レノックス・ガストー症候群 (指定難病144)のページを更新
- レノックス・ガストー症候群(Lennox-Gastaut症候群)は、小児期に発症する難治性てんかんを主症状とするてんかん症候群で、①強直発作や非定型欠神発作、脱力発作を中心とした多彩なてんかん発作が出現、②睡眠時の速律動、全般性遅棘徐波複合といった特徴的な脳波所見がある、③知的障害や失調症状、睡眠障害などを合併する。関連する脳症には、ウエスト症候群 (指定難病145)、大田原症候群(指定難病146)、早期ミオクロニー脳症(指定難病147)、遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん(指定難病148)などがあり、これらは新生児期~幼児期の年齢依存性で、のちにレノックス・ガストー症候群に移行することもあるが、他の全般・部分てんかんを呈することもある。いずれも極めて難治である。
- 【原因】
- 基礎疾患として脳形成異常や、低酸素性虚血性脳症、外傷後脳損傷、脳腫瘍、代謝異常、染色体異常、先天奇形症候群、遺伝子異常などがあるが、共通する病態は見出されていない。
- 【症状】
- レノックス・ガストー症候群の中心的な発作は、強直発作、非定型欠神発作、脱力発作で、それぞれ特有の発作症状と脳波所見を有する。精神発達遅滞は、90%以上に合併する。失調や睡眠障害を呈することも多い。 強直発作は睡眠時に比較的多く認められ、体幹筋を中心に左右対称性に筋収縮を認める数秒から1分程度の発作で、脳波には10~20Hzの両側全般性の速波(速律動)が出現する。経過の最後まで残る中核的な発作で、頻度は多い。非定型欠神発作は意識が軽く減損する発作で、ミオクローヌスが不規則に出現したり、ごく短い強直を伴ったりすることもある。持続時間は5~30秒程度が多く、2~2.5Hz前後の全般性遅棘徐波を呈する。ほぼ連続的に数時間から数か月出現して非けいれん性てんかん重積状態になることもある。脱力発作は、重力に抗して頭部や身体を支えている筋群の緊張が一瞬失われる発作で、頭部の屈曲や突然の転倒を引き起こし、頭部や顔面に受傷することも多い危険な発作である。 関連する脳症がレノックス・ガストー症候群に移行しない場合には、てんかん性スパスムの残存、難治な部分発作や全般発作がみられる。てんかん重積を起こすこともある。脳波所見も多様である。
- 【治療法】
- バルプロ酸、ベンゾジアゼピン系薬剤、ラモトリギン、トピラマート、ルフィナミドなどが使用されるが、極めて難治である。特殊な治療法として、ケトン食療法やてんかん外科手術も有効なことがある。関連する脳症の治療も同様である。
<出典:難病情報センター>
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