地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

33. 秋田県の人口減少は全国第1位 地理総合

2019-04-20 10:19:53 | 地理講義

秋田県の人口減少
2018年の秋田県の人口は次のとおり。
人口980,684人(前年比-14,690人)  
出生者5,116人(-345人)  
死亡者15,396人(ー97人)  
転入者12,122人(-376人)  
転出者16,053人(-219人)
自然増加も、社会増加もマイナスである。秋田県全体の人口は100万人を割っている。
年齢別人口構成における老年人口割合は、都道府県別人口全国第1位である。


2018年の秋田県の人口構成は、次のとおり。
老年人口(65歳以上)36.4%
生産年齢人口(15~64歳)53.6%
幼年人口(14歳未満)10.0%  
老年人口は前年比+2,839人
幼年人口は-3,002人

子どもの数が減り、老人が増える現実がある。
2040年には一人の若者が、一人の老人を扶養することになる。 
秋田県の人口は1956年まで増加傾向にあった。しかし、この頃から高度経済成長が始まり、大都市や工業地帯で若い低賃金労働力が求められるようになり、地方からは現金収入を求めて、出稼ぎや移住が始まった。最初は冬の季節出稼ぎであった。出稼ぎのない季節には失業保険金を受給できたが、法改正により半年出稼ぎ、半年失業保険は不可能になり、通年出稼ぎが常態になった。家族を連れて、都会に移住する出稼ぎも増えた。
中学・高校・大学などの学校新卒労働者も、賃金の高い県外に流出した。

1970年代のオイルショックの時には、地方の時代といわれ、都会の職場を追い出させれた地方出身者の幾分かは、生まれ故郷に戻った(Uターン)り、故郷に近い都市に戻った(Jターン)りした。しかし、それも一時的現象であり、また、景気が回復すると、県外への転出が増加した。

 


 2007年の高卒11,014人の進路追跡調査 
進学7,299人 就職3,472人 その他263人
●進学者(大学、専門学校)の県内外の内訳 県内2,078人  県外5,201人
○就職者の県内外の内訳   県内2,142人  県外1,330人
○県内進学者の大学、専門学校などの卒業後の内訳   県内1,536人  県外543人
○県外進学者の大学、専門学校などの卒業後の内訳   県内2,170人  県外3,031人

2007年の高卒者11,014人のうち、県外就職者は4,904人である。 男子は製造・建設業など、女子は卸小売業・医療福祉などが多い。
県内の雇用の受け皿がないために、県外に仕事を求めることになる。 また、県内の大学も職場も、若者を引きつける多様さに欠けている。
高度経済成長期に18歳~24歳の若年層の4割が、秋田県外に流出した。 1990年前後の第2次ベビーブーム世代は親の世代になると、多くは県外に住んでいるので、秋田県内では明瞭な第2次ベビーブームが起こらず、人口減少が続いた。

このままでは2014年と比較し、2040年には次のようになると予測されている。
小学校:4万7千人から2万3千人に減少
中学校:2万6千人から1万2千人に減少
高等学校:2万7千人から1万3千人に減少 ※中学生より、高校定員の方が多い。
 
秋田県の人口減少対策
① 秋田大学に経済学部・法学部を設置する。ノースアジア大学との連係・合併を視野にいれ、総合大学をめざす。
②秋田県最大のTDKを、部品供給企業に終わらせず、最終製品も生産できる体制にする。例えば、携帯電話、小型コンピュータを作る。電気自動車の重要部分を生産するなど。
③道路網の整備。高速道路を片道2車線にする。また、各幹線道路の積雪期の輸送確保のため、融雪道路を拡充する。
④ 農業だけで経済的自立可能なように、稲作農業の大規模機械化と、特徴ある野菜生産を整える。
⑤第2子からの新生児の誕生には100万円以上のお祝い金を贈る。子どもを産んで増やしてもカネに困らない状況を作る。

秋田県の人口は2020年までには100万人を切ってしまう。仙台市1市の人口よりも少ないことになる。人口減によって県の活気が失われて、まず経済が縮小してしまい、雇用能力も低下することが懸念される。人口を増やす方策を考えなくてはならない。

このような人口減少にあえて逆らわず、人口減少の続く地域社会のままで静かな生活を送ることのできることは、最大の幸福であるとする考えもある。田舎暮らしは年金とわずかの仕事で可能である。都会で働いた若い者の年金負担で、田舎でのんびり暮らすことは悪いことではない。

秋田の若者 夢をでっかく 起業や地域活性化 県が応援事業

2019年4月21日(河北新報)  

    

秋田県は2019年度、若い世代の発想や地域活性化の取り組みを支援する「あきた若者プロジェクト」を始める。「若者チャレンジ応援事業」と「若者と地域をつなぐプロジェクト事業」が柱。経費助成に加え、専門家、企業などがそれぞれの夢を後押しする。

 「若者チャレンジ応援事業」は、秋田で活躍するためのアイデアの実現を図る。「ジビエ(野生鳥獣肉)料理のレストラン開業」という計画があれば、海外の一流レストランへの留学費やメニュー試作などの起業準備の経費を助成する。

 審査会で選ばれた企画は、計画作成時から県内外の専門家や県庁各課によるサポートを受けられる。県内在住の18~40歳未満の個人・団体が対象。助成額は3年間で最大400万円。前期分は5月20日まで募集している。後期分と合わせて年間20件採択する。

 もう一つの「若者と地域をつなぐプロジェクト事業」は、高校生らの地域活性化に向けた取り組みを技術やノウハウを持つ企業、団体がサポートする。対象は2人以上の高校生グループだが、県内に住む30歳未満の大学生、専門学校生らも応募できる。

 夏休み期間に企業などと企画を練り上げ、9月~来年3月に具体化させる。企業連携枠は20万円、それ以外の取り組みは10万円を限度に助成する。募集枠は計10件。募集期間は5月下旬~6月下旬。

 佐竹敬久知事は「(事業を通じて)わくわく感を醸成して秋田を面白くしたい」と話す。連絡先は県あきた未来創造部地域づくり推進課018(860)1237。

 

 


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