森の里ホームズのブログ

昏睡型急性肝不全

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 劇症肝炎とは、肝炎ウイルス感染、薬物アレルギー、自己免疫性肝炎などが原因で、もともの正常の肝臓に短期間で広汎な壊死が生じ、進行性の黄疸、出血傾向及び精神神経症状(肝性脳症)などの肝不全症状が出現する病態である。わが国では、「初発症状出現から8週以内にプロトロンビン時間が40%以下に低下し、昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を生じる肝炎」と定義され、この期間が10日以内の急性型と11日以降の亜急性型に分類される

先行する慢性肝疾患が認められる症例は劇症肝炎から除外するが、B型肝炎ウイルス(HBV)の無症候性キャリアが急性増悪した場合はこれに含めている。また、リンパ球浸潤などの肝炎像が見られる疾患に限定しており,薬物中毒、術後肝障害、急性妊娠脂肪肝など肝炎像の認められない場合は劇症肝炎から除外している。プロトロンビン時間は40%以下であるが、肝性昏睡Ⅰ度までの症例は急性肝炎重症型と診断する。その約30%が昏睡II度以上の肝性脳症を併発するため、劇症肝炎の前駆病態として重要である。また、肝性脳症が出現するまでの期間が8~24週の症例は遅発性肝不全(LOHF:late onset hepatic failure)に分類し、劇症肝炎の類縁疾患として扱われている。なお,研究班は2011年にわが国における「急性肝不全」の診断基準・成因分類を発表、2015年に改訂した。この診断基準では「正常肝ないし肝予備能が正常と考えられる肝に肝障害が生じ,初発症状出現から8週以内に,高度の肝機能障害に基づいてプロトロンビン時間が40%以下ないしはINR値1.5以上を示すもの」を急性肝不全と診断する。急性肝不全は肝性脳症が認められない,ないしは昏睡度がⅠ度までの「非昏睡型」と,昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を呈する「昏睡型」に分類する。また,「昏睡型急性肝不全」は初発症状出現から昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症が出現するまでの期間が10日以内の「急性型」と,11日以降56日以内の「亜急性型」に分類する。従って,劇症肝炎は「急性肝不全:昏睡型」の中で,成因が組織学的に肝炎像を呈する症例と見なすことができる

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