最近オミクロンで重症化する人は少ないですが、コロナ感染後に症状が長引く新型コロナ後遺症 (Long COVID)になる方を多く知っています。そのほとんどがコロナワクチンを何回も接種しているのですが、なぜでしょう?もちろん未接種の方でも免疫応答が不全な方はLong COVIDになりやすいかもしれません。
普通は1週間くらいで完治すると思われます。
その一つの理由は、自然免疫の一つ樹状細胞が多くの患者で著しく減少したままであることが報告されています。ワクチン接種により過剰な樹状細胞死(アポトーシス)を引き起こしている可能性があるのです。
感染後のブースター接種、またはブースター接種後の感染による長期後遺症の発生にも樹状細胞の減少が関係しているのかもしれません。
樹状細胞とは、その名前の通り樹木のような状態(木の枝のような突起)の細胞のことです。 もとは血液中の白血球の中の免疫細胞の一部で、血液によって運ばれ体の中のあらゆる場所に分布しています。 その働きは、体内あるいは体の表面で異物を発見すると、それを自分の中に取りこみ特徴を覚える働きをしています。
Perez-Gomez A, Vitalle J, Gasca-Capote C, Gutierrez-Valencia A, Trujillo-Rodriguez M, SernaGallego A, et al. Dendritic cell deficiencies persist seven months after SARS-CoV-2 infection. Cell Mol
Immunol. Nature Publishing Group; 2021;18: 2128?2139. doi:10.1038/s41423-021-00728-2
https://www.nature.com/articles/s41423-021-00728-2
【自然免疫成分によって引き起こされる炎症の悪化。樹状細胞(DC)はウイルス感染に対する防御に重要な役割を果たしており、例えば形質細胞様DC(pDC)は大量のインターフェロンα(IFN-α)を産生する能力を持つ。COVID-19では、DCの数とIFN-αの産生が欠損しており、これは疾患の重症度と関連している。この研究では、急性COVID-19患者において、DCの欠損に加えて、いくつかのDC活性化マーカーとホーミングマーカーが変化し、複数の炎症マーカーと関連していることを述べた。驚くべきことに、SARS-CoV-2感染から7ヵ月後も、入院歴のある患者もない患者も、CD1c+骨髄性DCとpDCの数は減少したままであった。さらに、CD86やCD4といったDCマーカーの発現が回復したのは入院歴のない患者のみであり、インテグリンβ7やインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)レベルの回復は観察されなかった。これらの知見は、COVID-19の免疫学的後遺症のより良い理解に貢献するものである。】
重要なことは、軽症患者に比べ重症患者では、TLR9依存性IFN-α産生がかなり減少していたことです(図2B)。つまり重症の急性SARS-CoV-2感染者は、軽症の患者に比べてIFN-α産生能が低いということは樹脂細胞の働きが悪いか少なくなっているためです。コロナワクチン接種後の樹脂細胞のダメージがいつまで続くかが問題になります。
樹状細胞 [DC] は食作用によりウイルス を取り込み,細胞表面にウイルス成分を抗原として提示する抗原提示細胞 [APCR] として働くようになる。また樹状細胞のサブセット(形質細胞様樹状細胞)はサイトカインの一種,I 型インターフェロン [IFN1] を大量に分泌し,免疫細胞にシグナルを伝達する。抗原提示細胞 [APCR] は感染サイトからリンパ節へ移動し,ナイーブ CD4+T細胞を I 型ヘルパーT 細胞 [Th1] および濾胞性ヘルパーT 細胞 [Tfh] へ分化させる。[Th1] はナイーブ CD8+ T 細胞が細胞障害性 T 細胞 [CTLL] へ分化するのを助け,[Tfh] は B 細胞領域(濾胞)でナイーブ B 細胞が形質細胞 へ分化するのを助ける。細胞障害性 T 細胞 [CTLL] は感染サイトへ移動して,感染細胞を死滅させる。形質細胞 [pB] 免疫グロブリン [Ig] を産生する。免疫グロブリン[Ig] は ウイルスのスパイク蛋白質に結合し,上皮細胞 [H] への感染を防ぐのと同時に,樹状細胞 [DC] へのウイルス [V] の取り込みを促進する。