北海道のかぼちゃ
日本のかぼちゃの半分は、北海道で生産される。北海道で年10万トンを生産し、第2位の鹿児島は1万トン程度である。
かぼちゃは栽培出荷が簡単であり、価格も安いので、農家は近隣の都市に少量ずつ出荷する。そのため全国の市場をねらう本格的かぼちゃ大規模専業農家は存在しない。
北海道を含めて、全国のかぼちゃ栽培農家は、かぼちゃを他の作物とともに栽培し、かぼちゃ収穫時期に少量ずつ市場に出荷するのである。北海道のかぼちゃは、食用かぼちゃよりもハロウィン用の方が、高い収入を得られるようになってきた。
かぼちゃの長期保存はコストが高くつき、遠距離輸送の輸入かぼちゃに価格で負ける。そのため北海道のかぼちゃ農家1戸平均では、かぼちゃ栽培面積は2ha、15~20トンの収穫量、40~50万円の収入である。かぼちゃは経済的には有利な作物ではない。
かぼちゃは露地栽培が多い。ビニールハウスで栽培すれば収穫時期を冬・春の高値の時期にすることが可能だが、設備維持費用が高く、かぼちゃのコストも高くなる。北海道では、安い輸入かぼちゃに市場で負けないようなハウス栽培が研究され、少しずつ増加している。
かぼちゃの価格変動が大きく、しかも300円/kgを越えることはない。北海道のかぼちゃ生産農家は収入を予測できない。メキシコ・ニュージーランド・トンガなどから安いかぼちゃが輸入され、北海道産かぼちゃの価格上昇をおさえている。
ニュージーランドのかぼちゃ
北海道産かぼちゃのライバルはニュージーランドである。育苗はせず、畑への直播である。9月に直播、1~5月に収穫する。ニュージーランドからは12℃の保冷コンテナで日本に運ばれる。
ニュージーランドのかぼちゃ農家は北島に集中する。輸出用かぼちゃ専業農家は少数存在する。1農家の栽培面積は1,000~2,000ha、1農家の従業員は50~100人、さらに収穫時期には50人程度の季節労働者が雇われる。大型農業機械が使われ、灌漑網も整備されている。
ニュージーランド全土からは年8万トンのかぼちゃが輸出され、日本に7割、韓国に2割、中国に1割である。日本では2~5月に、ニュージーランド産かぼちゃが市場を独占する。
メキシコのかぼちゃ
メキシコではかぼちゃ専門商社4社が、日本から種子を輸入、農家に栽培させて、日本にかぼちゃを輸出する。ニュージーランド産が日本に出回る前、日本で高価格の傾向になる12月、1月、2月の販売をねらって輸出する。
栽培地域はアメリカ国境のソノラ州である。乾燥地域なので大規模灌漑施設が整備されている。1ha15~20トンで、日本の2倍の生産が可能である。
トンガのかぼちゃ
2000年にはトンガのかぼちゃが日本市場で2,000トンを越えたが、2019年には1,000トンを下回った。トンガでは、日本向けのかぼちゃ生産の流行は終わった。トンゴのかぼちゃ生産が衰退した理由は、
① 日本から種子を輸入し、中国からの輸入農薬を大量に散布する。生産コストが高い。
② 北海道・メキシコ・メキシコ・トンガ産かぼちゃが12月に大都市市場で競合し、量の少ないトンガ産かぼちゃの価格が低下した。
③ トンガ産かぼちゃには輸出奨励金がつかない。
④ 輸出総量が少ないため、市場での存在感が希薄であり、高価格を維持できない。
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