昨日台湾の青少年における BNT162b2 mRNA COVID-19 ワクチンで男子高校生の2割近くが心臓に影響を与えていることを紹介しましたが、タイでも以下の論文が注目されています。
Cardiovascular Effects of the BNT162b2 mRNA COVID-19 Vaccine in Adolescents
【要旨
本研究は,タイの青少年を対象としたBNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン(Pfizer/BioNTech)注射後の心血管影響,特に心筋炎と心膜炎イベントに焦点を当てたものである。この前向きコホート研究では,BNT162b2 mRNA COVID-19ワクチンの2回目の接種を受けた13~18歳の2校の生徒が登録された。デモグラフィック、症状、バイタルサイン、ECG、心エコー、心酵素などのデータを、ベースライン、3日目、7日目、14日目(任意)に症例記録用紙を用いて収集した。314人を登録し、このうち13人がフォローアップから外れ、301人が解析対象者となった。
主な心血管系作用は、頻脈(7.64%)、息切れ(6.64%)、動悸(4.32%)、胸痛(4.32%)および高血圧(3.99%)であった。7名(2.33%)が少なくとも1つの心臓バイオマーカーの上昇または臨床検査値の陽性を示しました。心血管系への影響は29.24%の患者で認められ、頻脈、動悸、心筋炎など多岐にわたった。心筋炎は、ワクチン接種後に1名の患者で確認されました。また,心膜炎が疑われた患者が2名,潜在性心筋炎が疑われた患者が4名であった。
結論
BNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン接種後の青少年における心血管系への影響は,頻脈,動悸,心筋炎などであった.ワクチン接種後の心筋炎の臨床症状は通常軽度であり,全例が14日以内に完治した.したがって,mRNAワクチンの接種を受ける青少年は,副作用に注意する必要がある.臨床試験登録 NCT05288231】
ワクチン接種後の心筋炎の臨床症状は通常軽度で完治したと報告されているが、心筋炎は症状が回復すれば良いというものではありません。心筋炎の症状自体は回復する事もありますが、損傷した心筋細胞は再生されません。
炎症によって心筋壊死が広がると心臓が不可逆的なダメージを受けます。心収縮力低下という機能的障害が起こり、不整脈による突然死を合併することがあります。また急性心筋炎が治癒した後にも心筋のダメージが残って、慢性心不全に至る場合もあります。
40歳以下の突然死の20%が心筋炎とも言われており、恐ろしい病気の一つですよ。甘く見ない方がいいです。
急性心筋炎の初期症状には腹痛や下痢がありますが、若い女性の中には、「今日は生理痛が酷い」といわれる方が非常に多く見受けられます。そこから劇症型心筋炎に陥ってしまった方も、実際におられます。
ちなみに、COVID-19も心筋炎を引き起こす可能性があることを示唆していますが、多くの研究では、主要なグループ、特に若い男性のワクチン接種後の発生率が高くなると推定されています。
によれば、COVID-19による入院の予防1件につき、少なくとも18.5件の重篤な有害事象が発生すると予想されるそうです。