地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

2018年地理A(追試)第3問解答解説 東南アジア

2018-12-30 10:00:00 | 地理講義

解答
【16】①
解説 東南アジアの都市と気候
①アAw ヤンゴン(ヤンゴン):5月に雨季モンスーンが始まり、気温の上昇も止まる。 
②イAw ビエンチャン(ラオス):穏やかにモンスーンが吹き、雨季が始まる。
③ウAf バンダルスリフリガワン(ブルネイ):赤道低圧帯にあり、年中、多雨である。
④エAw デンパサル(インドネシアのジャワ島):南半球で7月の乾季は冬である。
詳細な解説
東南アジアの雨季は、5月の夏のモンスーンととに突然始まる。ヤンゴンでは気温の上昇が雨季の到来とともに止まってしまう。海岸のヤンゴンでは激しいモンスーンとともに雨季が襲来するが、内陸のビエンチャンでは穏やかに雨季が訪れる。
サバナ気候Awや熱帯モンスーン気候(弱い乾季のある熱帯雨林気候)Amの雨季は、夏、海からのモンスーン(季節風)による。冬の乾季は内陸からの乾燥した季節風による。

 

解答
【17】② 
解説 東南アジアのプランテーション農業
②◯ A-カ-Q マレーシアでは天然ゴムのプランテーションが見られる。
④× B-キ-P フィリピンのミンダナオ島ではバナナのプランテーションが盛んである。
詳細な解説
天然ゴム
原産地は南米アマゾン川流域である。19世紀には天然ゴム集散地としてマナウスが反映を極めた。20世紀には自動車用タイヤの大量需要に応えるため、交通が便利で労働力の多い東南アジアに移植されて、マレーシア・タイ・インドネシアなどの生産量が飛躍的に増えた。現在、天然ゴムの生産量の多いのは、タイ・インドネシア・ベトナムなどである。
バナナ
東南アジアが原産地である。輸出バナナは品種改良が進められたバナナである。生産国はインド・中国・フィリピン・ブラジルなどである。輸出の多い国はエクアドルとフィリピンである。バナナは生産から貿易まで、アメリカの多国籍企業が支配している。

 解答
【18】③
解説 東南アジアの米
①◯ 緑の革命は、東南アジアの食料不足解消のため、米の品種改良や米作の近代化が進められた。
②◯ 従来は夏の雨季が米作適期であったが、最近は灌漑網の整備によって冬でも稲作が可能になった。乾季稲作と言われる。
③× 東南アジアの栽培種インディカ米は長粒種である。日本の栽培種ジャポニカは短粒種である。
④◯ ベトナムでは米粉から、日本のきしめんに似たうどんフォーを作る。20世紀のフランス植民地支配下で食べ始められた。
詳細な解説
① 1960年代からアメリカが共産主義体制の拡大を阻止するため、農業の近代化を援助した。東南アジアの緑の革命には、日本も深く関与した。東南アジアではダムを建設して灌漑を整備し、農薬・除草剤を使い、農業機械を導入した。マニラの国際稲研究所が中心になって、各地域に適した品種改良も進められた。
② サバナ気候・熱帯モンスーン気候では、雨季に米作が行われてきた。土地生産性の向上と、農閑期の仕事を作り出すことをめざし、冬にも灌漑による米作が本格化した。冬の米作が乾季稲作であり、従来の雨季の稲作よりも収量が多くなった。
③ 米にはジャポニカ米とインディカ米の2種類がある。日本のように炊飯をするのならば短粒のジャポニカ米が適している。東南アジアのように蒸したり炒めたりするなら長粒のインディカ米が適している。
④ ベトナムの米粉麺フォーは20世紀のはじめに北ベトナムで作られ、以後、全土に広がった。きしめんに似た平らな麺である。肉類でだしをとり、コリアンダーを加えて食べる。

 

  

 解答
【19】③ 
解説 東南アジアの宗教
①× インドネシア:イスラム教徒が87%を占める。オランダ植民地時代の影響でキリスト教徒が10%。インドネシアは人口2億3,764万人であり、世界で最も人口の多いイスラム国家。
②× マレーシア:イスラム教国家だが、ルックイースト政策により経済政策に重点を置いている。天然ゴム園などに出稼ぎに来て定着したインド人ヒンドゥー教徒が6%はいる。
③◯ タイ:植民地支配を受けない仏教国であり、仏教徒が83%を占める。南部のイスラム教徒が自治権を要求して軍事対立をしている。
④× フィリピン:16世紀からのスペイン統治下で、キリスト教カトリックが広まった。イスラム教徒は5%であり、島嶼部で独立運動を展開している。
詳細な解説
① インドネシアの経済発展が進み、豊かなキリスト教徒と貧しいイスラム教徒の図式は崩れた。裕福になったイスラム教徒が、インドネシア経済発展の中核にいる。
② マレーシアはイスラム教国家である。日本をモデルにした工業化政策(ルックイースト政策)に成功し、イスラム教徒の生活は裕福になった。
③ タイ:小乗仏教の国で、敬虔な仏教徒が多い。経済の急速な発展にともない、仏教とは裕福になったが、残されたイスラム教徒の反発は強い。
④ フィリピン:スペイン植民地時代には、カトリックだけが土地の所有を許された。多くはキリスト教徒になり、土地を持たない者がイスラム教徒になった。

 

 解答
【20】②
解説 華僑
①× 中国人の移住は8世紀の唐代には、すでに行われていた。
②◯ 中国と現地の2つの国籍を所有するのが華僑、現地のみの国籍を所有するのが華人。
③× 内陸部からではない。沿海部の福建省・広東省などの出身者が多い。
④× 第1次産業ではない。沿岸都市に住み、貿易業・商業に従事する。
詳細な解説
シンガポールでは、華僑のネットワークを利用する国際ビジネスが中心である。他に商業・飲食業・金融業など、大小さまざまなビジネスを展開している。インドネシア・ベトナム・マレーシアなどでは現地人と華僑とが激しい衝突をしたことがある。

 

 


 

 解答
【21】⑥
解説 シンガポール、タイ、ベトナムの工業化
(サ)ベトナム:中国の人件費が高騰した現在、ベトナムの工業化が進んでいる。
(シ)タイ:Nicsの工業化の次がタイであった。
(ス)シンガポール:1970年代にNicsと呼ばれるほど工業化が進んだ。
詳細な解説
アジアの工業化の順は、次のとおり。
(1960年代)日本-高度経済成長政策により、重化学工業が発展した。
(1970年代)Nics-韓国・台湾・香港・シンガポールが新興工業国群といわれ、最初に軽工業、次に重工業が進んだ。外国資本が、安い人件費を見込んで、盛んに進出した。
(1980年代)中国-経済の改革開放により、外国資本が経済特区に進出し、輸出産業が発展。
(1990年代)ASEAN-マレーシア・タイ・インドネシアなどが国際分業により、工業化が進んだ。軽工業から重工業まであらゆる分野で、外国資本と提携が進み、輸出が急増した。
(2000年代)ベトナム-中国の賃金が上昇すると、ASEAN加盟のベトナムに低賃金を求めて外国資本が進出した。

解答
【22】③
解説 ASEAN
①◯ 特に工業の国際分業が盛んである。
②◯ 1967年、ベトナム戦争当時、反共軍事同盟として発足、現在は経済協力同盟。
③× EUのシュンゲン協定(1985年)では外国人労働者の流入が大問題となった。
④◯ マレーシアからシンガポールへ、ミャンマーからタイへの移動が著しい。
詳細な解説
ASEANは1967年に発足した。ベトナム戦争後に共産党一党独裁のベトナムがドイモイにより市場経済に転換し、1995年にASEANに加盟した。この時にはすでにASEAN加盟国の工業化が進んでいて、ベトナムでも急速な工業化が進んだ。ASEANは、日本・中国・韓国・アメリカ・オーストラリアなどとの経済協力を強めるため、アジア太平洋経済協力会議(1989年)やASEAN地域フォーラム(1994年)を開催している。


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