地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

34.日本の農林水産物・食品の輸出  地理総合

2019-04-21 16:32:43 | 地理講義

日本の農林水産物・食品の輸出
貿易の自由化を、日本の農林水産業の危機と考えるのではなく、農林水産物・食品の生産と輸出拡大の機会と考える。年間輸出総額1兆円を当面の目標とする。
本来は農林水産物の輸出目標が1兆円であった。2019年には目標の1兆円に到達しそうである。しかし、これに関連商品として食品類の輸出統計も含めたためであり、本来の農林水産物の輸出の本当の姿は見えなくなっている。


農林水産物・食品の輸出内訳
輸出第1位は加工食品である。貿易統計上は「その他」の合計であり、第1位が具体的には何かが不明である。調製品のその他、パン・ケーキのその他、ソースのその他の合計である。調製品のその他としては冷凍食品・レトルト食品など、パン・ケーキのその他としては菓子類などである。原料の小麦・砂糖を輸入し、日本国内で加工して輸出するもので工業製品に限りなく近い。したがって日本の農業とはほとんど無縁であり、日本の農産物の輸出統計には不適当であろう。
また、水その他も第1位の加工食品に含まれる。ただ同然の地下水を、食品会社の工場でボトル詰めして売るのだから、これも農業に無関係で、農産物の輸出統計に含まれるのは不適当である。


 

 

※ 農産物の輸出品目第1位は「その他」であり、何が第1位なのかは、具体的には分からない。通関統計の時代おくれの項目設定が原因であろう。しかし、日本政府がTPP交渉で不利にならないように、農産物輸出1兆円を目標にしたため、「その他」を農産物に含めて輸出増加を印象づけようとした、政治的意図もあるようだ。
本当の1位はリンゴ、2位は茶のようである。しかし、茶の大半は抹茶で、緑茶の加工調製品である。「その他」に分類され、農産物の統計数値にはあらわれない。
※ 清酒の輸出が多い。清酒は農産物として分類される。しかし、清酒原料の酒米はわずかの農家の収入に過ぎない。またアメリカ・オーストラリアからの輸入も多い。酒は酒造業者で生産されるものであり、かつてのどぶろくのように農家が生産するものではない。清酒は農産物の輸出品目としては不適当なのだが、通関統計では農産物になっているのが現実である。

 


輸出第1位はリンゴ

年間140億円の高級リンゴが、台湾・香港・中国に輸出されている。農産物の品目別輸出品ではリンゴが第1位である。
日本のリンゴ産地である青森県・長野県などからは、味も外見もよい「ふじ」などが出荷される。品質向上のための手間がかかり、輸出による利益は多くはない。

輸出第1位は茶かもしれない

緑茶を粉末にし、抹茶として輸出することが多い。緑茶はアメリカ・台湾などに輸出される。年間輸出総額は140億円であり、リンゴとほぼ同額である。緑茶は茶農家が生産するが、抹茶に加工輸出されるために加工食品に含まれ、農産物の独立した品目には分類されない。リンゴのように国際情勢に左右されず、輸出額は安定的に伸びている。
なお、抹茶は緑茶の加工調整品であり、加工品に分類される。

 


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