の年較差が小さいから海岸。日照時間が短いから北陸。
(ウ)高山市 気温の年較差が大きいから内陸。
詳細な解説
(ア)浜松市の気候:太平洋岸だから気温年較差は小さい。冬は晴天が続く。
(イ)富山市の気候:気温年較差は小さいから日本海岸。
(ウ)高山市:内陸なので気温年較差が、3都市のうちで最大になる。暖流の対馬海流が流れるため、冬は高山ほど気温が下がらない。
解答
【31】③
解説 人口は89,000人の高山市の都市機能の問題だが、都市一般の問題である。
①◯ 人口密度は市中心部とその周辺で高い。
②◯ 老年人口割合は高山市街地は小さく、周辺の高地は大きい。
③× 都心は一般的に核家族あるいは単身者が多い。
④◯ 周辺農村部では若年層が流出し、人口減少が著しい。
詳しい解説
① 都心では人口密度が高い。マンションやアパートに密集して居住するため、都心の人口密度は高い。しかし、巨大都市では都心に商業ビルが林立し、居住者は都心から郊外に移り住む。また、都心の再開発が進んで商業ビルの近くに高層マンションが増加すると、郊外から都心に人口が戻ることがある(都心回帰)。
② 市街地には生産年齢人口の労働者が多く、老年人口は少ない。高齢の労働者が増加しても、この傾向は変わらない。
③ 市街地である都心では、生産年齢人口が多い。単身者も多い。都心市街地は生産年齢人口、郊外は老年人口との区別が明瞭である。
④ 都心の生産年齢人口は周辺農村部からの転入であり、周辺農村部では人口流出が続く。また、周辺農村部では高齢者が多いため、死亡者数も多く、人口減少による過疎化が進む。
解答
【32】④
解説 地方都市の経済圏。
(カ)農産物の遠距離輸送は交通網が整備されて可能になったのであり、それ以前は地域内の狭い範囲が農産物の供給源であり、消費地であった。
(キ)ブリは魚を食べるのが困難な地域に運ばれた、との記述があるから、海から遠い松本(長野県)が該当する。
詳しい解説
岐阜県高山市(飛騨高山)の朝市は、江戸時代から米市・桑市・花市などの市として発達し、明治の中頃から、近くの農家の女性たちによって野菜も出品されるようになった。域内消費の典型である。
塩ブリは富山から高山(飛騨高山、岐阜県)に運ばれ、高山からは野麦峠などを越えて長野県松本城下まで運ばれた。
解答
【33】④
解説 地形図の読み取り。地形の出題はない。
①◯ 上二之町周辺の道路は、城下の防御のために、丁字路がつくられている。
②◯ 七日町一丁目付近の宮川沿岸に、北向きの矢印がある。
③◯ 寺院の集中地域に天性寺などの地名がある。
④× 工場を建設できるほどの土地はない。また、工場の地図記号がない。
詳細な解説
城下町には敵軍の攻撃に対抗するため、丁字型の道路をつくる。現代社会においては自動車交通の障害となる道路であるが、城下町の観光の面からは残してもよい道路である。
城下町には寺町が存在する。城下町の防衛拠点とする目的がある。
解答
【34】② 宿泊型観光地の観光客の比率計算。
解説 高山市は滞在型の国際観光地であり、そのことの数値的裏付けの問題。
①◯ 交通が便利になっても、観光客は通り過ぎたり、短時間の滞在になったりする。
②× 岐阜県全体の宿泊者の割合は14.4%、高山市の宿泊者の割合は37%である。
③◯ 全宿泊は130万人(図4)、外国人宿泊は26.8万人(表2)。20.6%である。
④◯ 全国比で見る(表2)と、ヨーロッパ・オセアニアの割合が高い。
詳細な解説
① 交通が便利になったたでは観光客は増えない。高速道路・新幹線ができて便利になったとしても、観光地としての魅力が必要である。
② 高山市は滞在型の観光地である。岐阜県の観光客は問題文から日帰り3,731万人、宿泊629万人なので、観光客総数は、3,731+629=4,360万人である。岐阜県の宿泊者は629万人だから、観光客総数に占める割合は14.4%である。
高山市の観光客数合計は表4から350万人、宿泊客は130万人だから、その割合は37%となる。
高山市は、岐阜県全体よりは宿泊者の割合が高いから、宿泊滞在型とみなすことができる。通過型ではない。
③ 図4から高山市の宿泊者数は130万人、表2から高山市の外国人宿泊者数は26.8万人。外国人の割合は20.6%であり、約2割である。
④ 表2から全国比との数値を比較すると、アジアは少なく、ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアが高く、それらのうちでもヨーロッパ・オセアニアが3倍以上も高い。アジア系は、富士山・京都・大都市ショッピングが中心であり、小京都高山への関心は低い。
解答
【35】②
解説 山地の高度による植生の変化。
(A)高山帯。森林限界よりも高いので、植物はまばらになる。
(B)山地帯。低地であり、森林は広葉樹林帯である。
(c)亜高山帯。冷涼な気候であり、針葉樹林が目立つ。
詳細な解説
温帯の植生は、低地が広葉樹林帯、高地が針葉樹林帯になる。気温が高地ほど低いためである。高度により森林分布は標高や緯度によって異なる。