地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

2018年地理B第1問解答解説 ケスタ、死海、テラローシャ

2018-10-19 10:28:59 | 地理講義

2018年センター試験地理B第1問

解答
【1】②
解説 世界の地形に関する出題。
①◯ パリ盆地は硬軟の地層の侵食速度の差からケスタができた。
②× 南アフリカのドラケンスバーグ山脈は古期造山帯であり、活火山はない。
③◯ インドのデカン高原は玄武岩の溶岩台地。綿花土としてのレグール土が分布。
④◯ チリとアルゼンチン国境のアンデス山脈には山岳氷河が発達する。

詳細解説
①ケスタ

構造平野とは硬軟の地層が堆積した平野地形であり、ゆるやかに傾斜すると硬い地層が侵食されにくいためケスタができる。地層が水平ならば、メサあるいはビュートになる。
パリ盆地ではケスタが明瞭であり、急斜面ではぶどうの栽培が盛んである。

②ドラケンスバーグ山脈

アフリカ大陸の地形は、大部分が安定大陸である。しかし、北のアトラス山脈は新期造山帯であり、アルプスヒマラヤ造山帯の一部である。アトラス山脈では地震はあるが、火山はない。
A-B断面は安定大陸の断面である。西部地溝帯・東部地溝帯とその周辺には火山があるので、地溝周辺は安定大陸に含めず、分類不能とする。
アフリカ南端は古期造山帯のドラケンスバーグ山脈がある。古生代に活動したケープ褶曲帯であり、石炭が豊富。石炭は南アフリカ共和国の重要な輸出品である。

③デカン高原

デカン高原はインド西3分の1を占める。玄武岩からできている溶岩台地である。風化土壌は黒色肥沃のレグール土である。雨量が少ないため農業は難しく、綿花栽培が中心である。一部では落花生も栽培される。
インドでは綿花の品種改良が進まず、国際市場を1970年代はウズベキスタンに、その後はアメリカに奪われた。デカン高原の綿花は低価格で国際競争力を維持しているが、デカン高原の綿花農家は貧しい。

④氷河地形

2万年前に世界全体が氷河期になり、高山には山岳氷河、高緯度地域には大陸氷河が残る。アンデス山脈は新期造山帯の高峻な山脈である。高地には山岳氷河が残り、海岸低地にはフィヨルドが見られる。日本の中部山岳や北海道の高山にはカールが見られる。


 解答
【2】⑥
解説 世界の湖に関する出題。パトス湖(ブラジル)は知らなくても解答できる。
死海(ウ):ヨルダン河谷断層帯はイスラエルとヨルダンの国境。その低地にできた断層湖。
パトス湖(イ):ブラジル南部のラグーンであり、湖水面は海面に近い。
レマン湖(ア):スイスとフランスの国境、ローヌ川上流の氷河侵食谷にできた湖である。

詳細解説 
死海
砂漠の中にできた潮湖である。湖面標高はー400m、最大水深は426mだから、湖底の標高はー826m、世界で最も低い陸地である。ヨルダン河谷断層帯はアラビアプレートとアフリカプレートの境界の断層である。紅海から死海を通る低地がヨルダン河谷断層帯。


レマン湖
スイスのユングフラウ(4,158m)を源流とするロッテン川は、山岳氷河の侵食谷にできた。この侵食谷にできたのがレマン湖である。レマン湖はスイスとフランスの国境にある。湖の流出先はローヌ川である。レマン湖はジュネーブ湖といわれることがある。

 

 

解答
【3】④
解説 世界の土壌に関する出題。チェルノーゼムを答えなくてはならない。
①× ブラジル高原のテラローシャ。
②× 地中海岸のテラロッサ。
③× 寒冷地のポドゾル。
④◯ 中央アジアのステップに広がるチェルノーゼム。

詳細解説
成帯土壌は気候区分とほぼ一致する土壌である。
熱帯-ラトソル:酸性で鉄・アルミを含む。やせ地。
乾燥帯-チェルノーゼム:中央アジアのステップで見られる黒色肥沃土壌。
   北アメリカのプレーリー土も肥沃な黒色土壌。小麦栽培に適する。
温帯-褐色森林土:広葉樹林帯。やや肥沃。
亜寒帯-ポドゾル:灰色土の意味で、針葉樹林帯の酸性やせ地。
寒帯-ツンドラ土:寒冷であり、コケ類が生育。

間帯土壌は母岩の影響が強い。地域的に分布する。
テラローシャ:ブラジル高原のコーヒー土。玄武岩の風化した赤紫色土壌。
テラロッサ:地中海岸の石灰岩風化土。アルミの多いやせ地。果樹栽培。
レグール:インドデカン高原の肥沃な黒色土。綿花栽培。玄武岩の風化土。
黄土:中国華北の畑作地帯。ゴビ砂漠からの風積土。



 

 解答
【4】①
解説 アンデスの植生などの高度変化。
①× 熱帯には冬に短い乾季はある。冬に降水量が多くはならないから誤り。 
②◯ 標高4,000mの高地は山麓よりも気温が25℃程度下がり、樹木はない。
③◯ 山麓よりは15℃程度下がり、寒冷であり、樹木は低木になる。
④◯ 太平洋岸は寒流ペルー海流でできるペルー砂漠。

詳細解説
低地は熱帯でも高地になると、気候・植生は変化する。気温の低減率は-0.6℃/100m。

①チチカカ湖はボリビアとペルーの国境にある。東麓の気候は熱帯雨林気候Afであり、冬も雨季であり、冬に雨が多くはならない。なお、冬に短い乾季があればAmに区分される。
②標高4,000~5,000mの高山地域は雨雲よりも高度が高く、雨が少ない。また、平均気温が10℃程度なので、樹木の生育限界10℃程度である。雨量と気温の制約があって樹木は生育せず、草原となる。
③標高2,000~3,000mでは樹木の生育限界に近い気温であり、低木の植生になる。
④ペルー側の低地は、太平洋岸を北上するペルー海流(寒流)の影響で下降気流が強く、海岸砂漠になる。チリとペルーの太平洋岸には砂漠が広がる。


 

解答
【5】④
解説 サヘルはサハラ砂漠南縁のステップ・サバナ気候地域。
①◯ 20世紀中に3回の大干ばつがあった。1970年前後の干ばつ被害が深刻であった。 
②◯ 砂漠化の原因は降水量変動、遊牧、薪炭材の過剰伐採、農業の商業化などがある。
③◯ 特に遊牧民の行き先がなくなり、国際的な援助活動が行われている。
④× 綿花・落花生などの商業的農業、牛・羊などの過遊牧が草原を破壊するので、誤り。

詳細解説
サハラ砂漠南縁のサヘルにある国は、セネガル・モーリタニア・マリ・ブルキナファソ・ニジェール・ナイジェリア・チャド・スーダン・エリトリアがである。1970年前後の大干ばつでは5,000万人が影響を受け、100万人が死亡した。


 

解答
【6】④
解説 エルニーニョ現象はペルー海流や太平洋南東海域の水温上昇。低緯度地帯の変化であるから貿易風が影響する。図3の凡例から、北アメリカ南部は多雨と示されているから、洪水と判断できる。

詳細解説
エルニーニョ現象は12月にペルー海流(寒流)の水温が上昇し、貿易風の勢力が弱まる。そのために太平洋の東部海域の水温が上昇し、大西洋の西部海域の水温が下がる。エルニーニョ現象は数か月で収まるが、1年も続くことがあり、世界的な異常気象の原因となる。

南アメリカの太平洋岸の海岸砂漠、ペルー砂漠・アタカマ砂漠などではペルー海流の水温が上昇するために上昇気流が発生して雨が降り、砂漠面積が減少する。



 


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