アルミニウム製造には電力を大量に消費
日本では、1960年代に重工業が発展した時、アルミニウム工場が全国各地にできた。アルミニウムの原料のボーキサイトはオーストラリアから大量に輸入された。アルミニウムは電気の缶詰と言われるほど、電解で大量の電力を消費する。日本の大規模アルミニウム工場は水力発電の盛んな内陸から、大型火力発電のできた沿岸部に建設された。アルミニウム製造工場はエネルギー立地型あるいは電力立地型と言われる。
しかし、1973年の石油危機によって原油価格が高騰すると電力料金も値上がりし、日本のアルミニウム製品は国内外で売れなくなってしまった。アルミニウム工場を閉鎖が相次ぎ、2014年までに日本のアルミニウム製造業は全滅した。
日本国内でアルミニウム製造業が存続できなくなった理由として、廃棄物としての赤泥を海洋投棄していたが、これを国際的に批判されたことも大きい。
日本のアルミニウム工場は、輸入アルミニウムを加工する加工工場への転換、全く異なる分野への進出、あるいは工場そのものの閉鎖などを余儀なくされた。
アルミニウム製造工場の現在
住友アルミニウム精錬のその後
磯浦(愛媛県新居浜市):住友金属鉱山磯浦工場。リチウム電池の正極材を生産。
名古屋:株式会社UACJ名古屋製造所。アルミニウム板材の加工。
富山(富山県射水市):富山住友電工株式会社。高純度アルミ線を生産。
東予(新居浜市~西条市):住友金属鉱山東予工場。電気銅や金ゴットを生産。
日本軽金属のその後
蒲原(静岡市清水区蒲原):日軽蒲原株式会社。自動車用アルミ押出材を生産。
新潟:日軽新潟株式会社。自動車用・鉄道車両用の大型アルミ材を生産。
苫小牧:日軽北海道株式会社。照明柱などの公共用アルミ板・棒を生産。
昭和電工のその後
市原(千葉県):昭和電工エレクトロニクス株式会社。ハードディスクの開発・生産。
喜多方(福島県):昭和電工喜多方アルミ株式会社。アルミ合金の生産。
大町(長野県):昭和電工大町事業所。黒鉛電極材を生産。
三菱軽金属
直江津(新潟県上越市):三菱ケミカルハイテクニカ株式会社。アルミ合金やトナーを生産。
坂出(香川県):三菱ケミカル株式会社坂出事業所。リチウム電池負極剤やコークスを生産。
三井アルミのその後
三池(福岡県大牟田市):KMアルミニウム株式会社。高純度アルミ材やアルマイトを生産。
住軽アルミのその後
酒田(山形):廃業
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