地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

12.アメリカのとうもろこし地帯  地理総合

2019-01-28 18:50:52 | 地理講義

とうもろこしの需給
国別生産量世界第1位がアメリカである。生産量は増加傾向にある。中国は価格保障制度を2016年に廃止したので、生産量は減少傾向にあり、将来は輸入が増加する見込みである。ブラジルは大豆とともにセラードを中心とした大規模畑作農業が発展しつつあり、将来は生産・輸出とも増加する。
消費量ではアメリカが第1位である。アメリカがとうもろこしから燃料用エタノールの生産を奨励したため、エタノールの生産が増加している。エタノールを製造したあとの絞りかすは、豚・牛の飼料用として重要である。エタノールの製造にまわさず、直接、家畜飼料とするとうもろこしの量と、エタノール製造にまわすとうもろこしの量はほぼ同量である。
輸出量ではアメリカが最も多いが、ブラジルの生産・輸出が増加傾向にある。これは大豆と同じ傾向である。
輸入量では、日本が第1位である。1,600万トンを輸入し、65%が家畜飼料用、20%がコーンスターチ用、15%がアルコール・菓子原料などである。

アメリカ国内のとうもろこしの用途

アメリカ国内で生産されるとうもろこしはほとんど全部が遺伝子組み換えのデントコーンである。2005年のエネルギー政策法によりバイオエタノールのエネルギー利用が本格化したため、とうもろこしは、燃料用エタノール向けが急増し、飼料向けとほぼ同量になった。
飼料用とうもろこしはみかけは減少したが、エタノール製造後の絞りかすも飼料として利用されるので、家畜用飼料としてのとうもろこしの重要性は変わっていない。

アメリカのとうもろこし産地

コーンベルトといわれる。1戸200ha~400haの農地を大型機械を使い、家族労働で間に合わせている。かつての草原地帯プレーリーの肥沃地に、遺伝子組み換えのとうもろこしを栽培する。非遺伝子組み換えとうもろこしよりも病害虫や雑草に強く、コストを低く抑えられるので利益は大きい。3IとはIOWA、ILLINOIS、INDIANAの3州であり、とうもろこし生産量の非常に多い州である。
とうもろこしは家畜農家やフィードロット専門業者にトラックで運ばれるが、輸出用の大豆は、ミシシッピ川をはしけでニューオリンズまで運ばれ、そこから専用船で輸出される。また、アジアへの輸出はシアトルなどに鉄道で運ばれ、そこから専用線で輸出される。

日本のアメリカからのとうもろこし輸入

日本の、区画が狭く山がちの農地では、大規模畑作経営による飼料用とうもろこしの栽培は困難である。安価な輸入とうもろこしを飼料とした豚・牛・鶏などの飼育が当然の状態になっている。とうもろこしも大豆を輸入飼料であり、畜産の販売コストの60~70%が飼料代である。
1,620万トンの輸入とうもろこしのうち、65%は飼料用である。国内の畜産は輸入飼料によって価格が左右される。安価な飼料を大量に輸入するために、輸入先をアメリカ以外にも求めなくてはならないが、貿易摩擦解消のためには、アメリカから大量のとうもろこしを輸入することになる。輸入相手国を増やすことは、容易ではない。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。