免疫寛容の破綻の原因のページを更新
- 自己免疫性疾患の引き金となる免疫寛容の破綻は、次のようなことが原因で起きると考えられています。
組織へのウイルス感染がウイルスに非特異的な T 細胞の増殖をも誘導し、その結果アネルギーがその処理能力を超える。 感染などが原因で起こった免疫反応に対する抗原のエピトープに相同性が高い自己抗原がたまたま存在し、その自己抗原に対しても免疫応答を誘発する(分子擬態)。この場合、感染の初期に適切な治療を行うことで自己免疫疾患の発症を低減できる可能性がある。
腫瘍細胞に対する免疫細胞がそのままの状態で、あるいは活性化して、正常細胞をも攻撃するようになる。これについては免疫エディティング(Immunoediting)という類似の説がある。この説では、体細胞変異により免疫原性が低くなり、増殖と免疫応答の平衡相(増えも減りもしない状態)となった腫瘍細胞が分泌する抗原が、正常細胞のタンパク質との交差反応を誘発する。
細胞ストレスや細胞傷害により放出された Heat shock protein(HSP)などのダメージ関連分子パターン(Damage-associated molecular patterns; DAMPs)が免疫系を活性化し、それに伴い自己免疫反応が誘発される。また細胞死を起こした細胞から放出された核酸が B 細胞上の Toll-like receptor(TLR)を刺激し、自己抗体の産生が誘導される。