2018年センター試験地理B第5問
解答
【25】⑥
解説 地形と気候。
(ア)フィンランド。氷河が削った低地とバルト楯状地から、高度が低いと判断。
(イ)スウェーデン。スカンジナビア半島がノルウェーとの国境であり、高度は高い。
(ウ)ノルウェー。暖流の北大西洋海流と偏西風の影響で、気温年較差が最も小さい。
詳細な解説
フィンランド
2万年前の最終氷河期に氷河の強い侵食を受け、氷河湖が多数見られる。この氷河湖は、フィンランドではスオミと言われる。また、国土の大半は先カンブリア紀の地層が表面をおおう楯状地である。安定陸塊でもある。気候は気温年較差が大きくDf。
スウェーデン
平地はバルト楯状地であり、ボスニア湾をはさんで東がフィンランドである。スウェーデンとノルウェーはスカンジナビア山脈をはさんでいる。スカンジナビア山脈は古期造山帯である。気候はDf。
ノルウェー
東がスカンジナビア山脈、西は大西洋であり、平地は少ない。海岸には氷河地形のフィヨルドが見られる。気候は西岸海洋性Cfbであり、夏は冷涼、冬は温暖である。高緯度で気温年較差が小さいのは、北上する暖流北大西洋海流と、その暖流上を吹く偏西風の影響が強いからである。
解答
【26】⑤
解説 発電源の問題。
(カ)原子力。エネルギー資源に乏しいスウェーデン・フィンランドでは原子力に依存。
(キ)水力。ノルウェーではスカンジナビア山脈から流れる中小河川で発電。低コスト。
(ク)火力。フィンランドでは石油火力発電量が多い。石油はロシアから輸入する。
詳細な解説
ヨーロッパでは脱原子力の声が強い。しかし、資源がなければ原子力発電に依存する。
スウェーデンでは原子力の比重が高まってきた。脱原子力の世論は高まり、自然再生エネルギーへの転換を進めようとしたが、電力供給の安定のために原子力を選んでいる。
フィンランドは火力電力を低価格で安定的に供給するため、原子力発電も重視している。総発電量の3分の1が原子力である。廃炉まで計画に入れた厳重な管理の原発である。国内面積の67%が森林であり、木材資源を利用した火力発電割合も石油火力発電同様、高い割合である。
ノルウェーのダムは日本のダムのような100万kw級の巨大ダムではない。せいぜい数10万kw以下である。ノルウェーは北海油田からの石油は豊富だが、石油火力発電所は少なく、その電力は輸出される。
解答
【27】⑥
解説 北欧3国の貿易。
(サ)フィンランド。3国中でロシアとの輸出が多い。
(シ)スウェーデン。フィンランドとの輸出構造によく似ている。
(ス)ノルウェー。北海油田の原油をイギリスに海底パイプラインで輸出。
詳細な解説
(サ)フィンランド
1809年からロシア植民地で、1917年のロシア革命時に独立。1939年の冬戦争でカレルア地方をロシアに奪い取られ、現在もロシア連邦内のカレルア共和国。フィンランドはロシアとの結びつきが強く、EU加盟が遅れて1995年加盟。西側の軍事同盟NATOには加盟していない。輸出品は機械類・紙類であり、スウェーデン・ドイツ・ロシアへの輸出が多い。
(シ)スウェーデン
フィンランドと同様、中立政策を採用し、EU加盟は1995年、NATOには非加盟である。機械類・自動車の輸出が多い。輸出先はノルウェー・ドイツなど。
(ス)ノルウェー
西側軍事同盟NATOには1949年に加盟したが、経済同盟EUには加盟していない。北海油田からの膨大な収入があり、EUに加盟することで経済的な主権を失いたくないためである。国民投票ではEU加盟が否決された。輸出品は原油と天然ガスであり、イギリスへ海底パイプラインで直接輸出される。
解答
【28】②
解説 フィンランドのムーミンとノルウェーのバイキング。
A ノルウェー語。スウェーデン語との類似性が強いゲルマン語系である。
B フィンランド語。ノルウェー語ともスウェーデン語とも類似性のない。
詳細な解説
ノルウェー・スウェーデン
ドイツ・イギリス同様、ゲルマン系の言語である。英語・ドイツ語との類似性がある。
フィンランド
ハンガリー同様、ウラル系の言語である。他の国からは孤立したモンゴロイド系人種が多いので人種島と言われた。フィンランドの公用語はフィンランド語とスウェーデン語である。
ルーマニアは古代ローマ植民地起源のラテン系ルーマニア語であり、周辺のスラブ語諸国と比較して異質であり、民族島と言われた。
解答
【29】②
解説
北欧は高福祉高負担であるが、財源確保のため、租税負担割合も公的社会支出も高い。
詳細な解説
スウェーデン、フィンランド、ノルウェーは福祉水準が高いが、負担割合も高い。消費税は20%を越える。日本は8%である。税負担は日本の約2倍である。年金・保健などの国民負担率も日本の約2倍である。日本よりは福祉水準が高いが、高い負担の上に成り立っている。